日本には春夏秋冬があるから「旬」がある。季節の訪れと同時に、色鮮やかで芳しいフルーツが実を結ぶ。1年を通じてどこかで体験できる「フルーツ狩り」は、気軽にできる最高の“旬体験”。食べ放題農園での秘策も覚えておいて。 |
幸水などの赤梨は千葉、茨城などの都心近くに農園があるので行きやすい
寒くなってもフルーツ農園は休まない。みかん園が人を集め、イチゴ農家に明るい声が響く。そう、どんな時期でもフルーツ狩りは楽しめるのだ。 いつだってフルーツ狩りができるのだから、僕はそれを「ついでの行事」と位置付けている。温泉に行ったついで、ゴルフに行ったついで、ドライブに行ったついで・・・・・・、ついでついでのフルーツ狩り。 “ついで狩り”はずいぶんやった。房総や湘南に海を見に行った帰りに、みかん狩りをしたのは一度や二度じゃない。茨城にゴルフに行くと、帰りには千代田インターチェンジで出てフルーツ農園を訪ねる。辺りは赤梨やブドウの名産地だ。 |
生産農家の人々は心を込めてフルーツを育てる。新鮮なフルーツは味も格別だ
しかし、あちこち旅していると、思わぬ発見があるからおもしろい。関越自動車道を利用して群馬の水上温泉に行った時だった。道端に「さくらんぼ狩り」という看板があった。水上に温泉のイメージはあっても、さくらんぼは浮かばない。半信半疑で小さな看板を追って行くと、おおっビンゴ! 小さなフルーツ農園はさくらんぼであふれていた。 8月に「日本一遅いさくらんぼ狩り」という看板を見かけたこともあった。北海道・網走での出来事だ。 名産地ではない地域で、「フルーツ狩り」の看板を見つけると、予期せぬ宝物を掘り出した海賊のような気分になる。 江ノ島に行く途中で「イチゴ狩り」の看板を見つけた時も、運転席で小躍りしたものだ。 だから僕は遠出をすると、キョロキョロと看板を探し、その都度「前を見て運転しなさい」と、妻に怒られる。 |
ブドウといっても種類は豊富。種類によって収穫できる時期は異なる
この「食べ放題」がクセものなのだ。ギャル曽根じゃないんだから、食べ放題と言われたって、そんなに食べられやしない。 しかし、「あんた、頭いいわねぇ」とフルーツ農園のおばさんに、数回誉められたんだか、呆れられた秘策が僕にはある。フルーツ農園の看板を発見しても、僕と妻はそこへ直行しない。まずはコンビニを探す。購入するのは大きめの紙コップとブロックアイス、ミネラルウォーターだ。フルーツ狩り3種の神器。
リンゴは信州や群馬、東北地域が名産。長野郊外にはりんご狩り園が軒を連ねる
イチゴやベリーなどは一粒ずつ。ブドウも房から実を離して入れていく。梨などはナイフで適当な大きさに切って。まずは、両方の紙コップをフルーツで満たし、それからは紙コップひとつずつ食べる。 ひとつが空になったら、その分を補充。フルーツを摘んでいるうちに、もうひとつの紙コップの中のフルーツが冷やされる。 温かいフルーツはそんなに食べられないけど、冷えたフルーツは嘘のようにお腹に入ります! これ現実。 また、車の常備品はキャンプ用のコンパクトなバーナーとコッフェル(鍋)。 栗拾いや芋堀りの後には、公園のベンチや見晴らしのよい駐車場でこれを茹でて食べる。すごく簡単で素敵なアウトドアパーティの始まりだ。これらの用具は、しいたけ狩りなどでも威力を発揮する。 ドライブの時には「フルーツ狩り」の看板に要注意。旅を振り返った時に、ついでだったフルーツ狩りが、メインイベントに昇格しているから不思議だ。 |
フルーツ狩りに関する情報を掲載しているホームページは数多くある。
1.「出かける予定の地域」+「フルーツ狩り」、2.「フルーツの種類」+「フルーツ狩り」、3.「JA」+「出かける県および地域」の方法で検索すると、さまざまなフルーツ狩り情報が出てくる。フルーツ狩りを実施している時期、フルーツ農園の営業日などを調べてから出かけよう。
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。
ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載中。 http://www.yomiuri.co.jp/tabi/
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。
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