ドライブというと郊外に出かけるイメージが強い。しかし、今回は都会の中心に車を走らせる。目的地は旧防衛庁跡に、2007年春オープンした「東京ミッドタウン」。ここには噂の街歩きツアーがあるという。まずは参加してみねば・・・。 |
東京で一番高いビルとなったミッドタウン・タワー
「大人の社会科見学が流行っている、郊外の研究施設や工場、あるいは国会議事堂などをめぐるバスツアーが盛況」というニュースをテレビで見たのはつい最近だ。ニュースを見ながら、楽しかった社会科見学を思い出していた。 「都会のど真ん中におもしろい街歩きツアーがある」と友人から聞いたのは、大人の社会科見学が盛況というニュースを見た翌日のことだった。場所は2007年の春に完成した東京ミッドタウンだという。東京ミッドタウンは10ヘクタールにもおよぶ旧防衛庁跡地にできた総合施設で、敷地内にはオフィス棟、宿泊施設、商業施設、美術館、さらには「ガーデン」と呼ばれる庭園地帯がある。 「東京ミッドタウンツアー」は、それらの施設をめぐる約60分のガイド付きツアーなのだ。 「久々の社会科見学だ」とばかり、僕は車を都心に向けて走らせた。休日の大都会、車の流れは意外にスムーズだ。東京ミッドタウンをはじめとする大きな施設には駐車スペースが設けられている。100円パーキングも空きが目立つ。予想よりはるかに都会の休日ドライブは快適だった。 |
サントリー美術館も併設、「巨匠ピカソ」展にちなんだ展示も
カウンターに近づけば、魅力的な瞳をしたお嬢さんたちが「いらっしゃいませ」と歓迎してくれる。料金は大人1500円、小学生700円。料金を支払い、横に置かれた東京ミッドタウンの模型を眺めて出発時間を待つ。他にも参加者数名。クチコミで人気が広がったらしい。 やがて、イヤホンを手渡された。 人が大勢いるところでも、ちゃんとガイドの声が聞こえるようにとのことだが、このイヤホンが耳たぶにかけるタイプのもので、本格的な感じが気分を高揚させる。装着するとガイドさんの声が頭の奥まで響いてくる。これなら、説明を聴き逃すこともないだろう。 最初のガイドは、さっきまでボケっと見ていた模型を使って行われた。
何気なく見える装飾も、実は「和」の要素たっぷり
ひとりで見ていたときは「なんだかバランスが悪いな」と漠然と思っていたのだが、それにも深ーい理由があった。日本庭園に見られる石の配置をイメージして角度を変えていたのだ。 そ、そうだったのか! 最初の解説で早くも驚愕。しかも、タワーはテラコッタを巧みに用いた「竹かご」なんだとか。 日本の中心地だけに、「和」がデザインに取り入れられている。 この街歩きツアー、小さい驚きの連続である。僕が「へー」を連発するたびに、ガイドのお嬢さんもちょっとうれしそうな表情を浮かべる。その表情で小学校のときにお世話になった美人教師を思い出した。なにかを話し、生徒が「へー」と驚くたびに、その先生もうれしそうな表情を浮かべたっけ。 |
東京ミッドタウンのガーデンは広大、水の流れるエリアも
ツアーはビルの外にも足を延ばして水の流れるガーデンを散策。あまり気にとめなかったが、施設内各所に現代アートが置かれている。その作品はアーティストたちの遊び心いっぱい。ガイドのお嬢さんに言われて「なるほど」の宝庫なのである。 床の材質、現代アートの秘密などをここで書いてしまうとツアーの興味は半減するから、答えはここでは明かさない。それはツアーに参加して自分で見つけてくださいね。 普段、商業施設やホテルに行っても、壁や床の材質や建築のコンセプト、描かれている模様などにはあまり関心がいかないものだ。しかし、今回のツアー体験によって、ビルは“都会のジャングル”であるのを知った。探検しがいがあるという意味だ。 六本木ミッドタウンを離れたあと、小学校のときに父親に連れられて以来、一度も行ったことがなかった東京タワーに立ち寄った。体験の旅の続きだからと、階段で昇ることにする。額の汗の量と反比例して、目の前のビルが徐々に小さくなり、やがて遠くにレインボーブリッジが見えてくる。階段を昇りきれば証明書がもらえる。自力で歩いても、エレベーターに乗っても料金が一緒というのが引っかかるが、証明書発行料と思って納得。 東京タワーの展望台からは、東京一の高さを誇る“竹かご”が、威風堂々と見えた。 |
東京ミッドタウンツアーは事前に予約をするのがベター。休日のツアーは混雑が予想される。
http://www.tokyo-midtown.com/jp/
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載中(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載中(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)