秋の夜長をのんびりと過ごすキャンプシーンに不可欠なのが、家族や仲間との語らいの場となる焚き火だ。夜を彩るキャンプサイトの“リビング”は焚き火となる。焚き火をスマートに楽しむために、「直火は可か否か」といったオートキャンプ場の現状も把握しておきたいところ。さて、そこで活躍するのが、この焚き火台。 |
スノーピークの「焚火台」シリーズはS、M、Lの3種類。4本脚のステンレスパイプは衝撃や熱に強い。簡単に折りたため、収納時はほぼフラットな状態になる。ナイロンケースも付属。写真のSは9240円
まず、日本のキャンプ場のほとんどが直火禁止であることを覚えておきたい。芝生、土、砂利と、キャンプ場によってサイト条件は異なるものの、その大半が地面条件に関係なく直火はNGであるのが現状だ。芝生を維持するため、というのはもちろんだが、地中の微生物をはじめ自然環境を壊さないためにも、公営・民営を問わず、国内のオートキャンプ場では直火を禁止するところが多い。 とはいえキャンプ場に行ったら焚き火はしたい。そこで重宝するのが「焚き火台」である。 テント、タープ、テーブル、クーラーボックスなど、キャンプに必要な道具を並べるときりがないが、この焚き火台だってキャンプのマストアイテムの筆頭となる。現状、これがなくては「キャンプは楽しめない」といっても過言ではないのだ。焚き火をしないキャンプなんて……なんだか物足りない。 さてそこで紹介するのがこちらの2アイテム。国内の各アウトドアメーカーからラインアップされる「焚き火台」のなかでも、元祖といえる焚き火アイテムで定番として人気を誇る。やはり携帯性と収納性を一に考えると、僕が着目するのはこの2つとなる。 その名の通り、焚き火台とは間接的に焚き火を行う道具だからこそ、それはそれで考えられた機能が潜んでいる。たとえば座ったときにちょうどよい高さになるようロースタイルが基本に考えられている。 グリル用ネットや三脚スタンドなどのオプションと組み合わせれば、焚き火台の上で調理ができる。もちろんダッチオーブン料理だって可能だ。 焚き火と野外料理は切っても切れない関係だから、土台のしっかりした“安定感のある焚き火”も不可欠となってくるのだ。そのためにはこの焚き火台のようなロースタイルが要となる。 |
ユニフレームの「ファイアグリル」は、炉と脚部がセパレートなのでコンパクトに収納できる。使用時サイズは43×43cm、グリル用ネットが付属(網の高さは33cm)で4600円。セパレートなので灰の処理が行いやすいのも特徴だ
さて、焚き火をマスターするうえで最も重要なのは火おこし。現在では着火剤や火力抜群のトーチも販売されているから簡単に火をおこせるが、やはりここはベーシックな火おこしをマスターしておきたい。これを覚えておけば着火も簡単! 薪は下から空気が入るように組むのが基本で、薪が交差するように組み立てていく(空気が入り込むように)。と、その前に薪を着火するため、細い枝や新聞紙を一枚丸めて薪の下に入れて火をつけるのがベスト(できれば新聞紙は細長く棒状にすると火持ちがいい)。 新聞紙から細い枝、薪という順番で着火させていく。ある程度、火がまわったら下から団扇やフイゴなどで風を送るといい。 この空気の出入りを考えるのが最大のポイントだ。そして火の粉が周辺に飛ばないよう気をつけながら、炎が大きくなるのをじっと待つ。
黒煙が出るものの、油の多い松ぼっくりは着火剤に最適。新聞紙を丸めて着火してみよう 市販の着火剤を使用するのも便利だが、再利用できるもので火をおこすのも焚き火の醍醐味ではないだろうか。 秋の夜は焚き火がメインフィールドとなる。グラスを片手に、炎のゆらめきと音を楽しみながら満天の星空を眺めてみてはいかが。焚き火を眺めながら飲む日本酒。うまいんだなぁ、これが。 |
< PROFILE >
小幡 健
元アウトドア誌編集者。お金をかけずにキャンプを楽しむ「赤貧オートキャンプ講座」の連載経験がある。好きなエリアは伊豆。好きなシチュエーションは焚き火と日本酒。
小幡 健
元アウトドア誌編集者。お金をかけずにキャンプを楽しむ「赤貧オートキャンプ講座」の連載経験がある。好きなエリアは伊豆。好きなシチュエーションは焚き火と日本酒。