今月は思い切って足を延ばして、沖縄のアウトドアスタイルに注目。琉球には古くから伝わる若者たちの憩いの場として“キャンプ”が行われていた。そして現在、この風習はビーチパーティとして現代に受け継がれた。 |
白砂と紺碧の海。どこまでも続く青い空の下でビーチパーリーを体験。写真は美ら海水族館近くの本部町の浜辺
年の瀬になると、仕事や新年を迎える準備に追われる方が多いと思うが、僕がアウトドア誌に在籍しているころの「年の瀬の準備」といえば、年末年始の恒例行事である“年越しキャンプ”だった。 * * *
先日沖縄へ行ったときに、琉球ならではのアウトドアの原点を発見した。 恩納村の観光スポット、万座毛は、断崖の上に天然芝が広がる。毛遊びのフィールドとして青年たちの憩いの場でもあった
さて、琉球に古くから伝わるアウトドアというのは「毛遊び(もうあしび)」のこと。野原や浜辺をフィールドに青年男女がお酒や食料を持ち寄り、三線をひいたり踊ったりする。 |
毛遊びを再現するならこんなイメージ。円をつくるように座り、三線を奏で、歌い踊ったりした。基本は集落ごとに集まり、10人程度で行っていたそう。毛遊びで披露された三線の音色は、沖縄民謡のルーツでもある
さながらデイキャンプならず「ナイトキャンプ」ともいえる毛遊びは、残念ながら衰微していき、現在では40~50代の“うちなーんちゅ(沖縄の方言で沖縄県民の意味)”しか体験したことがないようだが、新しい形として沖縄のアウトドアの文化として根付いている。 現代の毛遊びとなるビーチパーリーは、沖縄の米軍居住地などに住むアメリカ人が発祥のアメリカンスタイルである。バーベキュー主体のデイキャンプそのものだが、おそらく日本でもっとも盛んに「デイキャンプ」を行っているのは沖縄県だろう。紺碧の海と真っ白な砂浜をもつロケーション抜群の沖縄だけに、必然的にビーチがメインフィールドとなる。 ちなみに毛遊びの「毛」の由来となる「野原」「原っぱ」だが、たとえば沖縄きっての恩納村にある観光名所「万座毛」などは、古くから毛遊びの舞台とされ人気のスポットだった。 沖縄ドライブはもちろん、琉球古民家を利用した宿泊体験など、ガイド本には載っていないようなディープな「沖縄遊び」を満喫できるのだ。 ちなみに沖縄県のキャンプ場のほとんどはビーチ。 |
沖縄民間観光案内所「アーストリップ 」
http://www.earthtrip.jp/
「バーベキューができる!! 沖縄ビーチ&キャンプ場情報」
http://www.e-okinawa.tv/bbq/
小幡 健
元アウトドア誌編集者。お金をかけずにキャンプを楽しむ「赤貧オートキャンプ講座」の連載経験がある。好きなエリアは伊豆。好きなシチュエーションは焚き火と日本酒。