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今月は思い切って足を延ばして、沖縄のアウトドアスタイルに注目。琉球には古くから伝わる若者たちの憩いの場として“キャンプ”が行われていた。そして現在、この風習はビーチパーティとして現代に受け継がれた。

白砂と紺碧の海。どこまでも続く青い空の下でビーチパーリーを体験。写真は美ら海水族館近くの本部町の浜辺

年の瀬になると、仕事や新年を迎える準備に追われる方が多いと思うが、僕がアウトドア誌に在籍しているころの「年の瀬の準備」といえば、年末年始の恒例行事である“年越しキャンプ”だった。

大晦日を野外で過ごす。新年をキャンプ場で迎える。アウトドアと無縁であったら、めったにこのような経験はできないだろう。

普段のキャンプより盛大に行うキャンプファイア、竹を器にしたかっぽ酒を振る舞ったり、餅つき大会、お雑煮を大勢で食べたりと……。冬のキャンプは寒いから、と敬遠する人もいるかと思うが、寒いからこそ身に染みるほど野外料理もうまいのだ。

何といっても火を囲いながらちびちび飲むお酒は格別! 空気の澄んだこの時季こそ、全身を通じてアウトドアの醍醐味が感じられるのだ。

* * *

先日沖縄へ行ったときに、琉球ならではのアウトドアの原点を発見した。

でもやっぱり冬キャンプは寒いから……という方は、こんな南の島のアウトドアをおすすめしたいのだ。もちろん冬のアウトドア。冬の沖縄といえども平均気温は17度前後、最低気温は10~12度前後。冬の夜は多少寒くなるといっても、そこは本州に及ばず、といったところでやはり過ごしやすいだろう。

恩納村の観光スポット、万座毛は、断崖の上に天然芝が広がる。毛遊びのフィールドとして青年たちの憩いの場でもあった

さて、琉球に古くから伝わるアウトドアというのは「毛遊び(もうあしび)」のこと。野原や浜辺をフィールドに青年男女がお酒や食料を持ち寄り、三線をひいたり踊ったりする。

また毛遊びに参加できる年齢は決まっていて、男子は17歳から25歳頃、女子は15歳から22歳頃で、夜なべ仕事に出ていて一人前と見なされている人たちだったそう。毛遊びの「毛」とは、沖縄で「野原」を意味し、浜辺で行うのを「浜遊び」と呼ばれている。

野原や浜辺に三々五々集まり、月が山の瀬に隠れる頃まで、三線の音色を楽しみながら、お酒や料理をつまむ。いうならばキャンプの原点こそ、毛遊びや浜遊びかもしれないのだ(もちろんキャンプ場では、夜に楽器をひいたり、騒ぎすぎるのはNGだけど……)。


毛遊びを再現するならこんなイメージ。円をつくるように座り、三線を奏で、歌い踊ったりした。基本は集落ごとに集まり、10人程度で行っていたそう。毛遊びで披露された三線の音色は、沖縄民謡のルーツでもある

さながらデイキャンプならず「ナイトキャンプ」ともいえる毛遊びは、残念ながら衰微していき、現在では40~50代の“うちなーんちゅ(沖縄の方言で沖縄県民の意味)”しか体験したことがないようだが、新しい形として沖縄のアウトドアの文化として根付いている。

ところが琉球独特のアウトドアの風習は「ビーチパーリー(沖縄の方言でビーチパーティの意味)」として残っているのだ。現代の毛遊びはシチュエーションが変わり、月明かりの下から、太陽の光を浴びながら楽しむようになった。

現代の毛遊びとなるビーチパーリーは、沖縄の米軍居住地などに住むアメリカ人が発祥のアメリカンスタイルである。バーベキュー主体のデイキャンプそのものだが、おそらく日本でもっとも盛んに「デイキャンプ」を行っているのは沖縄県だろう。紺碧の海と真っ白な砂浜をもつロケーション抜群の沖縄だけに、必然的にビーチがメインフィールドとなる。

沖縄県に住む20~30代の男性に話を聞く機会があったのだが、どうやら年に一度や二度といったレベルではなく、ほぼ毎月のペースで誰かが幹事を担当してビーチパーリーを開催しているそうだ。

ちなみに毛遊びの「毛」の由来となる「野原」「原っぱ」だが、たとえば沖縄きっての恩納村にある観光名所「万座毛」などは、古くから毛遊びの舞台とされ人気のスポットだった。

一昨年前までは恩納村主催の毛遊びイベントが年に一度行われていたほどで、眼前に海を眺められるロケーションだけに、「毛」とはいえども「浜遊び」も兼ねたベストスポットだったに違いないだろう。

さて、毛遊びやビーチパーリーなど沖縄県の伝統文化やアウトドアを満喫するなら、沖縄県民間観光案内所「アーストリップ」がおすすめ。

沖縄ドライブはもちろん、琉球古民家を利用した宿泊体験など、ガイド本には載っていないようなディープな「沖縄遊び」を満喫できるのだ。

ちなみに沖縄県のキャンプ場のほとんどはビーチ。

本場のビーチパーリーと宿泊キャンプを満喫してみてはいかがだろう。何といっても沖縄県のレンタカー(OTSなど)は驚くほどリーズナブル! ドライブにアウトドアに最適なのだ。


沖縄民間観光案内所「アーストリップ 」
http://www.earthtrip.jp/
「バーベキューができる!! 沖縄ビーチ&キャンプ場情報」
http://www.e-okinawa.tv/bbq/
< PROFILE >
小幡 健
元アウトドア誌編集者。お金をかけずにキャンプを楽しむ「赤貧オートキャンプ講座」の連載経験がある。好きなエリアは伊豆。好きなシチュエーションは焚き火と日本酒。
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