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しばらくぶりに訪れた草津温泉は、観光客がほんとうに楽しめる温泉リゾートに変貌しつつあった。この変化が定着するかどうかは、観光客自身が役者として舞台を演じられるかどうかにかかっている。

草津温泉の中心に位置する湯畑。湯を板の上の樋にくぐらせると、成分が次第に固まって「湯の花」ができる

草津温泉に行ってきた。

以前訪れたのは、もう10年以上も前のことになる。渋川から冬の国道を西へ走り、ようやくたどり着いた草津は、心をほっとなごませる優しさと山の雪深きいで湯といった風情がぴったりの温泉街だったと記憶している。

ただ、当時は、その雪のせいか、湯畑付近を散歩してもそれほど多くの観光客に出会った記憶がない。本当はいたのかもしれないが、その実感がわかないのだ。

年を経て、まったく同じシーズンに足を運んだ。温暖化により、草津にいたる道路の路肩にはまったく雪はない。碓井軽井沢まで関越で東京から約2時間。軽井沢から1時間ほど北上するともう草津温泉だ。驚くほど早く着くことができた。

温泉街に入ってからも、道路が整備されたことと雪がないことから、細い路地でも自由にクルマをとりまわすことができる。
温泉街の中心にある湯畑まできて、目に入ったのは、想像を超える人の多さだった。ここは不況の風が感じられない。服装から、冬のスポーツを楽しむ人よりも、温泉を目当てに来ている観光客が多いのがわかる。

さすが、東日本の温泉番付の横綱に名を連ねるだけある。しかし、一方で10年前とは大きく様変わりしてしまった温泉街の様子に、戸惑いすら感じた。いったい何が変わったのか?

湯畑にある「熱の湯」では、湯もみの実演と草津節の踊りを観賞・体験できる。源泉は51度~91度にもなるため、その効用を生かすためには水で薄めずに冷やす必要がある。湯を板で「もむ」ことによって47、48度まで冷ますのが湯もみの由来
草津温泉旅館協同組合
所在地/群馬県吾妻郡草津町草津39
営業時間/9:00~16:00(年中無休)
TEL/0279-88-3722
オンライン予約/www.yumomi.net
それから数週間後、僕はハワイ・ワイキキにいた。

サブプライムローン問題が引き起こした不況の嵐は、すくなくともホノルルでは感じられない。ワイキキはアメリカ人、東洋人を問わず、にぎやかで、みやげもの屋にはひっきりなしに人が入ってくる。同じアメリカのニューヨークやロサンゼルスでも、これほどにぎやかな通りは僕は知らない。

バーのカウンターでビールを飲んでいると、隣のアメリカ人が声をかけてきた。しばらくするとウェイターを交えてのご当地談義になり、すっかり盛り上がってしまった。そのときなぜだろう、草津のことを急に思い出したのだ。
ワイキキにも草津にも、人を楽しませたりわくわくさせてくれる「何か」がある。

旅をしていて本当に楽しいのは、じつは景色を見たり未知の体験をしたりすることよりも、こうして見知らぬ同士が話をしたり、お互いの気持ちがわかったりすることのほうが大きいのではないだろうか。
たとえば、宿のご主人や店のオーナーと仲良くなる。参加したイベントで、そのガイドさんと親しくなる。バーの止まり木で、初めて会う人とブロークンイングリッシュでうちとける。

ワイキキは、いろんな国から人が集まっていて、受け入れる側もそれをわかっている。だから、コミュニケーションが町のいたるところで体験できる“仕掛け”や“参加者の心の準備”がちゃんとできているのだ。

草津の温泉街を歩くと、まんじゅう屋の店先で必ず呼び止められ、お茶とまんじゅうが無料で振る舞われる。もちろんおみやげを買ってもらうためのプロモーションなのだが、これは本当に買ってもらうためだけが目的なのか――。

僕にはそうは思えないのだ。もらうほうはもちろんうれしいが、ありがとうからはじまるお店の人との会話が、まんじゅうを配る側の人たちにも喜びを与えているのではないだろうか。

じつはこの気持ちのやりとりが、旅の楽しさを根底から支えてくれる、いちばん大事なことなのではないか。 旅の楽しさは、街の評価にもつながる。なぜか楽しい。そこにいるとうれしくなる。このわくわく感が増幅すれば、そこにやってくる観光客同士が勝手にコミュニケーションをとるようになるはずだ。まるでワイキキみたいに。

西の河原通りにある「三國家」の「三国そば」(950円)。板そばで更科系。2.5人前の分量がある。つけ汁は別売りで、都汁(醤油味)、田舎汁(味噌味)から選ぶ(ともに400円)。都汁は鴨南とラーメンのつけだれに似た味、田舎汁は赤だしベースの濃い目のけんちん汁のような味。
三國家
所在地/群馬県吾妻郡草津町大字草津386
TEL/0279-88-2134

草津旅行に話は戻る。

10時にはじまった、その日第1回目の「湯もみおどりショー」のエンディングを見ることなく、僕はひと足先に「熱の湯」を出た。

外には、軽く50人を超えるだろう、観光客が列をなして並んでいた。
はっきり言って、踊りや湯もみ自体が、見て楽しいわけではない。
でも、踊る女将たちを見ていると、“彼女たちはプライドをもってここにいるんだろうなあ”と想像している自分に気づいた。

また、湯もみに参加する観光客が喜ぶ姿を見ていると、自分が体験しているような一体感が生まれて“この感情が心地いい”と思えてくる。

もし、次に草津温泉に行くことがあったなら、人が群がって芋洗い状態になっている足湯でも、“今度は自分がその中に割って入ってやろう”という気持ちになれると思う。

そして僕は、足を温泉に浸しながら、見知らぬ隣の人に、こう声をかけるのだ。
「今日はどちらからいらしたんですか?」と。


「湯もみショー」の開催時間は時期にもよるが、取材当日は日曜日で、10時、10時30分、11時の3回行なわれた。大人500円の入場券が必要。チェックアウト直後になるので、第1回目に見たほうが並ばずにすむ。湯もみ体験をすると草津の手ぬぐいがもらえるが、1回のショーで2回、計40名が体験できるようになっている。1階左右の浴槽入口付近に待機すると体験できる可能性大。
< PROFILE >
長津佳祐
観光やレジャー、スローライフを中心に編集・執筆を手がける。最近はじめたばかりのブログ「軽井沢別宅日記」をどうぞよろしく。 http://blog.bectac.com/
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