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かつて冬のシーズンだけで1年分を稼ぐといわれたウィンターリゾートだがレジャーの多様化と不況により入場者数は大幅に減少した。しかし、サービスの質の向上によりいままた、新たな顧客を開拓しつつある。

水上高原ホテル200の男性用パウダールーム。ドライヤー、コームを完備。女性にも配慮し、大浴場とパウダールームは男性用以上にスペースが広くなっている。
水上高原スキーリゾート
所在地:群馬県利根郡水上町藤原6152-1
TEL:0278-75-2222
URL:www.minakamikogen200.jp

かつてバブルで踊った90年代には、スキー人口は1500万人といわれた。
当時はどのスキー場も人であふれ、ウィンターシーズンだけで1年分の収益を稼ぐほどだった。

ゲレンデのレストランに行けば、オーダーをこなすのに追われるあまり、工場で作られた真空パックを温め、お客さんの目の前で器にあけるといった光景も決して珍しいものではなかった。

バブル崩壊によりスキー人口が減少し始めると、スキー場は次々と経営破たんに陥り、銀行の手に渡ったりオーナー会社が点々と変わるようになる。
今年は雪が不足気味で、スキー場の経営は相変わらず厳しいものがある。

しかし、今シーズンに改めていくつかのスキー場をまわってみて、この不況が消費者にとってはかえってメリットにつながっているケースがいくつもあり、ウィンターリゾートが回復へのステップを着実に歩んでいく姿を目の当たりにした。

「リゾート」というからには、お客様をもてなすホスピタリティが求められる。それは接客の姿勢であったり、余裕のある空間、サービスの使い勝手のよさ、コストパフォーマンスなどに表れる。

ゲレンデに隣接するホテルのロビーに入った途端、シンプルモダンを基調としたゆったりとした空間が目の前に広がり、都内にあるラグジュアリーホテルかと錯覚したのは水上高原スキーリゾートだ。

かつてプリンスホテルが経営しており、昨シーズンに経営者が変わってホテルがリニューアルされた。ホテルの外観はほとんど変わっていないのだが、部屋をつなげて大きくするなど、随所に質を向上させた改良点が見られる。カラオケルームは任天堂のWiiが楽しめる部屋に変わり、ファミリーで利用されることが多いという。

ズワイガニとローストビーフが目玉だが、それ以外にもおいしいメニューはいっぱい。デザートやドリンクの種類も充実している。
セントレジャー舞子ホテル
新潟県南魚沼市舞子2056-108
TEL:025-783-3511
URL:www.centleisure-maiko.com
メインダイニングでの食事は地産地消を意識した“水上イタリアン”。

ゲレンデを青くライトアップすることで、山にいながらも海の中で食事をしているような演出を狙っている。

ホテルのバイキングもあなどれない。”スキー場にあるホテルのバイキングにうまいものは期待できない”という時代は変わりつつある。

セントレジャー舞子ホテルのディナーバイキングは、ズワイガニとローストビーフが目玉だ。バイキングなので当然いくらでも好きなものを食べることができる。

ほかにも新潟特選ポークのしゃぶしゃぶや、へぎそばなど新潟ならではのうまいものが揃い、食事だけで40品目はある。ビジターでも3800円で食べられ、コストパフォーマンスが非常に高い。なかにはカニだけを皿に大盛りにする人もいるほどの盛況ぶりだ。

パインリッジリゾート神立のスキーレンタル。「クレブ」の運営するこのレンタルはディスプレーのイメージも統一されており、スキーショップで購入しているような気分にさせてくれる。
パインリッジリゾート神立
所在地:新潟県南魚沼郡湯沢町神立
TEL:025-784-3030
URL:www.kandatsu.com

スキーレンタルも変わりつつある。

パインリッジリゾート神立をはじめとする上越のいくつかのスキー場にテナントとして入っているのが、「クレブ」のブランドバイキングレンタルシステムだ。

有名スキーブランドの上位機種が揃い、ウエア、ブーツ、スキーを好みの用具でチョイスすることができる。レンタル時間内であれば何度でも用具のチェンジが可能という画期的な方法を導入している。

10年以上前のスキーレンタルは、使い古されて何年も経っているような用具しか借りることができなかったり、まして上級機種の選択肢はなかった。

ユーザーにとってみれば気になるブランドを試すことができ、次の購入のためのいい試乗にもなる。

ゲレンデにあるレストランも様変わりしている。

ひと昔前であれば、たいしておいしくもないカレーやラーメンといった定番メニューを、信じられないような価格で提供するのがゲレンデにあるレストランというイメージだった。

コンビニエンスストアがスキー場の近くまで進出してくると様相が一変。おいしくない食事を食べるぐらいなら、コンビニのおにぎりで十分という風潮を生んだ。

オーダーを受けてから手早く生地を伸ばす。ウッディなロッジの窓越しにゲレンデを見ながら食べる石窯ピッツァは格別の味だ。
湯沢高原スキー場
所在地:新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢490
TEL:025-784-3326
URL:www.yuzawakogen.com

しかし、ゲレ食も変化している。スキー場直営のレストランがある一方で、町なかにある有名レストランがテナントとしてゲレンデに進出。味のレベルが格段に上がっているケースが少なくない。

たとえば、湯沢高原のゲレンデ中腹にあるレストラン「アルピナ」は、岩原で10年以上にわたって食通をうならせてきたイタリアンレストランの姉妹店だ。ピッツァはオーダーを受けてから生地を伸ばし、石窯で焼き上げる。

クリスピーでありながらもちもちした食感の生地は、都内にあるイタリアンと比較しても遜色ないほどおいしい。

上越にある某スキー場のレストランに10年以上テナントとして出店しているオーナーは、インターネットで情報が一瞬にして広まる時代の流れに驚きを隠せない。

いつも同じ業者から仕入れている南魚沼産のコシヒカリ。ある年に、微妙に乾燥具合が悪く、つやが出ないものを仕入れたことがあった。いつもこのご飯を楽しみにしているスキーヤーはその違いにすぐに気づき、ネットに”味が悪くなった”と書き込んだ。

たしかに味が落ちたことは事実だったのだが、この悪評から立ち直るのにかなりの時間を要したという。それよりも、お客様の舌がいかに敏感で、築き上げてきた信用は一瞬にして崩れるのだというのを痛感した。

不況によるスキーヤーの減少は、スキー場の経営を深刻な状態にまで落とし込んだ。しかし、一方で、消費者の立場に立てば悪いことばかりではなかった。

いま、スキー場のサービス、ホスピタリティは大きく変化を遂げている。この流れが本物であるのなら、また多くのスキーヤーが戻ってくるのは遠い日のことではない。

< PROFILE >
長尾嘉津友
雑誌や書籍、ウェブなど、活字にまつわるメディアのプロデュースを手がけるエディトリアル・ディレクター。
旅行や写真が趣味であり、仕事。最近はクルーズに注目しています。
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