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都心に近い高原をめざして伊香保温泉に向かってドライブ。
榛名山周辺は自然の景観が作り出したパワースポットだった。
ボートは30分で手漕ぎ700円から足漕ぎ1500円程度。8月7日(金)には湖畔で花火大会が開催される
涼を求めて、群馬県の榛名山へと向かった。

関越自動車道・渋川伊香保ICから30~40分程度と、首都圏からのアクセスがよく、榛名湖を取り囲むようにレジャースポットや温泉がある。

気楽に日帰りできて、自然を楽しむドライブにはちょうどいい。榛名山は、赤城山、妙義山とならんで上毛三山のひとつと数えられ、山頂にはカルデラ湖の榛名湖がある。

榛名湖の水面の標高は1084m。都心の気温に比べれば、5度は涼しい。夏は避暑地として人気があり、バスフィッシングやキャンプでにぎわいをみせる。県道33号は「上毛三山パノラマ街道」の名のとおり、山の稜線を眺めながら快調に走れるルートで、なかなか気持ちがいい。

伊香保温泉から榛名湖へ向かう途中で、最近増え始めた“音楽が流れる道路”に遭遇。

「榛名湖メロディライン」と銘打った道路を通過すると、「静かな湖畔の森のかげから~」と曲が聞こえた。時速50km以下で走るとうまく音が聞こえる。こういう遊び心があると、素直に速度を落としてのんびりとドライブしたくなる。それからまもなく、右手に榛名湖が見えてきた。湖越しに、富士山のようなきれいな稜線が見える。

榛名富士だ。火口丘が富士山のように見えることから榛名富士(標高1390.3m)と呼ばれる。スワンボートが何隻も浮かんでいて、思わずクルマを停めた。

船の上からゆっくり景色を眺めるのもいい。のんびりとした時間の過ごし方をするのにぴったりだ。
榛名神社
所在地:群馬県高崎市榛名山町849
本殿は御姿岩(みすがたいわ)を背にするように建てられている
榛名湖から少し足を伸ばして榛名神社へと向かう。

榛名は万葉集にも詠われるほど、古くから信仰の山として崇められてきた。 鳥居の大きさを見ただけでも、この神社の威光が伝わってくるほどだ。

主祭神は、火の神・火産霊神(ほむすびのかみ)と、土の神・埴山姫神(はにやまひめのかみ)。記録に最初に取り上げられるのは927年に完成した「延喜式」。

すでにその頃には格式の高い主要な神社(式内社)としての記述があり、用明天皇の御代の586年に社殿が造営されたとも伝えられる。

本社の入口から本殿までは約700mもある。だが途中、三重塔や社殿、古木や巨岩・奇岩などが次々に姿を現わし、それらを眺めて進むだけでも飽きがこない。

参道は清水の流れに沿って上流へ辿るようになっており、いくつもの橋を渡りながら巨岩・奇岩を縫うように上流へと向かっていく。

その奇抜な岩の形状から、それらは自然崇拝の対象として崇められてきたのだということが、理屈ではなく身体で理解できる。

本殿そのものが、巨岩と一体化しているのはその象徴だ。

水に浸すと文字が浮き出てくる「開運おみくじ」
ひと際目を引く巨木が「矢立杉」。幹の周囲が9.4m、高さが55mもある。樹齢1000年ともいわれ、武田信玄が箕輪城攻略の折に戦勝祈願に矢を立てたことからこの名で呼ばれるようになった。

帰りがけ、参道の中ほどにある「水神楽」の茶店に寄って、おみくじを買った。

この「御神水開運おみくじ」は水に濡らすと文字が浮き出るようになっている。すぐそばにある「廻運灯篭」に収め、灯篭を回すと、ご利益があるという。

また、そこには手水のひしゃくの脇に「水琴窟(すいきんくつ)」という看板が立っている。

岩のなかから2本の竹筒が突き出ている。耳を当てると、水がしたたり落ちる反響音が聞こえた。恋人同士が聞けば縁結びになるという。


 

伊香保露天風呂は中央から2つの湯船に仕切られ、温度を変えてある。加温していない源泉かけ流しが楽しめるのは源泉付近ならでは
帰りがけ、伊香保温泉に寄ってひと休みしていくことにした。

榛名山の北麓、標高約700mのところに位置する温泉街で、約360段の石段を取り囲むように宿が建ち並んでいる。

みやげ物屋や食事処など、休憩場所がところどころにあるので、温泉街を歩いて散策するのも楽しみのひとつだ。

榛名山は5、6世紀半に噴火活動が活発化し、二ツ岳の火山活動によりその北麓に温泉が湧出したと考えられている。

旅館が経営されるようになるのは、16世紀中頃のこと。

永禄6年(1563年)、箕輪城を攻略した武田信玄が、近隣の大地主を家臣として伊香保の湯周辺の土地を分け与えたことで、温泉街としての歴史がはじまった。

明治時代には御用邸が開設。たくさんの文人墨客がここを訪れている。  鉄分を含んだ湯は、空気に触れると茶褐色に変わることから「黄金の湯」として知られている。

現在、約60軒ある温泉宿のうち、24軒が日帰り入浴に対応している。宿以外にも共同浴場もあるので、散策がてら、お風呂のハシゴをしに出かけてみるとしよう。

伊香保露天風呂
石段を上がりきったところにある伊香保神社からさらに進むと、伊香保温泉の源泉があり、その隣りにある。こちらは古くからある茶褐色の「黄金の湯」で、源泉かけ流し。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉。
所在地:群馬県渋川市伊香保町湯本581
営業時間:9:00~19:00(10月~3月/10:00~18:00)
入湯料金:450円(子ども200円)
休館日:第1、第3木曜日(祝日の場合は営業)
TEL:0279-72-2488

伊香保温泉 石段の湯
こちらも「黄金の湯」を源泉とした、加温による源泉かけ流しになっている。
所在地:群馬県渋川市伊香保町伊香保36
営業時間:9:00~21:00(11月~3月/~20:30)
入湯料金:400円(小学生200円)
休館日:第2、第4火曜日(祝日の場合は営業)
TEL:0279-72-4526
< PROFILE >
長津佳祐
観光やレジャー、スローライフを中心に編集・執筆を手がける。ブログ「軽井沢別宅日記」をどうぞよろしく。 http://blog.bectac.com/
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