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ふだんづかいの食器を自分で作りたい。
ハードルが高いように見える陶芸だが意外なほど簡単に作ることができる。
本来はさまざまな工程が必要だが、宅配便で送られてくるので、
どんな絵付けが施されてくるか、それを待つのも一興だ。
おまかせでも釉薬をかけ分けてくれたMy作品の数々
ちょうど桜の季節が近づいた、春のある日、見覚えのない宅配便が届いた。
いったいなんだろう?
不審に思いながらも荷物を受け取り、差出人を見た。
そうか、あのときの……。
届いたのは、2月に笠間に行ったときに体験した、笠間焼の陶器だった。

一つひとつ丁寧に新聞紙にくるまれており、ゆっくりと広げてゆく。
想像していたよりも、ずっと「作品」らしい陶器が現れた。
一部だけ白く化粧を施した黒茶碗がふたつ、ピンク色の小鉢がひとつ、茶色で平底の椀がひとつ。

釉薬、かけてくれたんだな。しかもちゃんと形から用途を考えていてくれる。黒茶碗はごはん用、ピンクの小鉢と茶色の椀は、青菜のおひたしやかぶの炊いたのとかが合いそうだ。
思いがけない上々の仕上がりに、この日はついうれしくなって鉄鍋ごはんと大根の煮物を作ってしまった。

陶器と対面するほぼ2カ月前に、茨城県にある笠間焼の体験工房を訪ねた。
常磐自動車道から北関東自動車道を海とは反対の方向に進み、友部ICを下りてすぐ。国道355線沿いを5分ほど走ると目的地の窯元に到着する。
常陸窯いそべ陶苑。笠間焼の販売とともに、陶芸教室を開催している。

笠間焼は、江戸時代の安永年間(1772~1781)に、箱田村(現在の笠間市箱田)の久野半右衛門が信楽の陶工の指導により築窯したのが始まりとされている。
もうひとつの流れは、天保年間(1830~1844)に山口勘兵衛が友部町宍戸に開窯した宍戸焼に源流を求めるものだ。

水戸光圀によって寛文5年(1665)に明から招聘された朱舜水は、宋胡録系統の技法を持った土師を伴って来日し、水戸藩に製陶技術を伝え、小川村に築窯したという。寛政7年(1795)には窯を水戸藩直系の宍戸藩に移し、日用雑器を製造した。これが宍戸焼の始まりといわれる。
ともに同時代であり、距離も近いことから、この地域一帯に製陶に適した土があり、藩を上げて産業を奨励していたことがわかる。

常陸窯いそべ陶苑
所在地:茨城県西茨城郡友部町宍戸バイパス通り(R355号)
TEL:0296-77-3482
手びねりの場合は、土800gで1200円。作品は2~3個作れる。ロクロ成型は成型した状態で1kg1400円。ロクロ使用料は1台1時間1300円。
今回訪れたのは、宍戸焼に源流をもつ十代窯元の伝統ある窯だった。

以前、手びねりの教室にしばらく通い、陶器を作ったことが何度かあるので、今回はロクロに挑戦することにした。
手びねりでは、粘土で細く長いひもを作り、とぐろのように底から巻いて、土を締めつけながら上へ上へと成型していく。このときの締めが甘いと途中で形が崩れてしまう。

ロクロは形を左右対称に作りやすく、手びねりよりはずっと厚みを薄く作ることができる。しかし、伸ばし方がまずいと、手びねりと同じように乾燥する前に重みに耐えきれなくなる。

真冬だったので、近くにはだるまストーブが何台か置いてある。着込んでいるので体はそれほど寒くないのだが、土が冷たい。まさか土まで温めるわけにはいかない。
それでもつきっきりで教えてくれた釜元の後継は、手を温めるお湯を傍らに用意してくれて、それを何度も取り替えてくれた。

大洗漁港にある「大洗海山直売センターいきいき」では、この地で獲れた活きのいい魚を販売するだけでなく、回転寿司や食堂などもあって1年を通してにぎわう。夏は岩ガキが名物。真冬のこの日、水揚げされた大きなあんこうは1匹約5000円。かなり安い。でもどうやってさばく? つぶ貝は山盛り1kgで900円。
左手の指先と右手の指先で土の壁を外と内から軽く押さえる。強すぎてもいけないし、弱いと締め方が足りなくなる。均一に均一に、神経を指先に集中させてじわじわと口を広げながら上に伸ばしていく。

格闘すること2時間。ようやく4つのお椀が完成した。
ロクロの使用料のほか、使用した土の重さごとに違う料金、焼成代、宅配便代などを入れて約6000円程度。
まだできあがってもいないのに、かなり満足して釜元をあとにした。

集中していたせいか、お腹が空いた。
向かったのは大洗。
冬の大洗は名物のあんこう漁が最盛期を迎える。
あんこう鍋でも食べて温まっていこうか。

冬になると大洗市内だけでなく、水戸市内のあんこう料理の店が活気づく。店舗は圧倒的に水戸市内のほうが多い。大洗の魚市場は北関東自動車道を水戸大洗ICで下り、大洗マリンタワーをめざそう。マリンタワーを左折し、海沿いの道を走れば右手に市場が見えてくる。

大洗海山直売センターいきいき
所在地:茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8253
TEL:029-266-1197
営業時間:冬季7:30~18:00(夏季から9:30)
定休日:年中無休
http://iiokaya.com/ikiiki/
< PROFILE >
長尾嘉津友
雑誌や書籍、ウェブなど、活字にまつわるメディアのプロデュースを手がけるエディトリアル・ディレクター。
旅行や写真が趣味であり、仕事。最近はクルーズに注目しています。
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