冬の動物園。来るお客さまも少なくなって、アフリカや南国の動物にとっては過ごしにくいはず。でも、実際はどうなのでしょう、本当に熱帯の動物は元気がないのかしら。その疑問を解消すべく動物園に行ってきました。 |
寒い日にとっても活動的なペンギンさん
飼育係にホースで水をかけてもらえる動物園の動物たちは幸せなほう。 野生のコアラにいたっては、水不足でどうしようもなく、民家の玄関先に現われて人間に水を分けてもらっていました。 以前、この連載で夏の動物園では北国の動物が元気なく、冬の動物園では南国の動物に元気がないと書きました。それは旭山動物園で実際に感じたことです。 でも、オーストラリアのニュースを見て、改めて思いました。 動物園は動物たちを絶滅させないために、とても重要な役割を果たしています。 とはいえ、気候や風土が異なる場所に住む動物たちが、オリに入れられて飼育されているのも事実。 チンパンジーさん、もっと元気出してください
動物園にいる動物たちは、四季の移り変わりのなかで“元気”でいるのでしょうか。 ふと思い立って、調査をしてみることにしました。 あまりに大きな動物園だと調査は困難になります。そこで目をつけたのが横浜の野毛山動物園です。 規模の小さな動物園は入場無料。市民たちの憩いの場になっています。 11月の晴れた寒い日に、野毛山動物園を訪ね、それぞれのオリの前に立つこと10分。 動物たちの行動調査を行ってみました。 |
レッサーパンダは愛嬌たっぷりです
入口から順に動物たちの行動メモを公開します。 ●トキなどの鳥類=いたって普通。立ち止まったり、餌をつついたりせわしない。 ●レッサーパンダ=日本と同じような気候に暮らすためか、いたって元気。ぐるぐる歩きまわって、時には池にもジャボジャボ。 ●チンパンジー=ずっと寝ていました。やはり寒さに弱い!? ●マントヒヒ=チンパンジー同様、あまり元気がありません。みんなじっとしています。寒いのが嫌いなのかな。 ●カメ類=けっこうよく動いて餌の野菜をムシャムシャ食べています。とくにインドセタカガメはむちゃくちゃ動きまわっています。 ●ニシキヘビ=ぐるりんぐるりんと動きまわって大人気。 シマウマは10分間、まったく動かず
ところで、カメからワニまでには注釈が必要です。彼らは暖房の効いた室内で飼育されていました。だから、もともとの環境に近い温度だといえそうです。 ●アムールトラ=元気元気、大元気!元気度ナンバーワン。動き回っているので、写真さえ撮らせません。生息地域からいってアムールトラは寒いところも苦にしないようです。 ●ライオン=寝てばかり。トラに比べるとダメダメです。夜になると元気になるのかも。 ●タヌキ=寝てばかり。 ●ニホンアナグマとハクビシン=穴の中で就寝中。 ●アカエリマキキツネザル=元気なのとそうでないのがいます。 ●ダチョウ=食欲旺盛。餌だけでなく、柵も突きまわって歩いています。アフリカにいるくせに。 野毛山動物園のスターといえばコンドルです
●キリン、シマウマ=立ったまま動かず。やはり寒いの苦手?だって、本州ジカはよく動いているのにこちらは10分間動きません。 ●フタコブラクダ=じっと座ったまま。動くのはアゴだけ。 ●フサオマキザル=動きに関係ないのですが、野毛山動物園でいちばんブサイクなお顔でした。 ●ツキノワグマ=冬眠の準備の季節だと思うのに、うろうろ歩き回っています。 ●コンドル=時折つばさを広げると、お客さまも大喜び。野毛山のスターといった感じです。 ●フンボルトペンギン=寒さはむしろ得意なのでしょう。精一杯に泳いでいます。その姿はとても気持ちよさそう。 ●ワラビー類=動きがなんだかスローモー。猛暑にも弱く、寒さにも弱いのかな。 ●フクロウ=寝ているのか起きているのかわかりません。書ききれないものもいますが、ほぼこんな感じです。 ツッパリ損ねた変な顔といった感じのフサオマキザル
すごく単純ですが、こうやって調べてみると、やはり南国や砂漠の動物が冬に弱いようです。 さて、Smart Accessの読者のみなさんも「寒いからいや」なんて言っていないで、冬の動物園を訪れてみませんか? 夏とは違った光景が見られること確実ですよ。 |
< PROFILE >
石井 喜代美
ご主人がアウトドア・旅行雑誌の編集者をしており、その関係で国内外の旅に同行。ブランドショップより地元の市場、高級レストランより庶民の味、そして動物園と水族館には必ず行く主義だとか。キャンプや温泉にも詳しい。
石井 喜代美
ご主人がアウトドア・旅行雑誌の編集者をしており、その関係で国内外の旅に同行。ブランドショップより地元の市場、高級レストランより庶民の味、そして動物園と水族館には必ず行く主義だとか。キャンプや温泉にも詳しい。