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シャチって「キラーホエール(殺し屋クジラってすごいですね)」とか「海のギャング」と呼ばれています。でも、水族館などで人間と仲良しもできる。なんででしょう? その秘密を知りたくて鴨川シーワールドに行ってきました。
鴨川シーワールドはトレーニング技術が一流。シャチもイルカもセイウチも、その特徴を観客に見せながらユーモラスなショーを展開しています
前回、イルカとの触れ合いについて原稿を書いたあと、映画『オーシャンズ』を観に行きました。

この手のドキュメント、動物やお魚好きにはたまりません。

それにしても海の暴れん坊シャチにはいつも驚かされます。

以前に観た映画でもシャチの群れが執拗にクジラの親子を襲い、ついには赤ちゃんクジラを窒息死させて下アゴの部分だけを食べるシーンが映っていました。

映画『オーシャンズ』にもシャチがビーチにいるオタリア(アザラシに似た動物です)を襲う迫力満点のシーンが出てきます。

なんでもシャチはもっとも速く泳げる哺乳類で、アザラシ類にとどまらず、これまでにも最大の哺乳類であるシロナガスクジラ、ホッキョクグマ、ホオジロザメまで襲ったという記録があるそうです。

だからこそシャチは海洋の食物連鎖の頂点に君臨しています。

イルカと同様に知能も高いから、まさに向かうところ天敵なし、なのですね。

「うらやましい!」ですね、トレーナーを上に乗せてくれました
しかし、不思議に思いませんか?水族館ではシャチは人間と仲良くしています。

海で人間を襲ったという例はほとんどないそうですが、クジラの死肉まで食べるというシャチが、小魚程度の餌に満足して人間と泳ぎ、ジャンプなども披露してしまう。

海の殺し屋がどうしたらあんなに従順になるのでしょう。

秘密が知りたくて鴨川シーワールドにシャチを見に出かけました。
シャチが飛ぶ姿は豪快のひとこと
キスをする、背負って泳ぐ、人を空中に飛ばして一緒にジャンプする。甘える……。

「トレーナーになりたーい!」と思うほど、鴨川シーワールドのシャチはよく訓練されていました。しかし、シャチ特有の鋭い歯もはっきり確認できます。

それなのに、なぜ海の殺し屋はいっさい反抗しないで、おとなしくトレーナーの言うことを聞くのでしょう。

徐々にさまざまなことがわかってきました。

歯クジラの一種であり、シャチ属に属するのも1種のみのシャチですが、南極海だけでも大きく分けて3つのタイプがあるのです。

ひとつ目のタイプはオスで平均7.8mほどの大きさで、クロミンククジラなどを主食にしています。

2番目のタイプはひとつ目のタイプよりやや小型であっても、海の哺乳類を主食にするタイプ。ナガスクジラ、イルカ、ペンギンなども捕食します。

お客さんのほっぺにチュ! 少しも怖くありません
そして、3番目のタイプはもっとも小さい体型をしており、タラを中心とした魚食性。大きな群れを作り、流氷の流れる沿岸近くに暮らしています。

そして、はるか昔よりこの3タイプに混血はなく、それぞれの食性と行動を維持しています。

北太平洋の観測でも定住型、回遊型、沖合型などのそれぞれまったく異なる個体群が確認されています。

つまり、シャチは生まれながらに親から引き継がれた遺伝子をもっており、それによって食性も習性も大きく異なっているのです。

それでなんとなくわかりました。

水族館にいるシャチは、もともと小魚しか食べない種族のシャチなのです。

つまり、大型哺乳類を見ても食糧と思わないグループに属していたシャチなのでした。
「海のカナリア」ベルーガです。かわいいのでおまけで掲載しました
迫力あふれるシャチのショーが終わると、鴨川シーワールドではシャチにキスをする時間が始まります。

希望する来園者がトレーナーに呼ばれて順番に並びます。やがて自分の番が来ると、プールサイドに腰をおろして待機。

トレーナーが合図をすると、シャチは水面から顔を出して、やさしくほっぺにチュ!

違う種族だったら獰猛に口を開けるかもしれませんが、水族館にいるやさしいシャチは、トレーナーたちと小さいときから接していますから、人間にはとても親切。

お客さんを驚かせないように、ゆっくりキスをしてくれます。

映画『オーシャンズ』などの海洋ドキュメントで獰猛なシャチを観てから、水族館にやさしいシャチを見に行く。

同じシャチでも異なる個性があるのがわかり、とてもおもしろい体験ができます。

●鴨川シーワールド
http://www.kamogawa-seaworld.jp/index.html
シャチ、イルカ、ベルーガ、アシカのパフォーマンスや動物たちのお食事時間、ペリカンのお散歩タイムなどが人気。

●太地町立くじらの博物館
http://www.town.taiji.wakayama.jp/hakubutukan/sub_eigyou.html
和歌山県の太地町は捕鯨の町として栄えました。捕鯨の資料も一見の価値があります。

※名古屋港水族館のシャチは20年の9月に死亡しました。
< PROFILE >
石井 喜代美
ご主人がアウトドア・旅行雑誌の編集者をしており、その関係で国内外の旅に同行。ブランドショップより地元の市場、高級レストランより庶民の味、そして動物園と水族館には必ず行く主義だとか。キャンプや温泉にも詳しい。
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