人間、高いところに登りたがる。頂上から見下ろすとすごくいい気分になる。ところが高いところに行くにはそれなりの労力も必要。でも、文明はケーブルカーや登山電車を生み出している! |
すごいわかりにくい写真ですが、トラムからはこんな風に、ビルが斜めに見えます
都合、4回目の香港で、今回の主な目的は最近、“ラスベガスよりすごい”と評判のマカオのカジノを視察することだった。 たしかにマカオのカジノにはびっくり! MGMなどのラスベガスでも見かけるグループが大型ホテル&カジノを建て、そこに中国人などの大金持ちが大挙して押し寄せ、最低ベット金額が高額のテーブルでがんがん賭けている。 来年、ゴルフ場を備えた大型カジノリゾートも誕生するそうだ。 ま、それはいいとして、香港に行くたびに乗るのが「ピーク・トラム」である。 このケーブルカー式登山電車、なんと120年以上の歴史を誇り、わずかな時間で香港を一望できるピーク・タワーまで人々を運ぶ。 今や1000億ドルの夜景なんだろうが、120年前は“1万ドルの夜景”を観光客たちは堪能した。 このトラムがすごいのだ。最大傾斜は27度。 人間の順応性とは不思議なもので、トラムに乗っている我々が大きく傾いているのに、いつの間にか我々が垂直で、窓から見える摩天楼が傾いているように見える。 斜めに立つ背の高いビルがにょきにょき。それはそれは奇妙な光景なのだ。 香港のこの景色を手に入れるのにわずか8分。ケーブルカーはすごい!
汗かき、水飲み、最後の長い急勾配の階段をぜいぜい登る。 山頂から見るワイキキの景色は素晴らしく、満足感も高いのだが、いかんせんつらい、つらすぎる(運動不足だね)。 そんなわけで、体力が衰えてきた最近は登山電車のありがたみをしみじみ感じると同時に、景色が一変する登山電車&ケーブルカー体験がとてもおもしろく思えてくるのだ。 |
時間が経つとやがて街に灯がともり始めます
スイスのユングフラウ鉄道は19世紀末から工事を始めたのだが、その到達点は標高3454m。名峰アイガーの中に掘られたトンネルの中を進むのである。 このとき、読者モデルを連れて行ったのだが、途中で高山病のために顔面蒼白になって、ずいぶんあわてたものだ。 登山電車が登る横のスキーコースを滑る。スキーヤーと電車が一体化して、とても美しい写真が撮れたのを記憶している。 ツェルマットやインスブルックといったヨーロッパの有名スキー場にもケーブルカーは数多く設置されている。 世界中から来る観光客がデジカメやケータイで景色を撮影
みるみる近づく山頂、植生や風景がまったく異なる雲上の世界。 瞬く間に別世界に人間を運んでくれるのがケーブルカーなのだ。 |
全然関係ないんですけれど、香港で「小鳥占い」をしてみました。小鳥がくわえた紙が運勢だとか。
“ループ”や“スイッチバック”という鉄道ファンには見逃せないポイントを多くもつ箱根登山鉄道は、箱根湯本から強羅までの8.9㎞を約30分かけて走る日本唯一の本格的登山鉄道。 さらに、終点の強羅では箱根登山ケーブルカーと接続している。まさに、登山電車+ケーブルカーの最強2トップなのだ。 一方、“筑波山鋼索鉄道線”という難しい名称をもつのは、筑波観光鉄道のケーブルカーだ。 大正14年に営業を始めたものの、不要線として昭和19年に廃止。しかし、昭和29年に営業再開するという奇跡の復活を遂げている。 山頂からは筑波山のハイキングもぐっと楽。「復活に乾杯」なんて気分になる。 調べてみると、「鉄道事業法」に基づいて運行しているケーブルカーの事業者は日本に約25カ所。 そのほかにも渓谷沿いの露天風呂まで宿泊客を運ぶ、温泉宿が設置したケーブルカーなどもある。 あっという間に別世界に連れて行ってくれるケーブルカーに登山電車。クルマを駐車場に停め、ケーブルカーに乗ることを目的に出かけるドライブはいかが? |
●全国のケーブルカーを調べています。ケーブルカー大好きさんのようです。
http://www.masaru.ac/contents.html
●箱根登山鉄道のホームページ。イベント情報なども掲載されています。
http://www.hakone-tozan.co.jp/
●筑波山ケーブルカーのホームページです。ハイキングにぜひ!
http://www.mt-tsukuba.com/
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)