伊豆下田にある清流荘は、世界中からVIPが訪れる森の中の純和風旅館。2000坪の庭園にある源泉かけ流しの温泉プールは、ほかに類を見ないほど純度の高い美しい温泉のプールだ。 |
10畳の和室のほかにリビングと副室のある露天風呂付特別室
これは世界中から選りすぐった450のレストランとホテルがカラーページで紹介されているガイドブックだ。 そこで紹介されている日本の宿泊施設はわずかに6軒しかない。 そのなかのひとつ、伊豆下田の蓮台寺温泉にある清流荘は、これまで取材したなかでも忘れられない宿のひとつだ。 蓮台寺温泉は伊豆半島のほぼ南端に位置しており、クルマでのアクセスはゆっくりドライブを楽しみながらの道中になる。 東京からは少しの休憩を入れても、約3時間半はみたほうがいい。 東名高速で厚木から小田原に向かい、伊豆半島の東岸を走る国道135号線で下田に向かうのが順当なルート。 下田から下田街道(国道414号線)を北上すると、まもなく伊豆急行の蓮台寺駅に至る。 清流荘は、駅の手前で下田街道を少し入ったところにある。 毎分170リットルの源泉がこのプールに注ぎ込まれている
本館の特別室は、かつてアメリカのカーター大統領が休憩した部屋として人気がある。 なんといっても、この宿が素晴らしいのは、森の中に忽然と姿を現す25mの温水プールをはじめとする「ガーデン・スパ」だ。 プールといっても、ただのプールではない。 源泉をそのまま流し込んだ、混じりっけなしの温泉なのだ。 温水プールならぬ、源泉かけ流しプール。 この宿には3本の自家源泉があり、毎分550リットルもの湯が湧き出している。そして、その源泉の1本をそのまま使用し、プールにしている。 テルマリウム施設は温浴できるいくつかの部屋に分かれている
湯口の温度は51.8度と十分な熱量があるので、1年中利用できる。冬季でも水温は31度ほどだから、むしろ温かいほどだ。 水質がいいために、プールといっても塩素臭さはまったく感じられない。 水中で目を開けていてもまったく赤くならない。 かつて、こんなに水質のきれいなプールにお目にかかったことはないし、日本ではいまだにその存在を聞いたことがない。 そして、プールの横には、古代ローマ式サウナ「テルマリウム」がある。 建物の中は低温サウナになっており、ほどよく温かい程度。常に新鮮な空気が循環しているので、長い間入っていても体が乾燥することがない。 かつて、猛烈なスケジュールに追われていた頃に宿泊したことがある。 この宿に辿り着いたときには、睡眠もままならず、心身ともに疲れ果てていた。 源泉かけ流しプールに入り、休憩所に用意してあるおいしい水を飲む。そして、テルマリウムへ行き、大理石や美しいモザイクタイルで作られたソファに横たわった。 パームテラス利用は有料だが、死海やモロッコの鉱泥パックやトルコ風ミストを体験したあとにウォーターベッドでゆったりくつろげる
アロマの香りが漂うキャビンで体を休めていると、いつの間にか深い眠りに入ってしまっていた。 心地よい蒸気が体を包み、体の芯から毒素が汗となって抜けていく。 水分補給とスイミング、テルマリウムを繰り返しながら、ほぼ半日をこのプール周辺で過ごした。 帰りがけ、支配人に「顔色がよくなりましたね」といわれるほど、このガーデン・スパの効果は絶大だった。 庭園内のプールの傍らには、プライベートでゆっくり寛げるスパ・スイートの「パームテラス」があり、泥のパックやオイルトリートメントを施術してもらうことができる。 また、フィンランド式薪サウナ「ケロ」は、所有地から切り出してきた木材を焚くのが特徴。木の香りが鼻腔をくすぐり、ゆるやかな熱でじんわりと体を温めてくれる。 ヨーロッパでは、温泉は医療施設の一環として利用されているが、このガーデン・スパはそれに勝るとも劣らない、本当の意味でのリラグゼーション・リゾートといえる。 カーターが食したというかさごの唐揚げが名物だが、金目鯛のしゃぶしゃぶやすっぽん、伊勢海老、アワビを使った特別なプランもある。 仕事に疲れた時、本当に体を癒してくれる自分へのご褒美の宿。 おすすめである。 |
7月下旬から8月下旬にかけて、下田・大賀茂川河口の吉佐美ボードウォーク周辺では、ハイビスカスと同属の「はまぼう」が見頃になる。北限地は三浦半島までといわれ、400~500株ものはまぼうは圧巻だ。また、7月17日には白浜秋の祭典花火大会が開催される。