富士山の裾野にあるメンバーシップコースですが、ゲストでもリーズナブルな料金でコースの素晴らしさやクラブハウスの雰囲気を堪能できます。 |
18番グリーンから富士山を望む。このほか、12番、13番ホールからの富士が素晴らしい
富士カントリークラブ 所在地:静岡県御殿場市東山2472番地 TEL:0550-82-1616 ホール:18ホール パー72 6771ヤード 開場:1958年 コース設計:赤星四郎 クラブハウス設計:アントニン・レーモンド ゲスト料金:平日約1万5000円~/土日祝約2万円~ (1ラウンド乗用カート・セルフ) 東名自動車道・御殿場ICから2km。高速道を出て3分でクラブハウスに着くという近さで、これほど都心からアクセスのいいゴルフ場はなかなかありません。 ここは、御殿場市で戦後もっとも早くできたゴルフクラブです。 富士裾野一帯は、戦後は米軍により接取されていましたが、勝又春一市長は米軍撤退後のことを考え、1956年(昭和31年)に、レクリエーショナル施設と地元とのコミュニケーション場としてゴルフ場建設を計画しました。 発起人には石橋湛山(首相)、安藤楢六(小田急電鉄初代社長)、石井光次郎(元副総理・岸総理時代)、瀬川美能留(野村證券社長)ら19名が名を連ねます。 1958年8月16日、18ホールが完成し、秩父宮妃殿下を招いて鍬入れ式が行われました。 ゴルフコースを設計したのは赤星四郎。 薩摩藩出身の政商・赤星弥之助の四男に当たります。赤星四郎は高校時代からアメリカへ留学し、プリンストン大学に学びます。大学ではアメリカンフットボールの選手でしたが、帰国後、発足して間もない東京ゴルフ倶楽部に入会。1926年(大正15年)の日本アマで初優勝を飾り、トップアマとしてだけではなく、コース設計家としても活躍。日本でゴルフの普及に努めた重要人物のひとりです。 赤星四郎の設計したコースには、程ヶ谷カントリークラブ(大正12年)、霞ヶ関カンツリー倶楽部東コース(昭和4年)、箱根カントリー倶楽部(昭和29年)などがあります。 丘陵地の傾斜や細やかなアンジュレーション(起伏)がそのまま残され、自然の景観を生かしたコース設計になっているのが特徴です。 クラブハウスを設計したのはアントニン・レーモンド。旧帝国ホテルを手がけたフランク・ロイド・ライトの右腕として来日しました。レーモンドの門下生には前川國男や吉村順三がおり、日本の建築家にも大きな影響を与えたモダニズム建築の泰斗です。 クラブハウスは木の梁が印象的な木造平屋風。寒い時期には暖炉に火が灯される
ゴルフ場は箱根外輪山の丘陵に位置し、すべてのコースから富士山が一望できる眺望に恵まれています。標高はおおよそ500m。 開設して50年以上経っているだけあって、コースを隔てる樹木は大きく成長しています。松や杉などの常緑樹のほか、ケヤキや樫、楢などの広葉樹の大木がコースに彩りを添え、春は桜、夏はつつじ、秋は紅葉と季節によってさまざまな顔を見せてくれます。箱根には野鳥が多く生息しており、プレー中、その鳴き声に心がなごみます。 コースのうねりや両サイドの大木が難易度を高めており、戦略的に攻めることを求められます。しかし、決していやらしくはありません。飛ばし屋にとっては難易度が高く挑戦しがいがあり、刻んで攻めていっても寄せワンで上がれる可能性があるので、どんなゴルファーにとってもフェアなプレーができるでしょう。 GPSで自分の位置が捕捉されるので、ピンまで精度の高い距離が表示される
クラブハウスは木造平屋風のつくりで、自然の景観の中に違和感なく溶け込んでいます。大木の梁と白い天井の壁が、時代を経ても風化しないモダンな印象。レストランの大きな1枚ガラスは、富士山がすっぽりと収まるようにデザインされたピクチャーウィンドウ。天気に恵まれれば額縁の中の富士を眺めることができるでしょう。 クラブハウス内には、さりげなく、かつてメンバーだった黒澤明監督の富士の絵が掲げられており、その筆致を確認するのも楽しみのひとつかもしれません。 指示に従って走ると、係員により、アウトレットから離れた駐車場に誘導されます。隣接する駐車場は満車の可能性が高いためです。 駐車場からは無料シャトルバスに乗っての移動となるので、行き帰りも含め1時間程度の余裕をみてタイムスケジュールを組むと安心でしょう。 |
富士カントリークラブはメンバーシップ制で、ゲストのプレーには原則的に会員の紹介が必要ですが、電話やE-mailでの問い合わせにより予約が可能です。予約状況と合わせてホームページを確認してください。また、ドレスコードもあるので行き帰り、プレー中の服装には注意が必要です。毎週金曜日はシニア・レディスデーになっており、デザートを含むドリンクの中から1品サービスとなります。
< PROFILE >
長岡 努
編集者。元ゴルフ月刊誌『waggle』(ワッグル)デスク。現在もゴルフギアやルポを中心に『waggle』、週刊『パーゴルフ』などで執筆中。都会と田舎暮らしの二地域居住のヒントや情報を提供する[デュアルライフプレス]を主宰している。
http://blog.duallifepress.com
長岡 努
編集者。元ゴルフ月刊誌『waggle』(ワッグル)デスク。現在もゴルフギアやルポを中心に『waggle』、週刊『パーゴルフ』などで執筆中。都会と田舎暮らしの二地域居住のヒントや情報を提供する[デュアルライフプレス]を主宰している。
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