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猛暑が続いた夏も過ぎ、心地よい秋の陽気に包まれたキャンプは、他の季節では味わえない、ゆったりとした時間が過ごせる。食欲が増す秋にぴったりな「芋煮会」というアウトドアの伝統料理を紹介します。
材料はそれぞれの持ち寄りでOK。 でも里芋は欠かさず入れることがポイント
出かけるのにも億劫になってしまうほどの猛暑が続いた今年の夏。そんな暑さも引いて、暑くもなく、寒くもない、だれしもが過ごしやすい季節の秋が始まった。

秋になると夜の時間帯も長くなり、あちこちのキャンプ場では、焚き火や天体観測を楽しむキャンパーも多いだろう。

僕は、夏の暑さに負けてBBQも多摩川で1回やっただけでキャンプをする気になれず、完全な引きこもり状態だった(好きなお酒と一緒にね)。

やっと身体にまとわりつくような暑さもなくなり、そろそろ久しぶりキャンプでもしようかな~と1人考えていた時にキャンプ仲間からの電話。

「前から言ってた芋煮会やろうよ! この季節にはピッタリだよ」と友人。芋煮会ってなんだったけと思いながらも、“すでにキャンプ初心者ではない(そう思っている)”僕は友人に聞くこともできず、とりあえず「よしやろう!」と言ってしまった。

秋の夜は星空も堪能できる 星空のもと、みんなで食べる芋煮は絶品だ
あわてた僕はすぐさまインターネットで(こういう時ものすごく助かる)リサーチ。なんでも山形で始まった習慣で秋の収穫を祝い、各自が食材を持ち寄って、河原に集まって食べたり、飲んだりすることだそうだ。

鍋に入れる材料は、里芋のほか、こんにゃく、長ねぎ、牛肉が基本。これに醤油、砂糖、日本酒のみで味付けをする。これにキノコ類やごぼうなどをオプションで入れることもある。

最近は食べ残した芋煮鍋にカレーのルーとうどんを入れて芋煮カレーうどんで締めるというのが定番だ。

なにしろ秋の週末、山形県の河原には芋煮会をするファミリーやグループが大勢いて、これはもう生活に密着したアウトドア行事になっているのだ。

そこでさっそく週末に芋煮会を始めることに。近場のキャンプ場に10人ほどのキャンプ仲間と行き、秋のなんともセンチメンタルな夕焼けを眺めながら、準備をスタート。

あとで、「こんなアウトドア料理があったのか!」と感動するとは思いもよらなかった。
芋煮を作るために使った火を、 そのまま焚き火にすれば一石二鳥。ただし、直火OKの場所かは確認のこと
主役はなんといっても名前のとおり、「里芋」。秋の味覚でもある里芋は必ず入れる。昔から家族で芋煮会を楽しんでいた友人によると、夏が短い北海道などの寒冷地帯ではうまく里芋が育ちにくいため、山芋やじゃがいもで代用しているそうだ。でも、発祥の地・山形ではなんといっても里芋だ。

鍋に入れる材料は、持ち寄りのため、主役となる里芋があれば、それ以外は何を入れても自由。何を入れてもOKなのは、闇鍋に似ているかもしれない(当然何が入っているか分からない恐怖心はないのでご心配なく)。

調理方法は地域によって違い、宮城県、福島県、山形県庄内地方、関東圏では、味噌をふんだんに使用した豚汁風芋煮。福島県の一部では味噌と醤油をブレンド したりする。

秋田県などでは鶏肉と醤油を使用した、とりすき風芋煮。もちろん郷土料理であるきりたんぽも入れる。地方によって味や具材、調理方法も違うの は芋煮会ならではのこと。今回僕たちが作ったのは豚汁風芋煮。ダイコンやハクサイ、ゴボウに油揚げに秋の味覚・マツタケも盛り込んだ(すごし贅沢かな)。

ぐつぐつと煮込んだ芋煮からは 食欲を倍増させる香りが漂ってくる
味付けは福島県の一部地域で親しまれている味噌と醤油のブレンド。あっさりとしていながらも、味噌のコクがやわらかくなった里芋やマツタケなどにマッチして、心も体も温まる鍋が完成した。

煮込む時間を耐えたご褒美に、冷えたビールをぐびっと飲み、芋煮をつつくのがこれまた最高! アウトドアなんていう言葉が日本に浸透する前からこの芋煮会をしていたなんて、今日この日まで知らなかった自分に落胆しつつも、まあいいや! 開き直っている自分もいたり……。

秋の味覚を鍋にして、みんなで舌鼓を打つ。これこそ秋の夜長キャンプにはもっこいのアウトドア料理だろう。皆さんもぜひ今年はオリジナルの「芋煮会」を始めてみてはいかがだろうか。
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日本一の芋煮会フェスティバル http://www.y-yeg.jp/imoni/
山形名物でもある芋煮のフェスティバルや調理方法など紹介しています。
< PROFILE >
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めたばかりの新米編集者。超がつくほどのアウトドア初心者のため、猛勉強中。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。
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