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コース設計家のC.H.アリソンは昭和初期に日本でいくつかのコースを設計・改修し、いまでも名クラシックコースとして現存しています。なかでも川奈はビジターだけでもラウンドでき、80年を経たいまも色あせていません。
重厚感のあるホテルエントランスのロビー。
昭和11年の開業時から変わらぬ暖炉の上にはオークラの紋章が
川奈ホテルゴルフコース
所在地:静岡県伊東市川奈1459
TEL:0557-45-1111
ホール:
富士コース18ホール パー72 6691ヤード(ブルーティ)
大島コース18ホール パー70 5711ヤード(ホワイトティ)
開場: 1936年(富士コース)/大島コース1928年(大島コース)
コース設計:C.H.アリソン(富士コース)/大谷光明(大島コース)
ゲスト料金:平日3万7000円~/土日祝4万7000円~ (1泊朝食付き・1ラウンド・4サムキャディフィ込)
先日、川奈をラウンドする機会に恵まれました。

川奈の富士コースといえば、ゴールデンウィークに開催されるフジサンケイクラシックの会場としても知られ、1981年から2004年まで男子が、2005年からはレディスクラシックが行われている日本屈指の難易度を誇る名門コースです。

米国『ゴルフマガジン』誌による世界トップ100ゴルフコースでランクインしている日本のコースは、現在4つあります。
廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県三木市)、川奈・富士コース(静岡県伊東市)、東京ゴルフ倶楽部(埼玉県狭山市)、鳴尾ゴルフ倶楽部(兵庫県川西市)。

どれもがメンバー同伴でのプレーを求められるなかで、川奈だけはホテルに宿泊すれば、ビジターのみでも富士コースをラウンドすることができます。  

川奈は、伊豆半島の東側で、もっとも相模灘に突き出た湾岸沿いにあります。東京都心からはクルマで約2時間半。熱海から海岸沿いの国道135号線をさらに南へ約30分ほどのドライブが必要です。

ゴルフコースは大島コース18ホールと富士コース18ホールがあり、大島コースは日帰り客に対応、トーナメントが行われる富士コースは川奈ホテルに宿泊してのプレーとなります。  

富士コースは1936年に開場しました。

設計はチャールズ・ヒュー・アリソン(1882~1952)。
アリソンは英国コース設計界の巨匠ハリー・コルト(1869~1951)の助手で、東京ゴルフ倶楽部(朝霞コース)の設計を依頼されたコルトの代役として、30年12月に来日しました。  

ちょうどその時期、日本でもようやく日本人のためのゴルフ場の開発が進められようとしていました。廣野ゴルフ倶楽部もそのひとつで、アリソンは東京GCに引き続いて廣野へ向かう予定でした。

ホテルからゴルフへ向かうコリドーの壁にアリソンが描いたコース原図が掲げられている
ところが、廣野へ向かう直前、川奈ホテルを経営する大倉喜七郎から、新たなチャンピオンコースの設計を依頼されます。

川奈ではすでに、アリソンの接待役でもあった大谷光明の設計による大島コースが28年に完成していました。
アリソンはこの風光明媚な川奈に心を動かされ、景観と地形を生かしたコースの図面作成に取りかかるのです。  

先ほど述べた世界のトップ100にランクインしている日本のゴルフコースはすべて、この時期に来日したアリソンが設計、もしくは改善のアドバイスをしたコースばかりです。
約80年を経た現在でも高い評価を得ている理由は、彼のコースには称賛に値する設計哲学が反映されているからでしょう。  

1番ホールは高低差のある急激な打ち下ろしになっており、グリーンの先に広大な海が広がる。川奈の特徴をひとホールで表現するかのような、印象的なホール
3番は420ヤード(ホワイトティ)とやや短めのパー5。ティショットの正面には3段バンカーが口を開けている。自分の飛距離によって狙うポイントが変わり、セカンドショットからきつい打ち上げになる
7番パー4のティショットは正面のバンカー超えを狙う。セカンド地点が左右に分かれたスプリットホールで、右につけると花道、左からはバンカー越えの難しいショットを要求される
11番は灯台に向かっていく左ドッグレッグのパー5。雄大なホールで、パームツリーと人物の大きさからスケール感が伝わるかと思う
15番は海岸沿い打ち下ろしパー5の名物ホール。海風によってドライバーの距離や方向がまったく変わってしまう
18番グリーンの手前には背丈よりも高いバンカーが。球を転がす、上げるというテクニックを駆使できないゴルファーには厳しい
ランキング上位のゴルフ場をいくつも手がけ、現在最も注目されているモダンクラシックコース設計家のひとり、トム・ドォークの言葉を借りれば、すばらしいゴルフコースとは以下のようなものになります。

「最高のコースはミスショットに対するハザードが組み込まれているだけでなく、そのレイアウトは基本的な、しかし大変重要な戦略概念や健全な構造に基づき、しかもすべての特徴は風景とうまく調和しています」
(マサ・ニシジマ著『ゴルフコース好奇心』ゴルフダイジェスト刊より)  

これを言いかえれば、
 ・自然な景観や植生、斜面の起伏を極力生かすこと
 ・ゴルフというスポーツを成り立たせるための戦略性と難易度を確保すること
 ・これらを有機的にまとめるコースルーティングを考えること

これが、すばらしいコース設計のための条件ということになるでしょう。  

実際に、川奈はすばらしいコースでした。  

とくに評価の高い名ホールは、3番、7番、11番、13番、15番あたりでしょうか。  

写真からはなかなか伝わりにくいかもしれませんが、そのスケール感に圧倒されます。  

コースを隔てる樹木は大きく成長しており、コース幅は見た目以上にあるので、多少のショットの乱れに対する許容度は広いといえます。  

しかし、難易度を高めている要因のひとつは斜面の起伏です。高低差が大きく、とくに上りのホールでは表示距離以上のショットを求められます。

また、バンカーも大きく、高さは軽く背丈を超えるものも少なくありません。

グリーンは高麗芝。芝目が強く、やや強めに打たないと狙ったラインに乗らないのですが、刈りこんであるために下りのラインはかなり速い。方向とタッチを合わせるのが難しい設定になっています。  

正直なところ、スコアはいつもより10打も多くなってしまいました。でも、ホールアウト後の気分はじつに爽快でした。  

ボールを打つことがこんなに楽しいなんて。
コースは難しいかもしれませんが、チャレンジする気持ちを奮い立たせてくれる。

また必ず、このコースに挑戦してみたい。

フェアな戦いを終えた戦士のように、心にはすがすがしさが残りました。
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クルマで東京方面からは東名高速・厚木ICから小田原厚木道路、真鶴道路、国道135号線を経るルートが一般的。電車ならJR伊東線伊東駅からタクシーで約15分、伊豆急行川奈駅からタクシーで5分。大島コースは2人乗りのカートで日帰りのセルフプレーに対応。富士コースはホテルに宿泊してのプレーになる。宿泊、プレーの曜日によって料金が異なるので、ホームページなどで確認を。
< PROFILE >
長岡 努
編集者。元ゴルフ月刊誌『waggle』(ワッグル)デスク。現在もゴルフギアやルポを中心に『waggle』、週刊『パーゴルフ』などで執筆中。都会と田舎暮らしの二地域居住のヒントや情報を提供する[デュアルライフプレス]を主宰している。
http://blog.duallifepress.com
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