外に出るのがなんとなくためらわれる寒い季節。この時期のお出かけ体験は、「民宿泊」がおすすめ。おじいちゃん、おばあちゃんが都会に住んでいる子どもたちにとって、民宿のおじちゃんおばちゃんは、第二の故郷になってくれるだろう。 |
大きな屋根が印象的な古民家民宿、日本の昔が体験できる
フルーツ狩りなどもイチゴなどの一部を除いては季節外れだし、スキー場に行く以外はなんだか出かける気分になれない。 ここで余談だけど、この連載の第1回目で書いたイチゴ狩りのコツ、覚えてますか? ハウス内の温かいイチゴは、案外と数が食べられません。 そこで、紙コップふたつと氷、水を用意。摘んだばかりのイチゴを、最初は氷水の入ったふたつの紙コップに入れていく。 イチゴが冷えたらひとつの紙コップを食べ、空になった紙コップに再びイチゴを補充。これを交互に繰り返せば、常に清潔で冷え冷えのイチゴが食べられるので、暖かいイチゴを食べるよりも、その何倍も多く食べられるって寸法! ぜひ実行してください。 さて、この時期だからこそのおすすめ体験が「民宿」体験。 リゾート系ホテルや巨大温泉旅館のように「宣伝費」を計上できないから、そんなに派手なPRもできないし、パンフレットなども出回っていないけれど、現在だって民宿は日本の各地に数多く点在。 料金がリーズナブルなのもうれしいけれど、それ以上に「人と人の触れ合い」が多い民宿は、一生の付き合いができる“第二の故郷”になる可能性を秘めている。 |
空いている時間には畑で冬野菜の収穫のお手伝いも
「都会の方を迎えるのに、何から始めていいかわからずに、最初は洋風の便器を長野まで買いに行って設置したんですよ」と、民宿を始めた当時を話してくれたのは、信州・木島平の民宿のばっちゃんだった。その後も信州昔話はつきなかった。 午後のひとときをコタツでくつろいでいるときに、「これ食べんかね」と、みかんと自家製の野沢菜をたっぷり持ってきてくれたのは、同じく信州・戸狩の民宿のおばちゃんだった。おばちゃんは野沢菜を漬ける過程の見学もさせてくれた。 朝食前に漁船で海に連れていってくれたのは北海道の民宿のおやじだった。そこで1本釣りした新鮮な魚が、朝食の刺身になって提供された。 手づくりそばなどの地域の食を堪能できるのも民宿体験の楽しさ
着いた早々に畑に連れていってくれたのは沖縄・宜野座村の民宿のおかあさんだった。 「何が食べたい」というからパパイヤとゴーヤを指さすと、その収獲の仕方、料理の方法を教えてくれて、夕食にはおかあさんが作った極上のゴーヤ・チャンプルー、パパイヤ・イリチーが出てきた。 こう考えてみると、民宿は「体験」の場。民宿のおじちゃん、おばちゃんのやさしさに甘え、親しくなれば、さまざまな都会ではできない体験をさせてもらえる。 |
冬も暖かい沖縄では、リゾートホテルよりも民宿を選んでみては? 写真の「農家民宿田元(タムトゥー)」の仲間澄子さんは「農林魚家民宿おかあさん100選」にも選ばれている
とはいえ、民宿は大人数のお客様を相手にする商売ではない。少人数を相手にしているから、ほとんどの場合は行き届いたおもてなしをしてくれる。 「気のいいばっちゃんと気難しそうなじっちゃん」という構図もまた一般的だけど、じっちゃんは気恥ずかしいだけ。徐々に親しくなれば、いろんなことを教えてくれる人生の達人だ。 また、「農林漁家民宿おかあさん100選」というのがあるのをご存じだろうか。 全国の農業、漁業に従事しながら民宿を営むところのうちで、とくに評判がよく、安心な食事を楽しめ、農業・漁業体験も可能な宿を選んだものだ。 興味のある民宿を見つけ出し、身体と心があたたまり、そして知識が増える民宿体験、ぜひ家族でしてみませんか? |
●農林魚家民宿おかあさん100選
農林魚家の解説、選ばれたおかあさんの経営する民宿のガイドなど。行ってみたくなる「体験型」民宿も多数掲載されてます。
http://www.ohrai.jp/okasan100/
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)