なんにも予定のない休日、妻としている遊びが「じゃんけん散歩」です。じゃんけん散歩は目的が決まった“お出かけ”じゃないから新しい発見の連続です。そして、これが災害時などに思わず役立ったりします。 |
大通りから入っていったら住宅地の真ん中に大きな公園がありました
「どっかって、どこさ。遠くに行くのも億劫だぜ」 仕事が忙しかったあとのやっととれた休日となると、遠くや混雑している観光地に出かけるのはちょっと面倒。 でも、お出かけしないで家でごろごろしているのはなんとなくもったいない。それに、家にはお出かけしたい妻や子どもたちがいたりして…。 「わかった。とりあえず家を出よう。そうだね、持ち物はペットボトルの飲料と財布。それにケータイだね」 ぼくのスマートフォンには地図と磁石のアプリがインストールしてある。磁石は使うけど、きっと地図は見ない。わざと見ないのだ。 「で、どこに行くの?」 「それは運次第。気になる交差点でじゃんけんして、勝ったほうに進もう」 こんなルールを決めて始めた。 運河が多い木場や門前仲町で"いろいろな橋"を見つけました
その後は負けたほうに「交差点指定」の権利が移り、負けた人が気になる交差点でストップと合図。そこで、右か左か直進か。それらを指名してじゃんけん・ぽん! 勝ったほうが宣言した方向へ行く。 さらにぼくらは「2時間後にどこにいるか?」といるルールを決めて歩き出した。果たして2時間後、木場からどこにたどりついているか。出発した時刻は午前11時だったから、午後1時についた場所でランチを楽しむことにした。 |
入り口の門には個人の表札も。個人管理の神社でしょうか
しかし、マンションと駅、マンションとよく行くショッピングセンターの往復ばかりだと気付かされた。クルマで走るとしても、メイン道路が主だから路地裏の世界は知らない。 木場五丁目からいつもは利用しない細い道を歩き北へ。そこから住宅地を歩いて再び南へ。 橋が小さなタイルで細工されているのに感心し、春に花咲かせる桜並木の多さに驚き、まるで個人宅のような入り口の中に神社があるのに感動を覚える。 民家を見るのも楽しい。それぞれの設計に個性があり、住んでいる人ならではの主張がある。 知らなかった公園があり、水のある散策路を見つける。 和菓子屋さんにおいしそうな手作りケーキ屋さんも見つけた。 和菓子屋さんではつい、串だんごを買って食べながら歩いた。 じゃんけんが決めた行く先々に、小さな発見があっておもしろい。 小さなケーキ屋さんは多くのお客様がいました
やったー。もんじゃだ!!! 大好物の「明太子もち・イカ入り」と「カレー肉にんにく」を食べたのだった。 でも、落ちもある。あまりに「じゃんけん散歩」がうまくいって、いい気分になり、ビールを飲み過ぎてしまったぼくたちは、帰りはタクシーで帰ってきたのである。お粗末。 |
「かすていら」、買って食べたい気がします
じゃんけんとは不思議なもので、2回目には月島とは方角的に正反対の亀戸に到着した。 住んでいる町だけでは飽き足らず、クルマで近隣の町に出かけ、そこのコイン駐車場に停めて歩く楽しさも覚えた。 最近、「町歩きツアー」がブームになっている。 観光地ではボランティアガイドとともに、町の史跡や名産物の工場などをめぐる。 観光バスツアーで定評のある「クラブツーリズム」では、自然を感じる、歴史を学ぶ、写真を撮る、大人の社会科見学などのテーマ別に、3000円前後でたくさんの町歩きツアーを開催している。 散歩にもってこいの道も見つけました。みなさんも住んでいる町で、いろいろな発見をしてください
そして、住んでいる町、隣接する町を知るということは、災害や火災などの“もしも”のときに非常に役に立つ。 遊び感覚で行う「じゃんけん散歩」、ぜひご家族でチャレンジしてもらいたい。 |
●クラブツーリズムではこんなにたくさんの町歩きツアーを実施
http://www.club-t.com/theme/town_walk/index.htm?waad=LKpLv9Tk
●そのほか「町歩き」で検索すると行政主催のイベントが多数見つかります
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)