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約20年前に誕生したカレドニアン・ゴルフクラブは、戦略的なコースとはどのようなものかを明確に提示している。リンクスの精神を受け継いだ多様な攻略ルートがあ り、プレーヤーにゴルフ本来の楽しさを伝えてくれる。
日本プロゴルフ選手権など男女プロ競技を開催したトーナメントコース。クラブハウスにも重厚な風格が漂う
カレドニアン・ゴルフクラブ
所在地:千葉県山武郡横芝光町長倉1658
TEL:0479-82-6161
ホール:18コース パー72 ゴールド7021ヤード/ブルー6561ヤード/ホワイト6260ヤード/レッド5404ヤード
開場:1990年
コース設計:J・マイケル・ポーレット
ゲストプレー料金:平日1万7280円~、土日祝2万5910円~ 
※原則として会員の紹介が必要で1組4名でのプレー。土日祝は会員の同伴が必要
今年で75回目を迎えた「マスターズ」。  

日本からは石川遼、藤田寛之、池田勇太、松山英樹の4人の選手が出場した。

3度目の挑戦となった石川遼は、今回初めて決勝ラウンドへと進み、4日間で3アンダー、20位タイという自己最高位の記録を残した。  

そして感動的だったのは、19歳にして日本人初のローアマとなった松山英樹の活躍だ。
東北福祉大に通う学生であり、東日本大震災の被災地からの出場ということもあって注目度は高く、期待された以上の成績をあげてくれた。
表彰式のスピーチのあと、スタンディングオベーションに包まれる光景には、目頭が熱くなった。  

マスターズは、1934年に球聖ボビー・ジョーンズ(1902~1971)によって始められた大会だ。

ジョーンズはアマチュア選手でありながら、4大メジャー大会で優勝する史上初の年間グランドスラムを達成。28歳で引退後、ゴルフ界への恩返しのために、球友を招待する競技としてこの大会を発足させた。  

会場となるのは、故郷であるジョージア州アトランタに設立した「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ」。
ジョーンズはコース設計について同じ考えをもつアリスター・マッケンジー(1870~1934)をスコットランドから招き、自らの理想をこのコースに注ぎ込んだ。

「プレーして楽しくなければ、それはゴルフとはいえない。コースの第一目的はゴルファーに楽しみを与えることである」  

マッケンジーは、リンクスから得た理論やアイデアを内陸のゴルフコースに反映させるのに最適な人物だった。

「オーガスタ・ナショナル」は、見た目にも美しく、誰がプレーしても楽しめるという設計思想に貫かれている。

テレビでマスターズを見ているかぎりでは、一般ゴルファーがあのグリーンに太刀打ちするのは無理と思われるかもしれない。

しかし、「どのように攻めれば攻略できるのだろう」と知恵を巡らし、何度でも挑戦したくなるコースこそが、リンクスの本質へとつながるのだ。  

4番ホール、パー4、360ヤード(ホワイト)。正面バンカーはキャリー190ヤードで 越える。恐れずに真っすぐ打てば残りは短く、報酬が得られる
8番ホール、パー4、403ヤード(ホワイト)。2打目は左足下がりでバンカーが気になる。グリーン右にはずして3打目で寄せるのが正攻法
13番ホール、パー4、355ヤード(ホワイト)。フルバックからは250ヤード、ホワイトティからは190ヤードで池を越えるヒロイックなホール
18番ホール、パー5、486ヤード(ホワイト)。ティショットで池をクリアしても2打目でさらに池が視界に入る。報酬を狙うほどに危険度が増す
前置きが長くなってしまったが、今回の「カレドニアン・ゴルフクラブ」は、まさにこのリンクスの精神を受け継いだコースだ。

「カレドニア」とは、スコットランドの古名を意味する。
ゴルフはスコットランドの海岸線にあるリンクスランド(砂丘地帯)で、15世紀には すでに始まっていた記録がある。
それから19世紀に至るまで、コースは自然の造形に沿ってルーティングされるだけで、グリーンは砂丘の高い場所や谷間に設けられていた。

リンクスコースは内陸では不可能と考えられていた。

だが、ハリー・コルト(1869~1951)や彼の設計パートナーを務めたC.H.アリソン(1882~1952)の登場によってリンクスの思想がコース設計に生かされるようになり、いわゆるクラシックコースがつくられていく。  

最近になって、ようやく日本でもこうしたクラシックコー スの素晴らしさに光が当てられるようになってきた。  

いったい何が違うのだろうか。  

クラシックコースの大きな特徴のひとつに、挑戦的、保守的のいずれの攻略法にも対応できる攻撃ルートの多様さが挙げられる。
過度の冒険心にはハザードや傾斜、ラフ、バンカーなどの罰が与えられる可能性があり、自分の力量に合わせた保守的なルートを選べばそれなりの報酬が得られるというものだ。
リスク&アワードという考え方がある。
同じパー4でも2打目でグリーンを狙うのには難しいが、うまくグリーンに乗せられればその報酬となるバーディが得られるというコースがそれに当たる。
もちろん、刻んで3打目でグリーンを狙うときには寄せワンが狙いやすい花道が用意されていることがフェアなコース設計の条件になる。

「カレドニアン・ゴルフクラブ」はそこにこだわった。  

ラウンドすると体験としてそれがよくわかるのだが、13番パー4、355ヤード(ホワイト)が象徴的だ。
右へ大きく屈曲するドッグレッグで、内側には池がある。キャリーで190ヤード以上飛ばせば池を超えてショートカットすることができる。もっと飛距離が出るプレーヤーはさらにグリーンに近い右を狙える。飛距離に自信のない人は池にじゃまされない左のフェアウェイに打ち、3打目で転がすようにグリーンを狙っていける。
このように、ひとつのコースで多様な攻略ルートを選択できることが、クラシックコースの設計理念にある。  

このゴルフ場を開発した東京グリーン社長の早川治良氏は、コースづくりから完成後のクラブ運営まで、すべてに自らの理想を注ぎ込む決意で臨んだ。
それは世界に通用する本当にいいゴルフクラブをつくるという信念を貫き通すためだった。  

その夢を実現する要となるコース設計に選んだのが、J.マイケル・ポーレットだ。
1943年、ペンシルバニア生まれの設計家で、ロバート・トレント・ジョーンズ・シニア(1906~2000)の下でコースづくりを学んできた。
ジョーンズは、重機で思いのままにコースを造成するモダンコース時代に活躍した設計家だ。しかし、そういう時代にあっても、クラシックコースの基本は忘れていなかった。

コースと見紛うばかりのドライビングレンジ。300ヤードまで打てる。アプローチや広大な円形のパッティンググリーンなど練習スペースも贅沢に確保してある
早川氏と二人三脚でプランを練り上げていったポーレットは、「ゴルフは角度と距離のゲーム」だという。
どんなショットでも、自分が狙うエリアへの飛距離と角度の組み合わせが要求される。
ゴルファーに攻め方のバラエティを提供し、自分の能力や気象条件に応じてどのルートを選択するかをつねに考えさせ、決断を迫るコース。それが飽きのこないいいコースであることを、デザインの基礎に置いているのだ。

ひとつの目標に向かって、攻めるコースを考えて挑戦する。
コースの狙いがしっかり定まるように、カレドニアンはベント芝のワングリーンというコンセプトでつくられている。 

取材に訪れたこの日は、ようやく春の訪れを感じられる暖かさで、コースは木蓮やこぶしのほか、梅、桃の花に彩られていた。
これからつつじやさつきが色づきはじめ、芝も勢いを増していくだろう。

感心したのは、ひとつとして同じ印象のホールがなかったことだ。
初めてこのコースをラウンドする人でも、一打一打を記憶の引き出しのなかに入れておくことができると思った。  

フラットなフェアウェイで真っすぐな林間コースばかりが続くゴルフ場では、前のホールでどこに打ったのかすら、覚えておくのは困難になる。
しかし、カレドニアンでのプレーは、次回訪れたときにもきっと忘れずにいられるはずだ。  

アウトとインでは異なる印象をもった。  


スパイシーな「特製ハンバーグ定食」(3枚1600円、4枚1800円)が人気。東金産ねぎを使ったボリューミーなあさり丼(1500円)も味が染みてうまい
アウトはアップダウンがあり、フェアウェイの起伏が美しいコースが続く。
だが、予期せぬところで設計者が設定した落とし穴にハマってしまうのだ。なんのことはないコースに見えるのに、バンカーにつかまり、パットで余計な打数を打ってしまう。
この9ホールはいかにバンカーにつかまらないようにするか、そして、グリーンの傾斜をどのように攻略するかが重要なポイントとなる。
18ホールを終えてから悟ったのでは、後の祭りなのだが……。  

一方のインは、比較的フラットでやさしく思えた。
ティグラウンドからの視界がぐっと開け、印象的なホールが次々に現れる。
一転して、10番から問われるのは、自分の距離とコースの落としどころのマッチングだ。
目印となるバンカー越え、谷越え、池越えとプレッシャーはかかるが、ふつうに打てば問題なくフェアウェイをキープできる。次にどこに球を置くか、一打ごとに考えてプレーをする。この作業に慣れてくると、どんどん楽しくなってくる。  

ゴルフの醍醐味はこういう瞬間の積み重ねであるはずだ。  

18ホールをラウンドしたとき、カレドニアンが名コースと謳われる理由が身にしみてわかった。
スコアはけっしていいとはいえなかったが、設計家との戦いに納得している自分がいた。そして、次に訪れるときにはリベンジしてやる、という気持ちが芽生えていた。  

カレドニアンの会報誌には“TAM ARTE QUAM MARTE”というラテン語の言葉がタイトルに掲げられている。

「力と同様に技(頭脳)も」

これはスコットランドで300年の歴史をもち、戦略的に優れた代表的なゴルフコースとして知られている「ロイヤル・トルーン・ゴルフクラブ」のモットーだ。

飛距離だけに比重を置くのではなく、知恵を生かした技量や戦略性が求められること。  

もし、ゴルフというプレーの楽しさを知りたいのであれば、ここに来ればいい。  

カレドニアンはそう友人に伝えたくなるゴルフクラブだということを、痛切に感じた。 

最後に、このたびの東日本大震災を受けて、カレドニアンでは「チャリティプラン」を実施中。通常よりもお得な料金プラン(1万3500円~)で、かつ、プレイフィの一部から義援金を寄付するというもの。詳しくはホームページを参照してほしい。
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最寄りICは千葉東金道路を銚子連絡道路方面に向かう松尾・横芝IC。降りて2kmと近いが、東関東自動車道路の成田ICからでも道がわかりやすくて早い。成田料金所から芝山方面に向かい、国道295号線を右折してからは一本道。直進してなりゆきで62号線の「はにわ道」に入り、大総新道を左折すれば500mでゴルフ場入口に着く。
< PROFILE >
長岡 努
編集者。元ゴルフ月刊誌『waggle』(ワッグル)デスク。現在もゴルフギアやルポを中心に『waggle』、週刊『パーゴルフ』などで執筆中。都会と田舎暮らしの二地域居住のヒントや情報を提供する[デュアルライフプレス]を主宰している。
http://blog.duallifepress.com
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