日本の各地にはさまざまな伝説があります。そのひとつに信州の光前寺に伝わる『早太郎伝説』があります。早太郎と光苔が有名な信州・駒ヶ根の地を訪ねました。 |
駒ヶ根は信州の美しい山々に囲まれた場所です
遠い昔、信州・駒ヶ根の光前寺に飼われていました。 その頃、遠州(今の静岡県に当たります)の見付村では、田畑が荒らされないようにと村の衆が願い、白羽の立てられた家の娘が“いけにえ”として毎年“神様”に捧げられるという悪しき風習がありました。 ある年のこと。 見付村にやってきた僧侶は、「こんなひどい神様がいるはずない」と思いました。そこで、いけにえをさらっていく“神様”の正体をあばいてやろうと決意します。 いけにえが捧げられる祭りの様子をうかがっていると、大きな怪物が現れて、「信州の早太郎はいないか、早太郎に知られるな」と言いながら娘をさらっていきました。 その言葉によって、怪物が早太郎を怖がっているのを僧侶は知りました。 そこで、光前寺を訪ねて早太郎を借りうけて見付村に戻ります。 光前寺の杉並木。春から秋にかけては光苔が神秘の灯りをともします
しかし、激しい戦いで早太郎は致命傷を負っていました。 それでも早太郎は光前寺まで帰ってきて、飼い主である優しい和尚さんに一声吠えて「怪物退治」を知らせると、そのまま永遠の眠りにつきました。 これが「早太郎伝説」です。 |
静かで深い森の中にある本堂
駒ヶ根は南アルプスや木曽の山々に囲まれた美しい景観をもつ場所で、早太郎温泉やウイスキー醸造所、信州の名産品を売るお店なども多くある信州を代表する人気の観光スポットです。 その一画に光前寺があります。 光前寺は静かな森の中にあり、まずは仁王門から三門まで続く大きな杉の並木に圧倒されるでしょう。 4月下旬から11月上旬までは、参道の石垣の光苔が神秘的な光を放って訪れる人々を魅了し、「築山泉水庭」形式の庭園はそこにいるだけで心を休ませてくれます。 これからの季節が最高の“訪れ時”といえるでしょう。 三門では犬のかたちをしたかわいい「早太郎御守」が売られ、1851年に再建された本堂の前には早太郎が鎮座しています。まさに、早太郎伝説のお寺であるのが実感できます。 本堂の前に早太郎の像がありました。山犬だったということで表情は精悍です
村人たちが恐れていた怪物を、命をかけて退治した早太郎。その早太郎が傷ついた身体であるにもかかわらず、やっとの思いで帰ってきた光前寺。 その神秘的なお寺には「心を強くするパワー」がみなぎっています。 |
コラーゲンたっぷりの地産の豚を使った「豚しゃぶ」と名物の馬刺し
門前には名物「護摩団子」を売るお店があります。 周囲には信州名物の馬刺しや、コラーゲンたっぷりの「豚しゃぶ」をふるまうレストランがあります。 「マルスウイスキー」では醸造された数々のウイスキーやワイン、梅酒の試飲ができます。運転する方はもちろん飲めませんが、そうでない人にとっては、飲み比べも楽しいひとときでしょう。 数々のグルメがあるなかで、とくにおすすめなのが「駒ヶ根高原すずらんハウス」で売られている飲むヨーグルトです。 濃厚でありながらすっきり。とろりとヨーグルト独特の酸味が口の中に広がります。 だんぜんのおすすめの飲むヨーグルト。「毎朝飲みたい」と思えます
暑くなる季節に爽やかな信州へ。 思い出いっぱい、さらに早太郎のパワーが感じられるドライブになるでしょう。 |
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。