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  3. 大自然を満喫する高原のリゾートコース 栃木県日光市/日光霧降カントリークラブ
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標高900mの高原にある日光霧降カントリークラブはこれからがベストシーズン。リーズナブルな宿泊も可能で、メンバーのような気分を味わえる、とっておきのリゾートコースだ。

長方形の建物の中心には大きな吹き抜けと庭があり、自然の採光が館内を照らす。ショップのデザインも木をベースに高級感を醸し出している
日光霧降カントリークラブ
所在地:栃木県日光市所野1538-18
TEL:0288-53-4111
ホール:18コース パー71 バック6155ヤード/レギュラー5823ヤード/レディス5284ヤード
開場:1994年
コース監修:中嶋常幸
ゲストプレー料金:平日6300円~、土日祝9800円~
東日本大震災から2カ月が過ぎ、ようやく被害の概要が明らかになってきた。  

東北の太平洋側にあるゴルフコースは地震による被害を受け、いまだ再開の目途すらたっていないところも少なくない。

その一方で、地震の影響はほとんどなかったにもかかわらず、原発による風評被害で、客足が急激に減ってしまった観光地がいくつもある。

ニュースを見て驚いたのは、世界遺産でもある日光東照宮の観光客数の報道だった。
大震災翌日の3月12日から3月31日までの観光客は、前年同月の10万人から5000人へと減少。前年比95%減という数値は衝撃的だった。  

実際に現地ではどのような状況になっているのだろうか。  

ゴールデンウィークが明けた某日、日光にあるゴルフ場に足を運んでみることにした。  

東京から東北自動車道を走って約1時間、あっという間に宇都宮ICの標識が見えてきた。ここから日光宇都宮道路に乗り換え、25km先の日光ICをめざす。  

雲の合間から青空がのぞきはじめた。
周囲の木々は日を追うごとに緑が濃くなっているようで、窓を開けると初夏を思わせる心地よい風が車内に入ってきた。

予定した時刻よりも1時間以上早く日光に到着したため、東照宮へと足を延ばしてみた。  

この地を前回訪れたのは、もう30年以上も前になる。
駅前から東照宮へと向かうメインストリートはすっかり雰囲気が変わっていた。町づくりの過程にあるらしく、景観を統一しようという意図が伝わってくる。  

この一帯は岩盤層のために、大震災で震度5を記録したが被害はほとんどなかったという。それは東照宮でも同じで、歴史ある建築物への影響は見られなかった。

一般の観光客の人影はまばらだったが、それでも時間が経つにつれて、ツアー客の姿が増えてきた。
小学生の修学旅行が次々に現れ、私が参道を戻るころには何組もの小学生の団体が境内に向かっていた。  

徐々にではあるが、客足は戻ってきているようだ。  

レストランとひと続きになったレストスペース。採光をうまく取り入れている
今回訪れたのは、東照宮から霧降高原へクルマで10分ほど上がったところにある日光霧降カントリークラブ。  

このゴルフ場は、日光市を中心とする日光国立公園内にある。

国立公園を西に進むと中禅寺湖がある。

日光側に流出する華厳滝は日本三大瀑布としてよく知られている。中禅寺湖の北側には男体山(2486m)があり、美しい山容を湖面に映している。  

この一帯は日光連山の東端に位置し、ゴルフ場は標高900mの高台にある。まさにグリーンシーズンにふさわしい、高原のリゾートコースだ。  

コースをラウンドするのと同じくらい楽しみだったのは、吉村順三が設計したクラブハウスを見ることだった。  

吉村順三(1908~1997)は、日本の伝統とモダニズムの融合を図った現代建築の重鎮のひとりだ。

前川國男、坂倉準三らとともに設計した国際文化会館や、奈良国立博物館新館、八ヶ 岳高原音楽堂などの公共建築物、軽井沢の山荘などの個人住宅など、数多くの物件を 手がけている。

自然との調和を図りながら、いかに感じたことを建築にするか。
吉村の建築は、一筋の思想によって貫かれている。  

5番パー3、202ヤード。距離のあるホールだが、グリーンは奥行きがあってワンオン可能。左手前の枯れた芝部分がバンカーだとターゲットがより一層明確になって秀逸なホールになる
12番パー4、411ヤード。2打目でクリーク越えになる。刻めば楽だが、2オンを狙うのはむずかしい。ピンの位置が左になるほど谷越えになって難易度が増す
13番パー4、385ヤード。このグリーンで3頭の鹿に遭遇。右ドッグレッグで2打目は池越えのプレッシャーがかかる。安全策はグリーン左狙いで刻む。自然の景観が美しい
16番パー4、299ヤード。左ドッグレッグで2打目に運よく乗せても3段グリーンで 2パットで収めるのがむずかしい。このゴルフ場の芝はフェアウェイ、グリーンと も、すべてベント。グリーンの傾斜が絶妙で、手入れもいい
エントランスを入って目に飛び込んでくるのは、クラブハウスの中央に降り注ぐ光の吹き抜けだ。巨大なガラスで中庭を六角形に取り囲み、照明は必要最小限に抑えてある。

六角形と大きな一枚ガラスはこのクラブハウスのひとつのモチーフとなっている。

2階のレストランも南側を角にして、一面につき約3m×5mのガラスが4枚ずつはめこんである。

サッシは木製。テラスへはドアではなく引き戸で、網戸までついているのがおもしろい。テラスに出ると、足元が玉砂利になっており、手すりは重厚な栃木産大谷石で囲われていた。

西日が直接差しこまないので、窓を開け放てば風で十分涼しく感じられ、耳をすませば鳥のさえずりが聞こえてくる。  

プレーの合間にもこうした自然と触れ合うことができ、気持ちよさと贅沢な安らぎのひとときを十分に堪能できる仕かけになっている。

コースは中嶋常幸が監修している。

クラブハウスを中心として、北東の6ホールをまわったあと、7番から西へと移動し、10番からは南西に展開する9ホールをたどっていく。  

バックティからでも6155ヤードと距離はあまり長くはないが、変化に富み、飽きるこ とがない。  

ラウンドしてわかったのは、1打目と2打目の落としどころをどこに設定するかを問 うホールが多いことだ。ドライバーで飛距離をかせいだからといって、次のショット が楽になるホールが連続しないところが、このコースの特徴なのだ。

フェアウェイのアップダウン、直角に近いほど屈曲しているドッグレッグ、グリーンの目の前にたちふさがる池。想像力をかきたてる落としどころの見えないショット。

コースに仕かけられた罠が、判断のミスを誘う。  

しかし、それでいて極端に難易度の高さを感じないのは、コースにしっかりと幅を設けてあり、グリーンが広く大きめにとってあるせいだろう。  

セカンドショットでグリーンを狙えばパターがむずかしくなる。2段、3段グリーンで複雑な起伏なので、ラインを読む楽しさがある。

同じホールでも、もし3打目でピンに寄せられれば、ワンパットで入れられる可能性が高い。


ランチのおすすめは、那須鶏&野菜のナンとライスカレー(1365円)とビーフシチューランチ(1680円)。野菜もたっぷりでこのランチを食べにくるお客様もいるほど
バーディを獲るのはかなりむずかしいが、パーセーブやボギーで上がるのはそれほど困難ではない。レベルの異なる仲間でも、それぞれが楽しくラウンドできる設計になっているのは、リゾートコースを念頭においてのことだろう。  

キャディバッグを電動カートに乗せ、歩いてプレーするのがこのゴルフ場のスタイルだ。

春にはつつじがコースを赤く彩り、夏には雄大な青空が広がる。
秋の冠雪した峰々と紅葉とのコントラストも美しい。  

北西にある赤薙山(あかなぎさん2010m)を背に、眼下に日光市街を見下ろすロケーションでのプレーは、心がリフレッシュされる思いだった。  

途中、上がり9ホールでのプレーの合間に3度、鹿がコースを横切るのを見た。最初は1頭、次に親子、3度目が3頭。

このゴルフ場では鹿だけでなく猿や猪を目撃するのも珍しくないらしい。禁猟の国立公園ならではの自然環境だ。  

このゴルフ場が特別なのは、ビジターでありながら、メンバーのように予約できる点にもある。  

プレーする人がいるグループに限り、メンバーシップホテルのホテルジャパン日光の別館パレスを一室8400円で宿泊することができる。ツインベッドと和室8畳の広さがあり、6名まで一室同一料金で宿泊可能だ。  

たとえば、ここを拠点にして、ふたりでプレーする。
家族は東照宮参りに出かけ、ひとりだけでハーフプレーを楽しむ。
連泊して、当日にラウンドできないか、スタートの空き時間を確認する。

そんなコースメンバーのような楽しみ方が可能なのだ。
しかも、2バッグ、1バッグの追加料金は不要だという。

ビジターでありながら、こうした要望にも応えてくれるのが、日光霧降カントリークラブの最大の利点のひとつかもしれない。


お湯は地下100m以上から汲み上げられた霧降の天然水。クラブハウス正面には給水 スポットがあり、近隣住民がわざわざ水を汲みに訪れるほど
ラウンドを終え、汗ばんだ体を流すため、ゴルフ場自慢の大浴場へと向かった。

扉を開けると、そこにはまた、パノラマを演出するための大きなガラスと六角形の天窓が。

弱アルカリ性の軟水を地下からくみ上げて湧かしているというお湯は、もはや温泉そのものと言っていい。  

天然水のお風呂を堪能しながら、日光のリゾートの底力に嘆息するほかはなかった。  
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日光霧降カントリークラブは、全国のリゾート地にメンバーシップホテルを展開する ジャパントータルクラブのゴルフ場。だが、ジュニアゴルファー育成のために、メン バーであるかどうかを問わず、ジュニアのプレーフィー1Rを無料とするサポートを 行っている。対象は小学生から高校生まで。保護者同伴でのプレーが条件だが、大人 1名につきジュニア2名まで無料となる。
< PROFILE >
長岡 努
編集者。元ゴルフ月刊誌『waggle』(ワッグル)デスク。現在もゴルフギアやルポを中心に『waggle』、週刊『パーゴルフ』などで執筆中。都会と田舎暮らしの二地域居住のヒントや情報を提供する[デュアルライフプレス]を主宰している。
http://blog.duallifepress.com
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