太古の神話が息づく場所…山陰地方。「神がいます山」として『出雲国風土記』に書かれた霊峰・大山を中心に古代栄え、天照大神が造営させたと伝わる出雲大社があります。出雲の国は日本最古で最大のパワースポットです! |
国宝になっている出雲大社は日本を創った大國主神を祀る すべての縁を司る神様だけに、おみくじなどがあちらこちらに
絵馬に願いを託す人もたくさん、恋愛のお願いが多い
国土を創生した大國主神を祀る出雲大社は、日本最古の神社建築様式である“大社造り”で、国宝にもなっています。参拝方法も“二拝四拍手一拝”と独特のスタイルで、それさえも歴史の深さを感じさせます。 「神がいます山」霊峰・大山を抱き、出雲大社がある山陰地域には、神話や民話が数多く残されています。 ☆ ワニ(フカ)を騙して海を渡ったウサギは、真相をばらして毛皮をはぎ取られてしまいます。そのウサギを救ったのは大國主神で…という『因幡の白うさぎ』もこの地方に伝わる民話。出雲大社に祀られる大國主神が民話に登場します。 ☆ 『国びき神話』にいたっては、こんな話です。 八束水臣津野命(ヤツカミズオミヅノミコト)という力自慢の神さまは、「できたばかりの出雲の国は狭い」と困っていました。それでも、海向こうに余った土地を見つけると、そこに綱を結び付け、一方は大山に結び付けて、「国来、国来(くにこ、くにこ)」と掛け声をかけながら、たいそうな力で引っ張りました。やがて土地は離れ、出雲の国の北側にくっつきました。 これが現在の島根半島です。そのあとも、さまざまな土地を引っ張り寄せて、出雲を立派な国にしたそうです。 出雲の国そのものが、神の手によってできたという神話です。 出雲を旅すると、こんな神話や民話をたくさん耳にします。 まさに、地域全体がパワースポットなのですね。 |
年間を通じて参拝客が途絶えない出雲大社 出雲大社名物「出雲そば」は殻ごと挽くのでやや黒いおそば
よくよく覘いてみれば、しめ縄の中には5円、100円、500円の硬貨が挟まっています。下から投げて、留まったら縁起がいいというわけですね。 しかし、10円硬貨はありません。10円=とおえん=「遠縁」に当たるため。 なぜなら、出雲大社は“縁”を結ぶ場所でもあるんです。 天照大神が大國主神に国を譲るとき、「これからはこの地で、かくれたる神事を納めます」と話したそうです。 「かくれたる神事」とは、目に見えないご縁を結ぶこと。たとえば、男女の縁、人の縁、土地との縁、仕事の縁…、すべての“縁”を司り、良縁を叶えようというわけです。 加えて国造りにもっとも関係の深い神社ですから、神在月(旧暦の10月)には、全国の八百萬神が集まるとも伝わっています。 スピリチュアルに興味がある人は、やはり一度は出雲の国に旅しないとならないでしょう。 ところで、現在の出雲大社は「平成の大遷宮」に当たります。 これは大國主大神様を御仮殿にお遷しし、そのあいだに御本殿を修造するという作業です。 御本殿に神様が還るのが平成25年5月ということなので、そのあいだは境内にて修繕工事が行われています。 |
ラムサール条約登録地であり自然が豊かな宍道湖と中海。遠くに大山を眺望する 日本に12城しか現存しない当時の天守閣が残る城・松江城。お堀を船で巡るツアーが大人気だ
霊峰・大山には大山寺阿弥陀堂があります。 でも、旅の楽しみは食や景観を楽しむことでもあります。 味を楽しみたいのなら、出雲大社の門前には殻ごと挽いているために、ほんのり黒い「出雲そば」があります。 見どころならいっぱいです。 湿地や自然、野鳥などを保護するためにできたラムサール条約の登録地になっている宍道湖や中海では多くの野鳥や美しい夕陽が望めます。 ちなみに、クルマを預けてのおすすめは「一畑電車」、通称「ばたでん」への搭乗です。宍道湖のほとりを走る、のどかなローカル電車は2010年公開の映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の舞台でもあります。 さらには松江城も見ものでしょう。1611年築城の松江城は、現存する天守閣のある12城のうちのひとつです。 日本最古のパワースポットをめぐり、周囲の観光を楽しむ。出雲の国へ出掛けてみませんか? |
ご紹介したパワースポットと観光名所。
ぜひ覘いてみてください。観光した気分になりますよ!
●出雲大社
http://www.izumooyashiro.or.jp/index.html
●大山の観光
http://www.daisen.gr.jp/kyokai/
●松江の観光
http://www.kankou-matsue.jp/
●一畑電車
http://www.ichibata.co.jp/railway/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。