近年、「ロゲイニング」と呼ばれるランニング競技が密かなブームになっている。調べてみたら走るばかりでなく、家族での街歩きに最適なロゲイニング大会もあるという。ならばとばかり、さっそく研究しました。 |
競技前に配られたチェックポイントと得点の入った地図と、チェックポイント説明書。同じ写真を撮影してくるのが行った証拠
スポーツといっても、がむしゃらに走ればいいってもんじゃない。 競技前に地図が配られる。 地図にはチェックポイントが記されており、そこには「28」、「75」などと持ち点が明記されている。 複数の人数で構成された参加チームは、制限時間内にチェックポイントを何カ所もまわり、いかに多くのポイントを稼ぐかが勝負になる。 単独行動は許されない。チームの全員が同じチェックポイントを一緒に通過しないといけないのだ。 「ならば、足の速い奴が大勢いるチームが有利に決まっているじゃない」と、決めつけるのはまだ早い。 チェックポイントは地図上に何カ所もある。どのチェックポイントをまわるかは、参加チームの自由なのだ。 しかも、どんなに足の速い人が集まったチームでも、全部のチェックポイントがまわり切れないような設定になっている。 頑張ったところで、3分の2のチェックポイントを制覇するのが限度なのだ。 制限時間は6時間。スタート前、それぞれに作戦を立てる
競技開始前に初公開される地図を読み、「どこを、どのようにまわるか!」を考えることが大事なのだ。 点数の高いところは、それなりのリスクがある。行きにくかったり、山頂だったり、谷底だったり。 点数が低いところは行きやすいのだが、その分、数をまわらないと高得点にならない。 事前の作戦がとても重要な理由、おわかりになりますね。 正式なロゲイニングの国際大会は、制限時間が24時間!! 参加チームは地図と磁石を頼りに、昼も夜も走ってチェックポイントをまわっている。 「絶対、参加なんて無理」と思う方がほとんどだろう。でも、この競技が日本ではアレンジされ出したんです。 |
街角マップもよく見て。自分がどの位置にいるかがわからないと目的地に辿りつけない
一方、最近では「神田発東京ロゲイン」と呼ばれる街並みウォークの要素がたっぷりのロゲイニングも開催され始めた。 筆者も参加した「第3回神田発東京ロゲイン」を例にとってみよう。 基本的なルールは同じ。 マップ上にチェックポイントが記され、点数が与えられている。 第3回は“富士山”にちなんだ場所がチェックポイントに設定されていた。 神田の近くの神社(富士塚がある)などのチェックポイントは行きやすいために持ち点が低い。 同様に新宿界隈(各神社の富士塚など)に設けられたチェックポイント、「富士そば」店などの行きやすいポイントは点数が低い。 しかし、ぽつんとひとつだけ離れたお台場のフジ(!)テレビには高得点がついていた。 田端の神社もチェックポイント。富士塚前で証拠写真撮影!
参加者は実に多彩だった。 「これを機に東京を散歩しよう」と地方から参加した赤ちゃん連れのご夫婦。 「東京に富士山にちなんだ場所がたくさんあるなんて知らなかった」と言う三世代ファミリー。 そして、本格走り屋さん……。 ファミリーたちは「東京の知らなかったところをまわろう」という気持ちで気軽に参加している。 通常のルールに加え、特別ルールも参加者の幅を広げた要因だ。 タクシー以外の公共交通機関が使えるのだ。これなら、誰でも気軽に参加できる。 |
神田明神などの東京名所がチェックポイントに設定されていた
ファミリーたちは東京都内にある富士山を楽しくまわり、それでも800点前後を稼いでいた。 今回のロゲイニングは、「フォト・ロゲ」とも呼ばれているもので、 チェックポイントに行った証拠に、主催者側が事前に撮影した写真と同じ写真を撮影する必要がある。 それがかえって「撮影大会」の様相を呈し、旅とか街歩き感が出て、ファミリーに最適なのだろう。 「フォト・ロゲ」は、街おこしなどを目的に、今後さまざまな市町村が取り上げる可能性が高い。 三世代で参加のファミリー。東京街歩きを楽しんだ
地図の見方や作戦の立て方がうまくなるだろう。それに、その楽しさに絶対にはまるはず。 筆者も秋の長野市松代の大会に再チャレンジする予定です! |
●ロゲイニング大会
フォトロゲは東京・昭島大会がありますよ。松代城址や鎌倉でロゲイニング大会があります。
http://treknao.com/
●日本ロゲイニング協会
ロゲイニングのすべてがわかります。
http://www.rogaining.jp/index.php?lang=ja
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/)