開創以来600年の歴史をもつ曹洞宗大雄山最乗寺は、関東有数の“霊場”であり、 豊かな自然と四季折々の草花が楽しめるところでもあります。 21世紀になった今でも“天狗”が出てきそうな大雄山に出かけてみませんか!? |
曹洞宗大雄山最乗寺の本堂(右)。大杉に囲まれる境内は驚くほど広い 開創以来湧き続けている金剛水。多くの病を癒したと伝わる 結界門の両側に天狗の像が立つ。右側には大天狗像があった
南下していけば熱海や伊東、その先の伊豆半島の温泉地へ。 西に山を登っていけば多くの温泉地、芦ノ湖を抱く箱根に着きます。 「Smart Access」の読者はドライブ好きがほとんどだから、多くの方がこれらのルートを旅したのではないでしょうか。 そして、もうひとつ。パワーを授かりたい人へのおすすめルートがあります。 それが小田原から大雄山駅に向かう伊豆箱根鉄道大雄山線に沿って大雄山に向かうドライブです。 東名高速道路の大井松田ICからでも1本道でわずか30分ですから、大雄山はドライブしやすいパワースポットといえるでしょう。 大雄山線の終点、大雄山駅の先には足柄の山々が迫ります。 古くから「天狗伝説」があり、「足柄山の金太郎」のお話が生まれた自然が残る山々です。 全国に4千余りの門流をもつ曹洞宗に属す大雄山最乗寺が足柄の山中に開創されたのは、今から600年前のことです。 関東の霊場として知られる大雄山最乗寺は、資料によれば境内山林が130町歩というとてつもない広さで、堂塔の数は30余棟におよびます。 まさに、関東有数のパワースポットといえるでしょう。 |
夫婦和合の印と伝わる天狗の高下駄、世界最大級の下駄がある 自然の地形を巧みに利用して造成された「洗心の滝」や堂塔
石段をあがって着いた本堂をお参りしてからは、境内を歩いてみましょう。大雄山最乗寺境内の散策はとても楽しく、神秘的なひとときです。 本堂に向かって左に進むと、「金剛水堂」があります。開創のときに掘った井戸から湧出する霊水で、600年にわたって諸病を癒してきました。やや甘味のあるやさしい水です。 金剛水を先に進んで「御供橋」を渡ると「結界門」があります。結界門より先は、修験道満位として知られる道了大薩の浄域とされるのですが、印象的なのは門の両側に立つ天狗像です。 さらに先に進めば奉納された多くの下駄や、3800㎏の世界最大級の高下駄があります。 下駄は左右揃って役割をなすことから、「夫婦和合」の信仰が生まれました。きっと、カップルで訪ねてもいいのでは。 さて、元々中国の伝説の中で生まれた天狗ですが、日本においては『日本書紀』に初登場します。 やがて天狗は日本の山岳信仰に伴って、「山の神」として崇められるようになりました。 最乗寺も足柄の山中ですから、天狗信仰が生まれたようです。同様のケースで、高尾山にも天狗伝説がありますよね。 大雄山最乗寺の屋根や柱など、さまざまなところに天狗の持つ葉団扇が刻まれています。 境内散策をしながら、それを探すのも一興でしょう。 |
境内にはさまざまなところに天狗の葉団扇がある やや白く濁ったぬるめのお湯はゆったり、じっくり入るのがいい 大雄山の森に包まれた「オンリーユー」は宿泊もできる。また、名物のとろろや野菜類が提供されるランチ、夕食も人気が高い
人気の秘密は自然の景観と、植樹されたさまざまな樹木がマッチして織りなす“季節美”のみごとさです。 冬は寒椿、鉄拳梅、野水仙。 春は藤、椿、ヒマラヤ雪の下、杏、レンギョウ、しだれ桜、八重桜…。 夏はアジサイ、シャクナゲ、山百合、サツキ、花水木、アヤメ…。 秋は萩、金木犀、マンジュシャゲ、サザンカ、紅葉…。 巨大な杉並木にさまざまな樹木。お参りの後に、美しい空気を身体いっぱい吸い込めば、授かったパワーがより強大になるのが感じられるでしょう。 ハイキングでひと汗かいた後は、隣接する「美肌の湯 あしがらの温泉 おんりーゆー」へ。 露天風呂は渓流を目の前に、大雄山の森の中にあってくつろげます。 小田原の市街地からわずかな距離なのに、まるで森の中の一軒宿の風情なのです。 加温した42度の湯船もありますが、長湯できる38度の湯は、じっくりと入るのに最適です。1500万年前の地層から湧き出る湯は、pH9.5とアルカリ含有量が多く、美肌効果があると評判です。 家族にもカップルにも最適な、二人が円満になり、さらに森と温泉でリフレッシュできる気軽な旅。 大雄山と温泉へのパワースポット・ドライブは、幸せなひとときになるでしょう。 |
ご紹介したパワースポットと観光名所。ぜひ覘いてみてください。観光した気分になりますよ!
●大雄山最乗寺
http://www.daiyuuzan.or.jp/
●美肌の湯 あしがら温泉 おんりーゆー
http://www.ashigara-only-you.com/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。