川越と徳川幕府のあいだには大きな絆がありました。舟運が発達していた川越は江戸との交流が深く、物流の基点になっただけでなく、江戸の北側の要衝でもありました。現在、「小江戸」と呼ばれる川越には古い街並みと、徳川に所縁のある「川越大師喜多院」があります。 |
長い歴史と江戸幕府との所縁の深さで知られる喜多院 慈恵堂の内部では火が焚かれ、不動護摩供が行われていた
喜多院の27代住職の天海大僧正は比叡山・園城寺で修行したのち、徳川家康の信頼を得て顧問的な存在になります。喜多院の住職となった天海は、家康が川越を訪れた際には親しく接しています。 さらに、天海の進言を家康が認め、喜多院は関東天台宗の本山となりました。 しかし、1638年の「川越大火」により、喜多院は山門を残して全焼。その後、再建に尽力したのが三代将軍の徳川家光でした。 このときに客殿、書院などは江戸城紅葉山の御殿を天海が譲り受け、解体して喜多院に移築しています。 現在、喜多院内に「家光公誕生の間」や「春日局化粧の間」があるのはそのためです。 加えて東照宮、鐘楼門、日枝神社などを建造しています。 今も昔も厄除や不動護摩(ご存じですか? 護摩壇は不動明王を招くための卓で中央に炉があります。米、大麦、大豆、胡麻、お香などのお供え物を炉にくべることで不動明王をもてなし、お願いごとを伝えるものです)をするために多くの人が訪れています。 まさに、江戸を代表するスピリチュアルスポットなのです。 |
明治維新の神仏分離令のために別管理となっているが、周囲には東照宮、日枝神社などがあり散策も楽しい 取材した11月下旬は「川越菊祭り」開催中。みごとな菊を楽しんだ 大勢の観光客で賑わう「蔵造りの街並み」には蔵造りのお店が並ぶ
取材で訪れたときは「川越菊まつり」の最中でした。 多くの人々がみごとな菊を楽しみ、その後に祈願をしていました。 パワーを授かり、目も楽しんでいく。 なんとも贅沢なパワースポットめぐりです。 拝観料が必要となりますが、江戸城から移築された客殿、書院、人気の五百羅漢をめぐる「拝観コース」も設けられています。 喜多院は「観光」にも絶好なところなのです。 さらに、喜多院には七不思議の話が伝承されています。 たとえば「底なし穴」の話はこんな具合です。 山門正面の日枝神社の狭い境内に「底なし穴」と呼ばれる穴があり、覗き込んでも底が見えません。そこで、住民が鍋や下駄を投げ込んでみましたが、なんの音もしません。どれだけ深い穴なのでしょう。 不思議に思っていると、500メートルほど離れた双子池からやって来た人が、「池に物がたくさん浮かんでいる」と言ったそうです。 こんなお話が七つ、喜多院に伝わっています。 それらの場所に行ってみるのも楽しいスピリチュアルスポット巡りですね。 |
「時の鐘」の前を過ぎる人力車。今日でも時を告げる鐘が鳴る 色とりどりの駄菓子が並べられた菓子屋横丁のお店
現在でも古い建物が保存、活用されていて見て楽しく、食べて楽しい街です。 一番街は「蔵造りの街並み」。 火事に強い建物として土蔵造りが江戸で盛んになったのに習い、川越でも蔵造りの商家が建ち、今に残されています。 名物のさつまいもを使ったお菓子を売る店、お漬物店(筆者は玉ネギのお漬物を必ず買います)、おせんべい店、画材を売るお店、そして蔵造りの理容室まで(お店の名前は銀巴里です!)。 ぶらぶら歩きに最適な街並みです。 蔵造りの街並みのそばには川越のシンボルといえる「時の鐘」があります。 現在のものは明治26年の大火の後に再建された4代目。今日でも午前6時、正午、午後3時、午後6時に鳴らされます。 そして、街歩きの人気スポット「菓子屋横丁」へ。20軒余りの駄菓子や飴のお店が軒を連ねる横丁は、大勢の観光客で賑わっています。 懐かしいお菓子に考えられないほど大きな麩菓子、さらにはお店の奥で飴を作っているお店など…。 お菓子の国の旅は楽しくてたまりません。 ☆ 喜多院と川越街歩き。 徳川家と所縁の深いお寺、神社と江戸時代の面影が今に残る街へのおでかけは、あらゆる意味でパワーを授かるでしょう。 |
ご紹介したパワースポットと観光名所。ぜひ覘いてみてください。観光した気分になりますよ!
●川越大師喜多院
http://www.kawagoe.com/kitain/invocation/
●仙波東照宮
http://kawagoe-hachimangu.net/toushougu.shtml
●川越観光
http://www.koedo.or.jp/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。