滋賀県彦根のゆるキャラ「ひこにゃん」は、今や全国区の人気を誇ります。関連グッズもいっぱいあって地域経済の活性化にも役立っています。それも当然!! だって、ひこにゃんは「招き猫」なんですもの。観光客を招くわけです。 |
招き猫と戦国武将が合体した「ひこにゃん」はものすごい人気です 井伊直孝が猫に手招きされて休憩をとった豪徳寺
彦根というか滋賀県を旅すると、おみやげ売り場にはひこにゃんが入ったお菓子やグッズがものすごく多いのに気付きます。ひこにゃんは彦根と滋賀県に経済効果ももたらした、偉大なるキャラクターなのです。 ところで、ひこにゃん誕生の秘密をご存じですか? 彦根といえば井伊蕃。二代藩主の井伊直孝が江戸にいたときのこと。鷹狩りに出かけた直孝はある寺の前で“手招きする猫”に誘われて境内に入り、住職からお茶の接待を受けていると、直後に暗雲が広がって雷雨になりました。 にっこり笑ったのは直孝です。 「これは縁起がいい。猫が招いてくれなかったら、ずぶ濡れになっていた」と喜んだ直孝は、そのお寺を井伊家の菩提寺にしました。 直孝没後はその院号にちなみ、そのお寺は豪徳寺と名を変えたのでした。 この件以来、東京・世田谷にある豪徳寺では「招福猫児(まねぎねこ)」と称して祀っています。 また、井伊家ゆかりの彦根市では招き猫に井伊家のシンボルである赤揃え(武具を朱塗りにした部隊編成)の兜をかぶらせて「ひこにゃん」が生まれたのです。 |
豪徳寺の駅前には招き猫の像があります 豪徳寺商店街は別名「たまにゃん通り商店街」と呼ばれています 閑静な住宅地に囲まれる豪徳寺は思いのほか広く境内の散歩も楽しい
駅のそばに駐車場は少ないのですが、探してみればコイン式パーキングも点在しています。 電車で行っても、クルマでおでかけしても振り出しは豪徳寺駅。駅前に招き猫像がありました。ただし、白い部分がやや汚れています。 豪徳寺までは駅から徒歩10分。商店街を抜けると、閑静な住宅地に豪徳寺があります。 ちなみに商店街の名前は「たまにゃん通り商店街」!! なんだか、ひこにゃんと元祖争いをしている風な印象を抱きます(笑)。 ひこにゃんと大きく違うのはたまにゃんグッズをほとんど見かけないこと。ベーカリーにたまにゃんのサブレーがありましたが…。 広大な境内をもつ豪徳寺には井伊直孝をはじめ井伊家のお墓があります。 いろいろ見ていくと招き猫ゆかりの寺であるのがわかります。絵馬にも招き猫、御守りなどにも招き猫。 しかし、飲食店などで見かける招き猫とはどうも違います。 理由がわかりました。一般の招き猫は右手を挙げている猫は金運を招き、左手を挙げている猫は人を招くとされています。 我が家の招き猫も右手を挙げている猫には「億万両」と描かれ、左手を挙げている猫には「招福開運」とあります。 ところが、豪徳寺のものは、すべて右手を挙げており、小判を持っていないのです。 井伊家の菩提寺だけに、武士にとって左手は不浄の手であり、「招き猫は機会を与えてくれるが、小判が付いてくるわけではない」という説のためだそうです。 |
境内には「招猫堂」があり、その横にはご利益をもたらせた多くの招き猫が奉納されている 絵馬にも招き猫が描かれています。豪徳寺は東京都台東区の今戸神社と並んで招き猫発祥の地と伝わっています
私が招き猫を購入したのは、9月29日が「招き猫の日」だと知ったときでした。 「くる(9)ふ(2)く(9)」で9月29日だそうですが、それを知って購入しようとしたときは売り切れ寸前。やがて我が家に来た招き猫は鮮やかな金色をしていました。 来年はいい年になればいいのですが。 ☆ 先日、北京を取材で訪れました。 そのときに天安門広場のそばにオリンピックを機に整備された繁華街「前門」とその周辺を歩いていると、招き猫のお店を発見。 「おお! 中国にもあるのか」と立ち寄ってみると、ほとんどのものが日本製。文字も日本語で書かれています。 さて、中国にも招き猫ブームは広がるのでしょうか。 |
招き猫に関わる観光名所。ぜひ覘いてみてください。観光した気分になりますよ!
●招き猫美術館(岡山県岡山市)
http://www.manekineko-m.jp/
●招き猫美術館in尾道
http://www.tako.ne.jp/~moon/onomichi.html
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。