3月初旬、男たちが聖水で身を清め、裸で押し合う祭りの模様をニュースなどでご覧になった人も多いはず。それが上越・浦佐の吉祥山普光寺の「裸押合い大祭」です。雪が残っているうちに上越に出かけてみませんか? |
山門にも風情と歴史があります 山門のみごとな天井絵に今年の干支の龍がいました
おかげで大晦日は地元の銘酒・八海山をいただき、温泉に何回も入って、すっかりいい気分になりました。 年が明けると日本人は不思議、「初詣でに行きたい!」欲求がむらむらと湧き上がってきます。 旅館の女将に名所を尋ねれば、クルマで少し走れば「毘沙門さま」がある、と。 毘沙門堂があるお寺の正式名称は吉祥山普光寺。創建は鎌倉幕府のころと伝わります。 毘沙門堂はその名のとおり、七福神のひとり毘沙門天を祀る場所です。浦佐だけでなく、京都や花巻をはじめ全国に点在しているのは五穀豊穣、家内安全、身体健康にご利益があるためです。 それらのなかで浦佐の毘沙門さまが全国的に知られるのは、3月3日に開催される「裸押合い大祭」があるからでしょう。日本三大奇祭(三大奇祭とポスターに謳われているんですが、あとのふたつは長野・諏訪の御柱祭、秋田・男鹿のなまはげ、山梨・富士吉田の吉田の火祭りなど諸説あって…)として広く告知されています。 2日の前夜祭では「大護摩修行」、「大ロウソク耐火式」、「福餅撒与」などが行われ、当日は午前中から行事がぎっしり。クライマックスは夜になってからで、数回の「水行(押合い)」や「大鏡餅撒与」が行われます。 |
3~5人が入れる広さの「うがいばち」。大祭のときはこの冷たい水で全身を清めます 日本三大奇祭のポスターが商店街に貼ってありました
上越新幹線の浦佐駅から近く、周囲には温泉宿や商店もあって「毘沙門の里」と呼ばれているのですが、元旦の午前中だけにお店は閉まっていました。訪れる人は多いのですが、積もった雪が音を消してしまう感があります。 豪雪地帯だけに通路や御堂の周囲には、雪よけの板が貼り付けられており、これもまた静けさを感じさせる理由でしょう。 別の日に訪れると印象は変わるはず。商店街ではかつては1年のうち「裸押合い大祭」当日だけ作られたコシヒカリを使った銘菓「しんこ餅」が売られ、雪の季節でなければ板が取り外され、ぐっと開放的になるに違いありません。 それでも、雪が残っているうちの「お出かけ」がおすすめです。 その理由は、たとえ3月3日の大祭当日に行けなくても、雪があればあの光景がより身近にイメージできるからです。 民宿の浴槽ほどの大きさがある「うがいばち」と呼ばれる清めの水を溜まる場所だって、雪の季節と夏では大きく違うでしょう。冬季に清めると、ツーンとする冷たさがあります。身の引き締まる思いになります。 大祭ではこの水に全身をつけると思うと、祭りのときの高揚や激しい様子が想像できるのです。 その昔、毘沙門さまのご利益が周囲に伝わって、参拝者が増えたことも祭りの起源になっているそうです。 雪が残っているうちに、毘沙門天のパワーを授かりに行きませんか。 |
これが越後湯沢駅の構内とは思えません。駐車場も整備されているのでぜひ立ち寄ってください
構内の「ぽんしゅ館」のグルメ処「うおぬま食堂 雪ん洞」の「爆弾おにぎり」は18種の具材を用意
上越には温泉も数多くあります。雪見温泉を楽しんで(写真は貝掛温泉)
そこは、越後湯沢駅です! 「なんで!」と驚かれるかもしれません。数年前に行った人には想像もつかないと思います。 しかし、今では広い構内が整備されて、一大モールになっているのです。 新潟の地酒やお米が揃う「ぽんしゅ館」、構内温泉には「酒風呂」まであります。さらに、2009年12月に昭和時代初期の雁木(がんぎ)造りの家屋の町並みを再現した「がんぎどおり」も登場。散策できるショッピングモールになっているんです。 グルメだって見逃せません。銘菓にはじまり、飲食店も個性的。 私が食べたのは「おにぎり」です。それも爆弾サイズ。魚沼産のコシヒカリにお好みの具が注文できます。これでもかっていうほどの大きさで、お米のおいしさを堪能しました。お米がおいしい土地って、どれだけ恵まれているんでしょう。 ☆ 五穀豊穣や家内安全、身体健康にご利益がある毘沙門さまと、それによって実った魚沼のコシヒカリ。 心と舌にご利益がある上越へのお出かけは、印象に残るに違いありません。 |
●吉祥山普光寺と「裸押合い大祭り」
http://www.bisyamonnosato.com/top.html
●越後湯沢駅構内「ぽんしゅ館」
http://www.ponshukan.com/
●越後湯沢駅構内「CoCoLo湯沢がんぎどおり」
http://www.ekipara.com/building/GANGI000.html
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。