海が陸地になる。気が遠くなるほどの歳月を経て地球の陸地は形成されてきました。その姿が垣間見られるのが兵庫県の「玄武洞」で、地球のパワーが感じられるスポットです。そして、すぐそばには人気急上昇中の温泉地・城崎温泉があります。 |
玄武洞公園の駐車場にクルマを停めて歩き出すと、最初にもっとも大きな「玄武洞」があります
巨大岩は高さもあり、その間にさまざまな節理が見られます。縦、横、斜め。地球の創造物です
日本海に向かい左沿岸には山陰本線が走り、右沿岸には標高がそれほど高くないたおやかな山々が続きます。 その一角に、まるで土砂崩れに遭ったように樹木がない場所があります。 それが「玄武洞(げんぶどう)」です。 1807年に儒学者であり文人の柴野栗山(しばのりつざん)によって命名されました。玄武とは足の長い亀に蛇が巻き付いたような姿で描かれる場合が多い伝説上の動物です。 神秘的な岩と洞窟の様子が、栗山には玄武のように見えたのでしょう。 そもそも玄武洞とは約160万年前の噴火によって噴出したマグマが冷却されて形成された巨大で特殊な岩です。火山活動によって山頂から流れ出したマグマが、少しずつ固まって規則正しい何層もの割れ目を作り出しました。 しかし、そのマグマの塊である大岩は、長いあいだ土などに埋もれていました。 しかし、6000年前に波の浸食によって突然姿を現したのです。 後の人々は巨大な岩に驚いたでしょうし、あまりに大きな地球資源に魅了されて採掘も行われました。 現在、玄武岩は国の天然記念物に指定されて保存されています。それにしても、地球の神秘を感じさせる巨大な岩と、採掘の後の洞窟は見るものを圧倒します。 |
玄武岩に寄って撮影したのがこの写真です。より鮮明に節理がわかります
こちらは縦方向斜めに節理がある「南朱雀洞」。それぞれに形状が異なります
四聖獣とも呼ばれ、東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武と、風水で理想的な配置において世界の四方向を守っていると信じられています。 玄武洞には複数の洞窟があり、円山川の川上から川下に向かい、長い節理が見られる青龍洞、もっとも巨大な玄武洞、横の節理が並ぶ白虎洞、小さいけれど凛々しい南朱雀洞、北朱雀洞と続きます。 高低差もあり、朱雀洞までは階段を相当登らなければなりません。 公園の入り口に設けられた駐車場にクルマを停めて、玄武洞を見て驚きました。 洞窟の周囲を囲む岩にある無数の層は横方向に、縦方向に、斜めに。それぞれの層が規則正しく、そしてある意味不規則に。まさに地球だけが創造できる巨大な芸術作品になっているのです。 さらに青龍洞、朱雀洞と歩き、それぞれに特色があるのもわかりました。 玄武洞は日本のパワースポット100選に選ばれています。パワースポット100選に神社やお寺などの人工物が多いなかで、自然が作り出したパワースポットのひとつとして君臨しています。 玄武洞の不思議な景観に包まれ、洞窟の中から吹いてくるように感じられる涼風の中に身を置く。 地球の底知れない偉大なパワーに触れたひとときになりました。 |
木造三階建ての建造物が並ぶ城崎温泉。平日の午後なのにおみやげ店に人があふれていました
志賀直哉が宿泊した中庭が望める部屋(写真)がそのまま残されて利用されている三木屋旅館
外湯のひとつ「御所の湯」も宿泊者ならバーコードをかざすだけで入れます
かつて事故後の療養に来た志賀直哉が『城の崎にて』を城崎温泉の三木屋旅館で執筆、温泉の名は全国に知られるまでになりました。 城崎温泉にはいくつもの特徴があります。 昭和初期の大火災によってほぼ全焼。しかし、その後に足並みを揃えて木造三階建てにしたために独特の風情を醸し出しています。 七つの外湯めぐりも城崎温泉の楽しさです。 風情ある景観と外湯めぐり。筆者は全国の温泉を多数めぐっていますが、城崎温泉ほど賑わいのある温泉地を過去5年間で見たことがありません! ソフトの部分も申し分ありません。 旅館にチェックインするとバーコードが入ったカードがもらえます。これさえあれば、手ぶらで外歩きができるのです。外湯でピッ! おみやげ店でピッ! 飲食店でピッ! バーコードをかざせばお金は不要。宿泊客なら外湯は無料ですがその証明になり、買い物や飲食代もバーコードによってチェックアウト時に宿で清算できるのです。 また、おみやげコーナーがない宿も増えています。「おみやげはおみやげ店でどうぞ」と、三國屋旅館の大将が話していました。それによって温泉街全体が活気づいているのです。 宿泊した夜、三國屋旅館、但馬屋旅館、つばきの旅館などの若大将と飲む機会がありました。そこにはみんなが一体となって城崎温泉の未来を考える姿勢がありました。 だからこそ、城崎温泉は安定してお客様を迎えているのだと納得。おすすめの温泉地です! |
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。