「写真がうまく撮れないのは、コンパクトデジカメを使っているためかな?」と思っている方へ。レンズが変更できる一眼レフカメラは、「焦点距離」を選べる利点があります。しかし、コンパクトデジカメでも“望遠”を屈指すれば写真は変わるのです! |
それでは、一眼レフカメラでしょうか、コンパクトカメラでしょうか? 最近流行のミラーレス一眼という方もいるかと思います。
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ところで、コンパクトデジタルカメラだと、いまいち上手な写真が撮れないな……と思ったことはありませんか。
なぜ、コンパクトカメラで写真を撮ると「いまいち」なのか。今回はその理由に迫ってみたいと思います。
違いは背景のボケの大きさにあります。写真Aは背景があまりボケていないのに対し、写真Bは大きくボケています(それぞれの背景を拡大した写真がC・D)。
ボケといえば「絞り」を思い浮かべるカメラ通の方もいらっしゃるでしょう。しかし、このケースでもっとも影響があるのはレンズの「焦点距離」の違いです。別の写真で詳しく見ていきましょう。
写真EとFは、同じキバナコスモスをポケットサイズのコンパクトデジタルカメラ(写真E)と俗にフルサイズと呼ばれるデジタル一眼レフ(写真F)で撮影したものです(写真G・Hはそれぞれの背景の拡大写真です)。
どちらも画角(撮影する範囲)は同じで、いずれも絞りF5.6にセットし、同じ位置から撮影しています。しかし、背景のボケに大きな違いがあります。ここで確認していただきたいのが、撮影するときの「レンズの焦点距離」です。
このときは、写真Fの一眼レフが「25ミリ」なのに対して、写真Eのコンパクトデジタルカメラでは「4.4ミリ」でした。
なぜこのような違いが生まれるのでしょう。それは、それぞれのカメラの撮像素子(フィルムであれば画面サイズ)の大きさに違いがあるからです。
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詳しく説明すると長くなるので割愛しますが、撮像素子が大きければ大きいほど、同じ範囲を撮影するときの焦点距離は長くなり、焦点距離が長いほど前後はボケやすくなります。
一眼レフカメラが“いい写真”を撮りやすく、コンパクトカメラがいまいちな理由はこれなのです。
一眼レフは背景などがボケやすく、そのぶん被写体をすっきり見せて印象的な写真を生み出す能力に長けているといえるでしょう。
ちなみに、焦点距離はお持ちのカメラのレンズ部分に4.4~22ミリといったように書かれていますので、一度確認してみてください。
焦点距離が長ければ、その分前後のボケは大きくなります。つまり、同じカメラを使っても、レンズの焦点距離が長ければ前後がボケることになります。写真I・Jは、同じカメラで、焦点距離を10ミリと110ミリにして、花の大きさが同じになるように撮影したものです。
焦点距離10ミリで撮影した(写真I)は、背景があまりボケていませんが、焦点距離110ミリで撮影した(写真J)は背景が大きくボケ、花や蜜を吸うチョウが際立って見えます。また、焦点距離が変わって画角が狭くなったため、背景に色々なものが写らなかったことも良い結果に結びつきました。
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私も撮影する際に、メインとしている被写体を際立たせるため、あえて望遠レンズを使うことがしばしばあります。
目の前にある被写体をパッと撮ってしまうのではなく、できるだけ望遠レンズ(ズームレンズの望遠側)を使うことを意識すれば、同じものを撮ったときでも雰囲気は変わってきます。
写真Kは標準ズームレンズをできるだけ望遠側にして、古い民家の軒先に咲く花を撮影したものです。背景が適度にボケたことで、建物の雰囲気を損なうことなく、花を引き立たせることができました。
レンズ一体型のコンパクトデジタルカメラでは、レンズを変えて焦点距離を操作することはできません。また、ズームにしても焦点距離が短い機種も少なくありません。
それでも諦める必要はありません。ズームレンズの望遠側を巧みに使うこと、なるべく遠くにある単純な背景を選ぶことのふたつで、メインの被写体を際立たせることができるのです(写真L)。
コンパクトカメラであっても、ぜひ実践してみてください。
越カメラマンが写真集『信州 ~四季の駅旅』(信濃毎日新聞社刊/全ページカラー/133ページ/価格1500円(税別))を発刊いたしました。
10年間で撮影してきた長野県の281駅と、その中から四季折々の風景を交えた駅写真約60点を掲載しています。
購入など詳しくは越信行公式サイト(http://www.ekitabi.com/)をぜひご覧ください。
なお、今回のプレゼント賞品はこの本を2名様に。
鉄道ファンだけでなく、写真ファンにもうれしい美しい写真で飾られた1冊です。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
一方、日本の文化遺産と紅葉がベストマッチする場所もあります。
ここでは神社や寺、施設と紅葉という視線で紅葉ポイントを取り上げましょう。もちろん、京都や奈良はその宝庫です。
京都、奈良はJRのCM効果もあり、秋になると観光客が増えるといいます。京都、奈良はもちろん最大の紅葉ポイントですが、あまりにも有名なために、それ以外のベストポイントを選出してみました。
【中尊寺 岩手県西磐井郡平泉町】
http://www.chusonji.or.jp/
850年に慈覚大師円仁によって開山されて12世紀に奥州藤原氏によって再興された中尊寺は昨年世界文化遺産に登録された。歴史があるだけあって、境内は深い森に包まれており、美しい紅葉も見られます。
セレクト2
【山寺立石寺 山形県山形市】
http://www.yamaderakankou.com/
「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」と松尾芭蕉が詠んだ東北有数の霊場。川沿いの山麓から山上の大仏殿、開山堂、五大堂まで約1時間の登り道です。五大堂からの展望はみごとで、一面の紅葉を眺めることができます。
セレクト3
【成田山新勝寺】
http://www.naritasan.or.jp/
成田空港から出発するときに車窓から眺めたり、初詣でで人を集める成田山ですが、紅葉時はとくに壮観です。大本堂の裏に広がる大庭園が美しく彩られます。成田の名物といえばうなぎ。紅葉狩りとうなぎはいかが?
セレクト4
【高尾山 東京都八王子市】
http://www.hachioji-kankokyokai.or.jp/
もはや外国人向けガイドブックにも紹介されている高尾山。年間を通じて多くの観光客が訪れますが、ケーブルカーやリフトもあって登りやすい山です。紅葉の中の薬王院は美しく神秘的、天狗伝説があるのも納得です。
セレクト5
【白雲山鳥居観音 埼玉県飯能市】
http://www.toriikannon.org/index.html
植林などが盛んに行われていた自然豊かな飯能市名栗にある霊地。大観音の白と紅葉樹の華やかな彩のコントラストがまぶしいほど。紅葉を楽しめるハイキングコースや境内散策コースが完備されています。
セレクト6
【もみじ園 新潟県長岡市】
http://www.city.nagaoka.niigata.jp/
地域の大地主だった高橋家の別荘であり庭園が公開されています。もみじ園は4000平方メートルと広大で、そこにカエデなどが植樹されています。とくに京都から移植されたイロハカエデが美しい姿を見せます。
セレクト7
【永平寺 福井県吉田郡永平寺町】
http://www.town.eiheiji.lg.jp/
曹洞宗の大本山である永平寺は現在でも200人ほどが禅修行をしている場所だけに、厳格な雰囲気が漂います。境内の入り口付近と奥の紅葉が見どころ。修行僧も静かな心持ちで紅葉を眺めているのかと想像すると感慨深いものがあります。
セレクト8
【彦根城玄宮園 滋賀県彦根市】
http://www.hikoneshi.com/jp/
現存する12の天守閣のひとつ、彦根城の北側にある池泉回遊式庭園で、江戸時代初期の庭を今に残しています。庭内を赤く染めるのはイロハモミジ。池に映った紅葉を狙う一般カメラマンの姿も多く、絶好の撮影ポイントです。
セレクト9
【大山 鳥取県西伯郡大山町】
http://www.daisen.gr.jp/kyokai/
霊峰・大山として知られる鳥取県の名峰は、中腹に大山寺、大神山神社があり、その参道も賑わっています。自然を信仰の対象にした日本人ならではの文化が垣間見える場所。周囲の落葉樹林が山を美しく染めます。
セレクト10
【栗林公園 香川県高松市】
http://ritsuringarden.jp/
高松市の中心部にありながら、紫雲山を背景に6つの池と13の築山を巧みに配置した自然豊かな公園。江戸時代の讃岐高松藩主生駒家とその後を継いだ讃岐松平家によって100年以上の歳月をかけて整備された公園です。
http://www.horiuchi-color.co.jp/photo-gallery/photocontest/
初めての写真コンテストに最適でしょう。
夏休みやドライブの写真を整理して、気軽に応募してください。
応募締切:2012年10月31日注文分まで有効
賞:金賞から銅賞、堀内カラー賞などが用意されています。金賞は賞金10万円とエクター100×40本、フォトアルバム。また、上位入賞者には入賞作品集を進呈。
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この夏も暑い夏でした。東京深川・門前仲町の富岡八幡宮では3年に一度、昨年の震災の影響で4年ぶりとなった例大祭が行われました。別名「水かけ祭り」。江戸の夏の風物詩です。
55の神輿が連なって歩く沿道の花壇ではシシトウが実っていました。また、夏でも冷たい中房温泉の清水にはスイカとキュウリが冷えていました。どれも今年の夏の思い出のひとこまです。
構成と写真
篠遠行彦
東京都生まれ。雑誌編集長などを経てカメラ&ライターになる。かつてはパキスタンの日本総領事館に勤めていたという異色の経歴をもつ。