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雑誌の扉を飾る大きな写真は、ときに“ブレ”を使って躍動感を出しています。たとえば職人さんのきびきび動く指、シェフが振るフライパン…。ストロボを使って動きを止めてしまうより、ブレの技術で臨場感を出しているのです。その技術を覚えましょう。

前回は高速シャッターを使って、ベストタイミングで一瞬の光景を写し止めるテクニックを伝授しました。今回は、それよりもう少し遅い“中速シャッター”を使ったテクニックを解説したいと思います。
中速シャッターは主に1/8秒~1/250秒くらいだと思ってください。

中速シャッターは、普段の撮影でもっとも使用する頻度が高いシャッター速度域です。これから解説するテクニックだけではなく、ごくごく普通の撮影においても使う場面は多いと思います。
しかし、今回は中速シャッターを積極的に選び、その特性を生かして作品をものにしようというお話です。



さて、みなさんは動いている被写体を撮る場合、その動きをどうやって表現していますか? 動きのある被写体の動感を表現するために、私は中速シャッターを使用しています。
動きを止める高速シャッターに対し、中速シャッターは被写体の動きによってブレが発生します。この「ブレ」を作品に生かすことで、写真に躍動感が与えられるのです。

写真は「時の芸術」であると前回お話ししましたが、例えば1/60秒のシャッターを使うのであれば、1/60秒の間に起こる出来事を1枚の写真に凝縮する。それが中速シャッターを生かした写真表現ということになります。

つまり「ブレ」を生かして、1/60秒間の動きを写真に表現するのです。
1/60秒は速く感じるかも知れませんが、実際にその間に大きく動いているものは意外とたくさんあります。具体例を紹介していきましょう。

写真Aは「春風」をイメージした写真にしようと、シャッター速度1/60秒を選択して写したものです。
春、穂を付けた麦が風に揺らいでいました。揺れる穂の動きに合わせてカメラを少しだけ動かして、麦畑を吹き抜ける春風を表現してみました。
ところで、「ブレ」を写真に生かす場合に大切なことがひとつあります。それはブレていない部分を一緒に写すことです。
「ブレている」というのが分かるためには、「ブレていない」部分が必要というわけです。その典型的な例が「流し撮り」になります。

写真A

写真Bは同じく1/60秒を選び、機関車の動きに合わせてカメラを右に振っています。カメラを振ることで背景はぶれ(流れ)る一方、機関車はシャープに写り、スピード感が表現されています。
このときのコツは、あまり遅いシャッター速度を選ばないことです。遅すぎると背景の動きが大きく(模様のように)なってしまい、かえって動感が失われてしまいます。
もちろん列車のスピードにもよりますが、1/30~1/125秒あたりが最適です。

写真B

逆にカメラは固定し、動いている場所から撮影したものが写真C・Dになります。
写真Cは1/45秒のシャッターを選び、船上から海を狙った写真です。
波が適度に流れることで、海面を切って進む船のスピード感が表現できました。肉眼ではハッキリ見えないスクリューによって巻き上げられた海面の形も、動感を持って表現することができています。
写真Dはトンネルから抜けようとする列車の動きを狙ったものです。
1/30秒を選び、ズームで焦点距離を変えながらトンネルの出口の動きが止まるように追っています。それよりも速く動く手前側のトンネル部分が流れ、動感が生まれました。

写真C

写真D

ブレを生かした表現にはもうひとつ、動く被写体自身を中速シャッターでぶらす場合があります。
写真Eは激しく打ち付ける雨足を狙ったものです。1/40秒を選んで撮影しています。流れる雨と階段に打ち付ける雨の様子がこの日の雨足の強さを表しています。
写真Fは滴る滝の水流と流れてくる川面の様子を、ブレを生かして表現したものです。ブレを生かしたことで、風景の中に「森の躍動感」を盛り込むことができました。

写真E

写真F

写真G/H/Iは、同じ滝の水流を1/250秒、1/30秒、1/4秒とシャッタースピードを変えて撮影したものです。
高速シャッターに近いほど目には見えない一瞬の様子が写し撮られ、逆に低速シャッターになると、被写体の動きは大きくブレ、それによって生まれる「模様」が写真に別な印象を与えます(ここでは「幽玄さ」といった感じでしょうか)。
中速シャッターは、被写体が適度にぶれることで、落水の勢いが写真に表現されています。



ちなみにシャッタースピードを何秒にするかは、被写体の動くスピードによって変わるため、一概には言えません。
ですが、中速シャッターのいずれかを選べば「ブレ」の表現は可能です。「ブレ」を生かして躍動感溢れる素敵な作品を撮ってみてください。

写真G

写真H

写真I
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。


出版社勤務が決まった筆者が最初に配属されたのがスキー編集部でした。
記事を書いたり、編集作業をするだけでなく、雪が降ればスキー大会の会場に行ってレースの写真を撮影しなければなりません。
スキー大会では選手が想像以上のスピードで滑ってきます。その瞬間を捉えるのはとても難しいものです。肝心なスキー選手がフレームに入りきらない。選手を無難に捉えようとすると、人物が小さくなりすぎる。ピントが合わない。選手がブレる…。
それはもう苦労の連続だったのを思い出します。
出版社勤務前は海外旅行を重ね、それなりに写真撮影をして自信をもっていたのですが、そんなものは木端微塵に吹き飛びました。



来シーズンは自分の撮影したスキーレースの写真で誌面を飾りたい。そう思った筆者はスポーツカメラマンに相談しました。
回答は「自動車レースを撮影に行けばいい」でした。高速で走る自動車を望遠レンズで捉え、きちんとピントを合わせ、さらにカメラを振って自動車がブレなくなれば合格とのアドバイス。早速、レース場に足を運んだものです。
こんな方法で越カメラマンが解説するブレを活かす方法をものにしてください。

●「JAF」のモータースポーツサイト
http://www.jaf.or.jp/msports/index.htm

日本の自動車レースやレース日程などがわかります。
※レースや座席によっては一般の望遠レンズ付カメラの持ち込みが制限される場合もあります。事前に確認してから観戦に出かけてください。
http://www.tamron.co.jp/special/macrocon2013/index_outline.html

マクロレンズに定評があるタムロンが主催するフォトコンテストです。
「ネイチャー部門」は植物や昆虫、小動物などのネイチャー写真を対象としています。
「ノンジャンル部門」はどんな写真でも。人物・アクセサリー、人物、料理などジャンルを問いません。
応募はマクロレンズで撮影した写真であれば、メーカーやモデルはなんでもOK。ただし、タムロンマクロレンズを使用すれば、タムロン賞(両ジャンルから1名賞金5万円)に選出される可能性も。
ちなみに掲載写真はハワイのフリーマーケットで購入した太ったアロハガールを、タムロンのマクロレンズで撮影してみました。
みなさんもぜひ参加を。賞金総額100万円のコンテストです。

応募期間:2013年10月31日(木)まで
賞品:豪華賞品が用意されています。
グランプリ:賞金30万円(全応募作品より選出)
金賞:10万円(2名)ほか、銀賞(5万円)、銅賞(1万円)など

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!
編集部が取材で出かけて撮影したたくさんの写真の中から、壁紙向きの写真をプレゼントします。お気に召されたら、壁紙などにお使いください。



4月初旬から5月中旬まで雪融けを待って九州から北海道まで取材旅行をしました。そのときに、なんとなく撮影したスナップです。
桜前線と一緒に北上したので、さまざまなところでフキノトウを見つけました
泉でしょうか? いいえ、温泉です。ぶくぶくと川底から湯が湧いていました(和歌山・川湯温泉)
九州・大分県のとある温泉旅館の軒先にはトウモロコシが掛けてありました
北海道もようやく長かった冬が終わり、ほんのりと緑色になっていました
< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
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