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正式に世界遺産に登録された富士山に「登山者殺到」というニュースが流れています。確かに富士山は生涯に一度は登ってみたい山。ところで富士山は、日本特有の山岳信仰の象徴とも呼べる存在であり、偉大なパワースポットなのです。

「噴火しないでください」と祈る人々の気持ちから始まった富士山信仰は、平安時代末期から登山修行にかたちを変えました


宮ノ下の富士屋ホテル。カフェやランチだけの利用も可能で、さまざまなプランがあります
日本には庶民信仰の対象となっている山が数多くあります。たとえば、白山や御嶽山、大山などがあげられます。

そして、富士山も山岳信仰の対象として、はるか昔から人々に親しまれてきました。

富士山の噴火を鎮めるために、富士山を神格化した浅間大神(あさまのおおかみ)が山麓に祀られたのが始まりです。さらに浅間神を神話に基づいて「木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」として祀っています。

浅間神社は静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間大社を総本宮に、全国に約1300社もあるのですから、その信仰のパワーに驚かされます。

さて、最初のうちは山麓の神社で崇めるだけだった富士山信仰は、平安時代末期を境に変化を遂げます。仏教の影響を受けて、修行のために山頂へ登る人が現れたのです。「山頂は仏が暮らす世界」という考え方が普及し、それが人々を山頂に向かわせました。

“神”と“仏”が一体となった富士山信仰の確立でした。

江戸時代になると、富士山信仰は庶民のあいだでも大ブームになります。しかし、体力と時間が必要な富士山登頂は簡単ではありません。そこで関東平野の多くの神社の境内に「富士塚」が造られました。富士山を模した小さな山で、これに登れば富士山登頂と同じご利益があると謳われました。

現在は工事中ですが、東京・西新宿にある成子天神社の高さ12mの富士塚の山頂には、木花咲耶姫命の像がありました。

富士塚についてはこの連載でも過去に取り上げています。
「都内にも富士山がたくさんあります」

宮ノ下や強羅は思いのほか駐車場が少ないので、主要駅にクルマを停めて箱根登山鉄道でめぐるのも手


嶋写真店ではショーウインドウを眺める人が後を絶ちません。多くの著名人の顔があります


宮ノ下の周辺には古民家を利用したカフェやブティックも
今回は富士山登頂とまではいきませんが、おすすめの富士山周辺ドライブをご紹介しましょう。

ご提案するのは絶景の富士山とレトロな街並みです。

お立ち寄りスポットは宮ノ下、強羅周辺。そして、その後は富士山の絶景を求めて乙女峠を越えて富士五胡方面へ。距離はありますが、富士山パワーが感じられる素晴らしいドライブになると思います。

宮ノ下は箱根の中心スポットのひとつです。なかでも存在感があるのが創業135年の「富士屋ホテル」。長い歴史のなかで、さまざまなゲストを迎えてきました。明治期のお客様の9割は外国人だったそうです。

初代と二代目の二世代によって主に建造された和モダンな建物は、ほとんどが文化財に登録されています。初代の造った洋風建物と二代目が好んだ和風建物がマッチして、独特の素敵な空間を創り上げています。宿泊に加えてオリジナルのベーカリーやスイーツも人気があるのでドライブの合間にぜひ!

富士屋ホテルからすぐ近くにあるのが「嶋写真店」です。1877年創業で、4代にわたり箱根を訪れる人たちを撮影してきました。そのなかにはチャールズ・チャップリンやヘレン・ケラー、ジョン・レノンも…。
ショーウインドウで彼らと会えるかもしれません。

レトロな雰囲気が漂う「セピア調オリジナル記念写真」の撮影を行っており、その風合いが古きよき時代を思わせると好評です。

そのほかにカレーパンが人気のベーカリーなど、さまざまなお店があるのが宮ノ下。絶好の立ち寄りスポットです。

こちらも箱根ならではのケーブルカー。公園下のすぐ横に箱根写真美術館はあります


箱根写真美術館には遠藤圭さんの美しい富士山の写真が常時展示されています


自分のお気に入りの富士山を探しましょう。写真は本栖湖を手前に撮影した富士山です
お次に向かうのは強羅です。

推奨スポットは「箱根写真美術館」で、ミュージアムとカフェが一体となった素敵な場所です。

駐車場がないので強羅周辺や箱根ケーブルカー公園下駅(こちらのほうが近い)あたりのコインパーキングにクルマを停めるしかありません。

しかし、ケーブルカー沿いの小さなミュージアムカフェは一見の価値があります。

まずはみごとな富士山に出合えます。箱根出身で、箱根在住の写真家・遠藤圭さんによる富士山作品が常設展示されているのです。

富士山をテーマにした写真教室も主宰している遠藤さんだけに、四季ごとに変わる富士山、時間ごとに彩が変化する富士山を撮影しており、その美しさに思わず「ほーっ」と、息が漏れます。

箱根写真美術館を後にしたら、リアルな富士山を見に行きましょう。

芦ノ湖周辺でもいいし、乙女峠を越えて富士山の北側にあたる富士五湖まで爽快に風の中をドライブしてもいい。

とくに、乙女トンネルを抜けたあとに真正面に見える富士山、さらに富士五湖から眺める富士山は絶景といえるでしょう。

お気に入りの富士山を探して、クルマを走らせるのも素敵なひととき。
富士山パワーをもらいに、最高に美しい富士山を見つけに行きましょう!

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●富士宮市観光協会
http://www.fujinomiya.gr.jp/
●富士山本宮浅間大社
http://fuji-hongu.or.jp/sengen/
●富士屋ホテル
http://www.fujiyahotel.jp/index.html
●嶋写真店
http://www.miyanoshita.com/i/shima/index.html
●箱根写真美術館
http://www.hmop.com/index.html
●富士河口湖地方 総合観光情報サイト
http://www.fujisan.ne.jp/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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