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テントとタープを張って、あとはバーベキューでおしまい…というキャンプは卒業し、今年はプラスαを加えてアウトドアの達人になってしまおう。たとえば、虫を観察するキャンプなんていかがだろう。

取材で行ったキャンプ場で、「クルマにどんな本を常備していますか?」と尋ねたことがある。

あるご夫婦は「日帰り温泉ガイドブック」、お子さんを連れたファミリーは天体図鑑だったり、アウトドアクッキングの本だったり…。

いつも持ち歩いている本で、その人がアウトドアに何を求めているのかがわかるものだ。
ところで、キャンプ場にいる人たちには2パターンがある。

ひとつはキャンプそのものが目的の人たち。テントとタープを張って、バーベキューや野外でのアルコールがなにより楽しみで、キャンプ場の外に出て遊ぶことはあまりない。

もうひとつはキャンプ場をベースに幅広く遊ぶタイプ。図鑑片手に周囲の野山を歩いたり、渓流釣りにでかけたり、天体望遠鏡を設置して夜の星空観察に時間をかけたり…。キャンプ場を含めた周囲の環境を存分に生かして遊ぶタイプだ。

このふたつの傾向に、どちらがよい、悪いはもちろんない。


※今回のプレゼント

しかし、お子さんと一緒に自然を楽しむキャンプで、プラスαの魅力を求めれば、アウトドアライフがより以上に充実するのは間違いない。

さて、それではなにから始めたらいいのか。もちろん、趣味の問題だから人それぞれで選択すればいい。

しかし、たとえば渓流釣りや山歩きとなれば、揃える用具が多くなる。登山靴、リュック、雨具、登山用水筒などを揃え、張り切って登山にでかけたものの、お子さんがイヤがって一度切りとなってしまえば、とんだ無駄使いに終わってしまう。

その点、虫観察なら捕虫網とカゴ、図鑑があれば十分だ。しかも、森林や高原のキャンプ場なら周囲に虫もたくさんいる。

簡単に始められるプラスαキャンプなのだ。

高原や森林のキャンプ場では、しばしば蝶を見かける。花の蜜を求めて優雅にアゲハが飛んでいるのだ。

最初のターゲットは蝶がいいだろう。

蝶を捕まえるには捕虫網を使う。花に止まっているときが狙い目だ。

捕虫網は市販のもので十分だが、理想は竿の長さが調整できるものだ。

森林では木の上を飛ぶ蝶も多く、その場合は竿が長いほうが有利になる。しかし、木や花が密集している場所では、竿が長いとかえって使いにくいケースもある。だからこそ、伸縮がきくものがいい。

また、アゲハなどは「蝶道」と言われる一定のコースを飛ぶ習性をもつ。つまり、一度飛んだところに、再び現れることが多いのだ。

よく観察して、飛んだコースの下でそっと待ち構えていれば、捕獲できる可能性も高いというわけだ。

捕獲した蝶を標本にする場合は、羽根を傷つけないように「三角紙」に包むなどの作業が必要になるが、キャンプではよく観察したら放してあげるのもいいのでは。

夏以降、高原のキャンプ場はトンボが多くなる。

トンボの採り方はおとうさん、おかあさんが小さい頃にやった方法がいちばん。くるくる指をまわして、あの大きな目をまわせばいい。

こうして昼のあいだに虫と親しくなっておく。実はキャンプではこれも大事な訓練なのだ。

夜になるとランタンの灯りをめざしてたくさんの虫、蛾が集まってくる。人は不思議なもので、“蝶はいいけど蛾はかんべん”という傾向にある。

テントの中でライトをつけていたら、10cm以上もある蛾がテントにとまって気味が悪かったという例も多い。

でも、虫に慣れている子どもなら、そんなこともへっちゃらになっているに違いない、たぶん…。

百獣の王という言葉があるように、虫の王といえばカブトムシやクワガタといったイメージが強いのでは。

そして、1泊するキャンプだからこそ、この大物を狙ってみたい。

なぜなら、これらを捕まえるには“夜”が必要だからだ。

カブトムシ、クワガタともに6~8月が採集にふさわしい時期(カブトムシはとくに7月中旬~8月初旬)。

まずは最初の採集方法を紹介しよう。

昼のうちにキャンプ場の大きな木や周囲の森を観察して、樹液をたくさん出している木を見つけておく。

そして、バーべキューがひと段落した夜7時半以降に懐中電灯と捕虫網をもって、あらかじめ見つけておいた樹液を出す木を調べに行こう。そこには樹液を求めてやってきた“大物”がいるかもしれない。

仮に夜にいなければ、早朝5時頃に出直してもいい。テント泊は太陽が出ると必然、目を覚ますものだ。早朝の散策もそれほど苦ではないだろう。

明るくなったばかりの大木に、カブトムシがいる可能性も高い。

次にキャンプ場の場内電灯を利用する方法がある。

電灯は前述したように蛾をはじめ、たくさんの虫を集める。

そこで、電灯の下やそばに、スイカやメロンなどを置いておく。これは「トラップ(ワナ)」と呼ばれる方法で、案外効果があるものだ。

このように昼、夜、早朝と1泊2日をかけて、じっくりとカブトムシやクワガタを採集できるのがキャンプならではの魅力。自然の中に泊まったからできることだし、大きなカブトムシが採集できれば、お子さんにとってはなによりの思い出になるだろう。

今年はぜひ、キャンプにプラスαを加えてみよう。


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< PROFILE >
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。
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