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瀬戸内海に浮かぶ大三島にある大山祗神社は、全国の山祗神社・三島神社の総本社であり、航海安全や戦勝などの神が祀られているために、戦国時代以前より多くの武将が参拝し、刀などを奉納しています。それらが展示される国宝館に腰がくびれた女性用の甲がありました。


2600年もの歴史を誇る大山祗神社。御分社は全国で1万以上になります


武将や当時の天皇からの奉納品が展示された「国宝館」とともに訪れる人が多い「大三島海事博物館」


大山祗神社と鶴姫公園を結ぶ道は「鶴姫ロード」になっていました

しまなみ海道の開通により、広島県の尾道から四国愛媛県今治まで繋がってずいぶん時が経ちました。

ここは織田信長と戦った村上水軍が活躍した海域です。村上水軍とひとことで言っても、島ごとに小さな軍があったと伝わっています。

多くの島が浮かび、さまざまな海流が混じるこの海を知り尽くす村上水軍は、島に隠れ、島影から奇襲をしかけ、海流を活かして縦横無尽に船を操りました。

2014年の本屋大賞に選ばれた和田竜の『村上海賊の娘』は、村上水軍をテーマにした物語です。

さて、しまなみ海道のほぼ中央に大三島があります。

今から2600年ほど前、神武天皇は九州(宮崎県説が強い)より出て奈良へ東征したと伝わっています。そのおりに、まずは先発隊が四国、瀬戸内海の治安をはかりました。

その要衝として御島(大三島)を神地と定め、鎮祭したのが大山祗神社の起源です。どれほどの歴史の長さでしょう。

それ以来、山の神々の親神にあたると『古事記』『日本書紀』などにも記載されていますし、海上安全や戦勝の守護神としても信仰されてきました。

大山祗神社の国宝館には数多くの武将が奉納した刀、甲冑などが展示されています。
国宝の「赤絲威鎧(大袖付)」は源義経が奉納したものです。さらに斉明天皇が奉納した鏡、源頼朝が奉納した鎧などが国宝として並びます。

そのなかに、ほかの鎧とは少々異なる甲があります。
ウエスト部分がくびれ、全体に小さく、背面の赤い紐が目立っています。これが瀬戸内海のジャンヌ・ダルクと呼ばれる鶴姫が着用した重要文化財の「紺糸裾素懸威胴丸」なのです。


ミュージカル『鶴姫伝説 瀬戸内のジャンヌ・ダルク』、取材時に写真を劇場よりお借りしました


夕陽を浴びて幻想的なしまなみ海道の来島海峡大橋


今治名物の焼き鳥は“鉄板”で焼いてお皿に盛られて出てきます

筆者は数年前に松山の「坊っちゃん劇場」で、ミュージカル『鶴姫伝説 瀬戸内のジャンヌ・ダルク』を観ました。

正直なところ、地方劇場のミュージカルって…、と開幕前は思っていました。ところが、そんな思いは開演後すぐに飛び散りました。圧倒的な歌唱力、美しい舞台・衣裳、構成…。ニューヨークでミュージカルを数回観劇しましたし、劇団四季などの公演にも何度も足を運びました。それらに何ら劣らぬみごとな舞台だったのです。

現在、坊っちゃん劇場では第9作、ジェームス三木作の『道後湯の里』が公演されています。去る5月9日には2006年オープン以来8年で入場者数が60万人を超えました。いかにレベルの高いミュージカルが行われているか、ファンがついているかの証明でしょう。

史実に脚色が加えられて公演されたミュージカルのストーリーは、鶴姫の悲しい恋を物語っていました。

大三島の宮司の娘として育った鶴姫は、兄が戦死したために女性でありながら戦に出る運命を背負います。

それでもまだ16歳、恋にも落ちます。

結婚を約束し、用意された美しい着物を見て心踊る鶴姫。ところが運命は残酷で、恋人は結婚の日を迎えることなく戦死してしまいます。鶴姫に悲しんでいる時間はありません。再び戦場へ赴かなければならなかったのです…。

史実でも1543年に二度の敗北からの逆転を狙った大内義隆は、伊予河野氏を水軍で攻めて瀬戸内海覇権を狙っています。河野氏の配下の鶴姫はそれと戦い、恋人の越智安成は戦死しています。

その後、鶴姫は残った兵を集め、決死の反撃に出て大内軍に勝利を収めます。
しかし勝利に喜ぶよりは戦の日々を憂い、失った兄や恋人を想う鶴姫は、18歳で入水自殺したとする説が強いようです。

鶴姫の辞世の句があります。
「わが恋は 三島の浦の うつせ貝 むなしくなりて 名をぞわづらふ」
なんと哀しい句でしょう。


独特な建築の「坂の上の雲ミュージアム」、安藤忠雄氏の設計です


松山の街で見かける原付のナンバーはとてもかわいい!


かつて聖徳太子も疲れを癒した道後温泉。風情ある建物です

しまなみ海道は見どころ満載です。尾道寄りの島々は柑橘系の産地としても知られ、生口島にはシトラスパークや観光農園が点在しています。
大三島から今治までは“塩”が有名な伯方島、バラ園が人気の大島を経由して来島海峡大橋を渡って行きます。

今治の名物はたくさんあります。たとえば品質のよい今治タオルは、全国的な人気を誇り、ブランド品として認知されています。
※今回のプレゼントは高級今治フェイスタオルです。

さらに焼き鳥も独特で、今治では串焼きではなく鉄板焼きが主流です。
今治を過ぎれば旅の目的地は松山になります。

松山は夏目漱石の『坊っちゃん』、司馬遼太郎の『坂の上の雲』と関連の深い街。『坂の上の雲』は秋山好古、真之の兄弟と正岡子規という松山出身で松山に縁のある3人を主人公にしています。

平成19年には建築家・安藤忠雄による独創的な「坂の上の雲ミュージアム」が開館しました。小説執筆の背景や登場人物ゆかりの品などが展示されています。

ちなみに松山市の原付のナンバーには「雲型」も。坂の上の雲の街らしいアイデアですね。

そして、旅の締めくくりは道後温泉へ。

道後温泉は『日本書記』にも登場し、日本最古の温泉として知られています。足にキズを負ったシラサギが噴出する湯を見つけ、毎日飛んできて湯に浸かったところ完治したという伝説があります。

そのために、道後温泉の立派な湯舎にはシラサギが飾られています。
聖徳太子も訪れた道後温泉、ここもパワースポットといえるでしょう。

【ドライブひとことアドバイス】
本州から四国に行く場合、京阪神地区や首都圏方面からだと淡路島経由や瀬戸大橋を利用しがちですが、島が連なる景観や、個性的な島に立ち寄る楽しみは「しまなみ海道」がいちばん。
また、折り畳みの自転車などを積んでいくのも手。しまなみ海道はサイクリングロードが完備されており、国内外のサイクリストに評判です。


「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●しまなみ海道観光情報
http://www.go-shimanami.jp/

●今治観光情報
http://www.city.imabari.ehime.jp/kanko/

●松山観光情報
http://www.mcvb.jp/

< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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