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高原を抜ける爽やかな風、野鳥のさえずり、テント設営後のビール…。この次に来るのは“お昼寝”の番です。とはいえ、景色を遮断してしまう蒸し暑いテントの中では気分上々とはいきません。そこでハンモックの出番となるのです。


ハンモック設置自由のキャンプ場にて。ただし、木の幹にタオルなどを巻いてから結び付けたほうが自然にやさしい


コテージに設置されたハンモック


ハンモックがある「花の森オートキャンピア」

もうずいぶん前に、それも子どものころに見た西部劇ドラマですから、記憶のほどは確かではありません。それでも、西部劇に登場するカウボーイたちは、ひと仕事を終えた夜に焚き火を囲んでウィスキーをラッパ飲みし、やがてハンモックに横たわって眠っていました。

そのときに、顔の上にカウボーイハットを載せる仕草が、なんともカッコよく見えたものです。

また、朝陽と共に起きた彼らはハンモックに腰を掛けて、ナイフでヒゲを剃っていました。その姿も、とても絵になっていました。

アウトドアで生きる男に、ハンモックはもっとも似合う寝具でした。



しかし、現実は甘くありません。

キャンプサイトにハンモックを設営し、一夜を過ごそうとしても、ランタンの灯に吸い寄せられた蛾や昆虫、蚊によって熟睡なんてとても無理。結局、“網”によって外の世界と遮断されたテントの中に逃げ込むのがオチといったところでしょう。

とはいえ、ハンモックの魅力に取りつかれたアウトドア愛好家も少なくありません。そういったキャンパーは、ハンモックとハンモックを設置するためのハンモックスタンドを持ち込み、それをカヤ形式のタープ内に設営して自然の風を浴びながら心地良い夜を過ごしているようです。

西部劇のカウボーイたちはめったに虫に刺されませんが(ま、そんなシーンがないだけですけども)、準備を万全にしてこそハンモック睡眠が可能ということでしょう。

でも、お昼寝ならそれほど虫の心配はありません。高原のそよ風に吹かれながら、あるいは波の音を聞きながら、ハンモックを使ってのお昼寝は快適そのものです。

そもそもハンモックは南米の熱帯地方の先住民が使用していたという説が濃厚です。熱帯地方(南米ですから熱帯雨林でしょう)といえばさまざまな生物が生息していますから、地面に直接寝転がるには条件が悪すぎます。その点、空中で眠るハンモックは安全性が高かったのかもしれません。

また、背中部分の風通しがよかったのもメリットでしょう。

ですから、ハンモックはアウトドアで使用するのに理にかなった寝具といえるのです。



現在ではハンモックを備えたキャンプ場も少なくありません。

ハンモックを体験したいという方は、購入を検討するよりハンモックがあるキャンプ場や、レンタルがあるキャンプ場を選ぶのも手でしょう。

ハンモックでゆらゆら揺られながら昼寝を楽しむ。動くばかりがアウトドアライフではありません。ハンモックと共に過ごすキャンプ場の昼下がりも、とても幸せなアウトドアライフの1ページです。


「キャプテンスタッグ」のハンモックはシンプルなネット式(5000円前後)


ハンモック台と一体となった「トイモック」、カラーも豊富(1万円前後)

ハンモックが普及されたのは16世紀末から17世紀でした。

まさに世は大航海時代。波による船の揺れと同調するハンモックは船舶内の寝床として最適でした。

当時、豪華クルーズ船のような優雅なベッドは設置できませんから、必然、ベッドが狭くなります。狭いベッドだと船の揺れによって、船員たちが転がり落ちる心配もあります。

また、ベッドよりも空間に余裕ができるハンモックは、大勢の船員を収容できるという大きなメリットがありました。

ハンモックの利点はこれだけではありません。

帆船は風が動力のために、帆に風を受けた船は左右どちらかに傾きながら進みます。固定式ベッドだと船の傾き同様に、ベッドも傾いてしまうので、スヤスヤと眠ることはできないでしょう。

しかし、ハンモックであれば船が右に、左に傾いたままでも水平が保たれます。ハンモックであれば船員は船の傾きを気にせずに眠れます。

ハンモックが重宝されたのが理解できるでしょう。

しかし、帆船から蒸気船に移行すると、ハンモックの利点はそれほど意味をもたなくなりました。

こうしてハンモックはアウトドアをベースにする人たちの寝具に戻っていきました。

ところが現在では、アウトドアや海を目の前にしたリゾートで、いっときのくつろぎ、癒しの道具としてハンモックが見直され始めました。

まるでブランコのような心地いい揺れと、アウトドアやリゾートならではの解放感によるものでしょう。


リゾートや美しいビーチパークに端を発したハンモックブームは、もともとハンモックの活躍の場だったキャンプ場にも押し寄せています。

アウトドアメーカー各社も競ってハンモックをラインナップしました。しかし、ひと昔前と異なるのは、白木に白い網を編んだネット式よりも、軽量で丈夫なポリエステルなどを使用したハンモックが充実したことです。

たとえば、アウトドアメーカーとして人気が高い「コールマン」が販売しているパラシュートハンモック(スカイ)は、重量が800gと非常に軽量でありながら、耐荷重は180㎏となっています。

メーカーによってはシングル、ダブルのサイズを用意し、ひとりでゆったり寝たり、ふたりでブランコのように腰掛けてくつろいだりと使用幅が増えました。カラーもとても美しくなりました。

加えてハンモックを設置するためのハンモックスタンドも販売されています。

ハンモックを設置するときは管理人さんの許可を得ない限り、樹木にロープを直接結び付けるのはマナー違反。ハンモック設置OKのキャンプ場でも、幹にタオルなどを巻いてから設置する配慮が必要です。自然のままの樹木にキズを付けないのがアウトドアのマナーですから。

その点、ハンモックスタンドがあれば、サイト内のどこにでも設置できます。

これからのアウトドアライフに、ハンモックを加えてみたらいかがですか?


カラー豊富でゆったり
「eno(イノー)」ダブルネストハンモック
(1万円前後)

質量500gで耐荷重200㎏の
「エバニュー」シングルムーンハンモック
(5000円前後)

ワイドながらコンパクト収納の
「コールマン」パラシュートハンモック
(スカイ・5000円前後)

織り技術を活かした写真を含む12色が揃う
「ラ・シエスタ」シングルハンモック
(1万3000円前後)

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●ハンモック付コテージが素敵なキャンプ場例
花の森オートキャンピア
http://www.hananomori.jp/

●気軽にハンモックがレンタルできるキャンプ場例
キャンプ・アンド・キャビンズ那須高原
http://www.camp-cabins.com/

●オートキャンプの情報ならこちらへ
社団法人 日本オートキャンプ協会
http://www.autocamp.or.jp/

< PROFILE >
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。
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