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カメラを使用したからこそ見えてくる世界があるものです。たとえば、小さいものに焦点をあてるマクロレンズもそのひとつでしょう。今回、越カメラマンが教えてくれるのはマクロレンズでの撮影です。写真コンテスト情報、壁紙プレゼントと盛りだくさんでお届けします。
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本格的な秋が近づき、高原や野山へドライブするにはとてもいい季節となりました。
花畑を眺めながらのドライブももちろんいいのですが、ちょっとひと休みして花畑の片隅の目には見えない世界をマクロレンズで覗いてみませんか?
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デジタルカメラの一番の特徴として高い解像力が上げられます。この解像力のお陰で、目には見えない小さな世界も、簡単にカメラで確認できるようになりました。
これが今回紹介するマクロレンズを使った撮影(マクロ撮影)の特徴です。
写真Aは普通の望遠レンズで、写真Bはマクロレンズでベニシジミという1.5cmほどの小さなチョウを撮影しました。マクロレンズで撮ると、目には見えないチョウの体毛の様子まで確認できるのがおわかりいただけると思います。
専用のマクロレンズでなくても、最近のズームレンズの中には撮影倍率(被写体をどのくらい大きく写せるのかという指標)が高いレンズもあります。
ご自分のレンズで小さなモノがどのくらいの大きさに写せるのか、確認しておくといいと思います。写真Cくらいに写せれば、十分にマクロ撮影は楽しめます。
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マクロレンズを使った撮影のもうひとつの特徴として、目には見えない風景の世界を作り出せることにあります。写真Eはその例です。
普通に撮ってしまえば紫色の小さな花…に過ぎませんが(写真D)、マクロレンズで花にグッと近づくと、目では確認できなかった美しい世界が広がっていました(写真E)。
このようにマクロレンズで見る世界には、我々の想像を遙かに超える世界が広がっているのです。
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想像を超えるマクロな世界を見せてくれるマクロレンズ。それだけに、いくつかの注意点があります。まず、1点目がピントの位置です。
マクロレンズでトンボの目に近づくと複眼と呼ばれる構造になっていることまで写真で確認できます。
しかし、ちょっとピントが奥(顔の中心部)にずれただけで(写真F)、その様子は写真では分からなくなってしまいます。しかも、相手は動く被写体。あらかじめピントを合わせたい位置に概ね合わせておいて、体を前後させるなどしてピントが合った瞬間にシャッターを切ります(写真G)。大切なのは、惜しまずに何枚も何枚も撮影することです。複数枚撮影できるのも、デジタルカメラの特徴といえるでしょう。
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次にピントと同じように気をつけたいのが背景です。
マクロ撮影は小さな世界を狙っているため、狙う角度のちょっとしたズレが背景に影響してきてしまいます。
写真H/Iはいずれも木漏れ日を背景にクモの巣を狙った写真です。狙う角度を少し下からにしただけで、木漏れ日とクモの重なりがなくなり、スッキリとした印象の写真(写真I)になりました。クモも際立って見えます。
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もうひとつの注意点はピントが合って見える範囲(被写界深度)の問題です。
マクロ撮影では被写体にかなり近づくために、ピントを合わせた位置の前後が大きくボケてしまいます。これを「被写界深度が浅い」というのですが、これがあまりに浅すぎると何を狙ったかもわからなくなってしまいます。
そこで絞りの設定を変えることで被写界深度を調整します。
写真J(露出F4)、写真K(F8)、写真L(F16)に設定し撮影しました。花の前後が大きくボケている写真Jに対し、絞りの数値を大きくすることで前後までピントが合ってきているのが確認いただけるかと思います。
自分の狙いによって絞り値を変えて撮る。これがマクロ撮影の3つめの注意点になります。ここでは、手前の花のピントが概ね合ってきている写真K(F8)がちょうどいい感じです。
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ちょっと余談になりますが、コンパクトデジタルカメラのマクロ機能(お花のマークだったりします)について少し触れておきます。
実はコンパクトカメラのマクロ機能は、「近づいて大きく撮ること」はできるのですが、マクロレンズのように前後をボカすことはできません。これはコンパクトカメラの機構的な要因によるのですが、大きくボケない代わりに、背景を広く写すことができます(詳しい説明は難しいので割愛します)。
専用のマクロレンズを使うと前後を大きくボカすことができる、ということを覚えてください。
なお、最近のコンパクトデジタルカメラの中には、機構上の特徴を活かし、顕微鏡モードといった超マクロ写真や、全焦点写真(被写体の全部にピントが合っている写真)といった機能を持ったものも発売されていますので、狙い方によってはおもしろい写真が撮れるかもしれません。
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目に見えない世界を覗くことができるマクロ撮影は、通常の撮影とは違った別の魅力があります。
最近流行っている水滴写真もマクロ撮影のひとつです(普段あまりこのような写真は撮らないので、ちょっと今ひとつ…ですが(汗;;))
ぜひ秋のドライブルートであなただけのマクロワールドを見つけてみてください。
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こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
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本州のなかでも信州は自然が豊かなところ。しかも、本州の真ん中に位置するために、自動車道などを利用して首都圏からも中京・京阪神地区からでも行きやすいのが魅力です。信州そば、高原野菜などのグルメも人気のために観光客が絶えません。
「長野県公式観光ウェブサイトさわやか信州旅.net」は訪れる人々のために観光情報を提供しているサイトです。
そのなかに、「野鳥・昆虫・動物・魚の名所はどこ?」というコンテンツがあります。
「黒岩山=ギフチョウとヒメギフチョウが混生している場所」「なべくら高原=ゲンジホタルとヘイケホタルの混生する村」などの情報が掲載されています。
これからでかけるにはホタルは季節外れかもしれませんが、雪が降る前なら野鳥や虫、魚との素敵な出合いがあるのでは…。
そんなときはマクロ撮影に挑戦してみてくださいね!
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http://www.gamakatsu.co.jp/events/contest/15photo/
「あすの釣りをひらく」をコンセプトに釣り用具を扱うがまかつが、子どもたちに釣りの楽しさ、自然の大切さをもっと知ってほしいと開催しているのがこのコンテストです。
テーマは釣りで、親子で釣りを楽しんでいる様子、魚を釣って喜んでいる笑顔などを募集しています。
ただし、「親子」というところに、ほかのコンテストにない特徴があります。子どもが撮影した写真1枚と、保護者が撮影した写真1枚の合計2枚が応募規定。親子で撮影した2枚の写真で審査されるのです。
親子で釣りを楽しみ、親子で力を合わせて応募してみてください。
募集締切:2015年11月16日(月)当日消印有効
賞 品: 最優秀賞1名/JTB旅行券8万円分
優秀賞3名/パナソニック ファイバーミキサー
ベストショット賞3名/がまかつ海上釣堀マリンアロー真鯛3.5m
ほか
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編集部が取材ででかけて撮影したたくさんの写真の中から、壁紙向きの写真をプレゼントします。お気に召されたら、壁紙などにお使いください。
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静岡県の熱海は堤防や海岸地区を整備し、美しいヨットハーバーや親水公園が完成。文字通り東洋のナポリと呼ぶにふさわしい観光地になりました。徳川家康が湯治で訪れた名湯が湧く温泉地でもあります。「数年ぶりに熱海へ」という方がいるとしたら、その変貌ぶりに驚かれるはずです。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。