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この連載でも以前に大山(だいせん)、投入堂(なげいれどう)などの鳥取県のパワースポットを取り上げました。そして、今回は鳥取砂丘。山陰地方は出雲大社を始め、神話の登場人物の逸話が多い土地。パワースポットの宝庫なのです!

日本とは思えない景観の鳥取砂丘


砂の美術館には驚きのアートがあります


鳥取砂丘の横で見つけた海鮮丼


初めて鳥取砂丘を訪れたのは12年程前だったでしょうか。

「やがて鳥取砂丘はなくなってしまうから、行くなら今のうちだよ」と、いつもやや大げさに口にする先輩に忠告されたからです。

事実、砂移動の減少や、繁殖した雑草によって砂丘は狭くなっているそうです。

そもそも鳥取砂丘は中国山地の岩石が風化し、千代川によって日本海方面へ流されたのが始まりです。

海中の砂は海岸方面に向けて流れる潮流によって海岸線に蓄積されました。さらに、海岸線に溜まった砂は、内陸に吹き込む卓越風によって内側へ移動して、やがて巨大な砂丘を造りました。

山陰海岸国立公園特別保護地区に指定されている鳥取砂丘は、南北2.4km、東西16kmにもなります。

これは、観光客が入れる砂丘として日本最大の規模です(ちなみに日本最大の砂丘は青森県の猿ケ森砂丘です)。

初めて訪れた時、私は東西を横断しました。砂丘センター周辺はラクダに揺られる観光客や、ラクダを連れた係員がたくさんいました。砂丘の上を歩く観光客も大勢います。

しかし、砂丘センター周辺を離れると、砂丘は静かな世界に変わります。人とラクダの足跡は消え、風によって描かれた風紋と呼ばれる筋状の模様が広がります。

鳥取砂丘は「風のエネルギー」が感じられるパワースポットだと、昔より言われていました。広大な砂丘に不可思議な芸術作品を描いた風の力を、そこに行けば感じることができるでしょう。

日本には山岳信仰や自然信仰が伝わった土壌があります。しかし、砂丘は全国各地にあるわけではありません。山とも自然とも異なる風と砂の力が感じられるのは、鳥取砂丘ならではです。

偉大なる砂を利用してしまうのも人間のなせる業なのでしょうか。砂丘に隣接して設置された「砂の美術館」では、砂によるさまざまなアート作品が展示されています。

そして、砂丘の向こうの海は至福の海でもあります。鳥取砂丘の周囲には、おいしい海の幸を提供するお店が点在しています。

砂丘と砂を利用したアート。そして中国山地の砂と一緒に山のミネラルを運び、それによって生まれた豊穣の海。鳥取はパワーに満ち溢れています。

鳥取民芸にはさまざまな作品が


2色、3色を大胆に使った中井窯


ジオパークに指定された鳥取の海岸



鳥取砂丘を中心に周囲を散策した時に、「民芸」という言葉をしばしば耳にします。

民芸運動とは、大正時代後期に始まった「日常的な暮らしの中で使われてきたものの中に“用の美”を見い出そう」とする運動です。

その中心人物は日本民藝館の創設者である柳宗悦(やなぎむねよし)でした。

そして、柳宗悦の民芸運動に共感したのが、鳥取の医師である吉田璋也(よしだしょうや)でした。民芸のプロデューサーを自認する吉田は、「鳥取民藝協会」を設立。自らも新たな民芸品をデザインすると共に、新進の作家などの援助も行いました。

鳥取・民芸の響きに誘われて訪れたのは、岩井窯と中井窯などの陶芸工房でした。

そこには独特な陶器がありました。とくに、吉田より「牛ノ戸焼脇窯」の名を受けて新作民芸の世界に入り、後に同じく吉田によって「牛ノ戸焼中井窯」となった窯の作品です。

ワラを焼いて灰を作り、それを瓶に溜めて水を抜きながら灰汁をとって調合、ぬめりがなくなるまで作業を繰り返して釉薬にしています。自然の材料で作った釉薬は不安定であるものの、完成すればその色合いは見事です。

とくに、中井窯の特徴である黒と青色の釉薬をきっちり分けた作品は、鳥取に根づいたパワーに満ちていました。

窯巡りの後で、「海を見に行こう」と言い出したのも仕事上の先輩です。

でかけた海は浦富海岸でした。ここは「山陰海岸ジオパーク」の一部です。山陰海岸国立公園を中心に京都府京丹後市から鳥取市青谷海岸までの東西120kmが山陰海岸ジオパークに指定されています。

ジオパークとは2004年に設立された、ユネスコが支援する世界的な自然公園の制度です。現在は32カ国、111地域が加盟。ジオパークは地球科学の研究や教育の場としても役立っています。

山陰海岸ジオパークも、日本列島がアジア大陸の一部だった時代から現在までの経過を検証できる貴重な地域。

海岸線もまた、地球のパワーに溢れたエリアだったのです。

天然温泉が湯底から湧く岩井荘


丁寧に柳で編まれたトートバッグ


砂丘、窯、海岸をまわったとあれば、温泉でゆったりしたくなるものです。

宿泊先に選んだのは鳥取砂丘から近い岩井温泉でした。温泉のコラムでも一度ご紹介していますが、岩井温泉もまた地球パワーを感じられる温泉でした。

岩井温泉は1300年の歴史をもつ温泉です。そのなかでも岩井荘は貴重な温泉で、湯底から温泉が湧く、ぶくぶく自噴泉があるのです。

肩まで湯に浸かれば、すのこの下の湯底から50度の湯が湧き、浴槽内はちょうどいい温度になる。

また、飲泉もできるから、温泉の恩恵がたっぷりと受けられる。

気持ちよくなって中庭が見えるラウンジで寛ぐと、そこに置かれた陶器は鳥取の民芸品。なんと、素敵なのでしょう。

地球と人が創り出した独創的な鳥取パワースポット。

鳥取砂丘の周辺でパワーを堪能してから帰路につきました。

余談が一つあります。神戸に帰る途中に立ち寄った兵庫県の豊岡市は、豊岡鞄で知られるところです。

ここでも神話が出てきました。新羅王子とされる天日槍命(あめのひぼこ)によって、柳細工の技術が伝えられたと古事記に記されているのです。当時、柳細工で作られたのはカゴだったそうです。

その後、菅原道真の行列絵巻に、豊岡の柳行李(やなぎこおり)が出てきます。柳行李は豊岡藩の独占取り扱い品でした。

柳行李とは柳を織って作った和風衣装箱であり、和風トランク。今でも関取や行司が使用しています。

しかし、相撲の世界や歌舞伎などの和の世界で使われていても、時間の流れと共に柳行李の生産は著しく減少しました。

本当にいいものなのだから…、の思いが現在風の柳行李を完成させました。とてもおしゃれな柳手織りバッグが生産されているのです。

鳥取の民芸もそうでしたが、長い時間をかけて人が進化させたものは、やはり大きなパワーを持っています。砂丘と古代がわかる海岸がある土地は、人が使う用具にも驚くべきパワーがありました。

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●鳥取県観光連盟
http://www.tottori-guide.jp/

●砂の美術館
http://www.sand-museum.jp/

●豊岡鞄
http://www.toyooka-kaban.jp/concept/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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