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日光開山1250年に当たる今年、中禅寺湖畔の立木観音では天女の像が初めて公開されています。手のひらに宝珠を乗せた木彫りの天女像はやさしさと福徳のご利益があるとされ…。公開は11月30日まで。ぜひ、この機会に日光を訪れてみてください。

中禅寺湖を見下ろす高台にある中禅寺


拝観料大人500円、春~秋の参拝時間は午前8時~午後5時


右手の建物の中で吉祥天が公開されています


中禅寺(ちゅうぜんじ)の名のとおり、中禅寺は中禅寺湖を目の前にしています。日光を開山した勝道上人(しょうどうしょうにん)によって784年に建立されました。

今年はちょうど日光開山1250年に当たります。それを記念して初公開されたのが、中禅寺が保有する「吉祥天」です。

遠い昔からの伝説があります。



遥か昔の奈良時代。16年をかけて日光のシンボルともいえる男体山を登拝した勝道上人が、中禅寺湖(当時は「幸の海」と呼ばれていました)に小舟を浮かべて岸辺を巡拝していた時です。

お経を唱えながら東の浜に近付くと、空から天女が舞い降りて、優雅な歌舞を奉じて上人の偉業を讃えました。

それ以来、中禅寺湖のその浜は「歌ヶ浜」と呼ばれることになりました。



この地名は現在でも残っています。中禅寺も歌ヶ浜駐車場に隣接した高台にあります。

中禅寺に身丈60cmの木彫りの天女像「吉祥天」があります。手のひらに宝珠を乗せた独特の姿。当初は日光山中の祠にあったようですが、いつからか中禅寺が貴重な宝として所有することになりました。その像こそ、歌舞を奉じた天女なのです。

後年の鑑定結果でも、彫られた時代は相当古いことがわかっています。中禅寺の拝観料500円を支払うと吉祥天も参拝できます。

吉祥天像からはお手綱が伸びており、それを握りながらお祈りをすると、より一層の吉祥(幸福)が授かるそうです。

また、吉祥天の初公開にちなみ、「財」と「美」の文字が描かれた吉祥天財守と吉祥天美守が用意されました。

今回のプレゼントは、中禅寺で分けていただいたこのお守りです。吉祥天の公開は11月30日まで。ぜひ、訪れてみてください。

延命水はありがたい存在です


悪いものを受け取ってくれる身代わり瘤


諸願成就の梵鐘


日光といえば東照宮と思いがちですが、隣接しているのが「日光山 輪王寺(にっこうざんりんのうじ)」です。

「それなら東照宮に行った際に訪れた」という方も多いでしょう。本来、日光山輪王寺は日光山全体を統合していました。明治時代に「神仏分離」が実施されても、本堂や慈眼堂、そして中禅寺も含めて15の支院を統合しています。

つまり、中禅寺は日光山輪王寺の別院になります。

さて、この中禅寺、見どころがたくさんあります。まずは「立木観音」です。中禅寺湖上に千手観音を見た勝道上人は、桂の立木に千手観音を彫ったと伝えられています。その立木観音(十一面千手観世音菩薩)が中禅寺のご本尊です。

千手観音のご利益は諸願成就、あらぬる悩みに応じてくれます。

中禅寺では千手観音や吉祥天を僧侶が解説しながら案内してくれます。予約制などではなく、参拝者をある程度の人数のグループにして、案内してくれるのです。

吉祥天や千手観音、そしてお寺の建物についてよくわかる、素晴らしい試みだと思います。私も案内された方法で吉祥天にお参りをして、福を分けていただきました。

境内に見どころはたくさんあります。「愛染かつら」は二代目ではありますが、落雷によって枯れた初代の大木は、昭和初期の松竹映画『愛染かつら』のロケで使われています。

「延命水」は美しい水をたたえていますし、悪いものをすべて置いていくための「身代わり瘤(みがわりのこぶ)」もあります。さらに「諸願成就の梵鐘(ねがいのかね)」も。さらに、「天邪鬼」も境内に隠れています。観音様の言いつけを守らなかったばかりに、重いものを持たされています。ぜひ、探し出してみましょう。

境内はご利益スポットがたくさんあるのです。

開山1250年のパワースポットは、悪いものを捨て、よきものを持ち帰る場所でもあります。そして、中禅寺湖をすぐ前にし、華厳の滝からも近い。心が満たされる場所でした。

奥日光湯元温泉の源泉のひとつ


乳白色のお湯に入れる温泉寺


日光名物のゆばも食べたい逸品です


中禅寺参拝の後は、温泉に入って、おいしいものを食べたいものです。私は中禅寺湖からさらに奥を目指しました。

湖畔を走り、戦場ヶ原を抜け、着いたのは湯ノ湖の畔の奥日光湯元温泉です。湯ノ湖は三岳火山の噴火によって塞き止められてできた湖です。「湯気があがる湖」として観光客やアマチュアカメラマンに人気ですが、その理由は日光白根山から流れる水に加え、奥日光湯元温泉で湧く湯が流れ込んでいるからです。

奥日光湯元温泉には源泉が20あり、乳白色の単純硫黄泉が毎分1800?近く湧いています。歴史も古く、勝道上人が788年に発見し、以来湯治場として利用されてきました。

そうなんです、この温泉も中禅寺や日光山輪王寺を建立した勝道上人と関わりが深いのです。

源泉湧く湿原の横に温泉寺(おんせんじ)があります。ここも日光山輪王寺の別院です。祀るのは薬師瑠璃光如来で、病苦を救う力があるとされています。

特別な許可がなければ入れないとされた江戸時代を経て、現在では温泉寺の湯に誰もが入浴できます。エメラルドグリーンの源泉が空気に触れて乳白色に変わり、その美しい湯が木製の浴槽を満たしています。

大型の日帰り温泉施設とは異なる小さな源泉かけ流し湯ですが、心地良さは抜群です。しかも、薬師様の健康増進、延命長寿のご利益まで期待できる特別なお寺の中の湯なのです。

参篭できるのは4月中旬から11月下旬まで。参篭時間は1時間で、志納金(入浴休憩料)は大人500円です。

中禅寺、温泉寺を参拝し、新鮮なお湯までいただいてしまう。こんなに素敵なパワースポット探索はそうそうありません。

仕上げは日光名物のゆば料理でしょうか。東照宮のある日光駅近くからカーブが連続するいろは坂を上って中禅寺へ。新しい発見のあったパワースポットめぐりになりました。

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●日光山 輪王寺
http://rinnoji.or.jp/

●日光旅ナビ
http://www.nikko-kankou.org/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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