東京に住んでいても、「東京スカイツリーに上がったことがない」という人が多いものです。同様に、遠くのパワースポットにでかけても、隣町のパワースポットは知らないという人がたくさんいます。そこで、「隣の町の散策のすすめ」をお届けします。
幡ヶ谷の商店街
住宅街に幡ヶ谷氷川神社がありました
遠くの有名観光地にある神社などのパワースポットには行ったことがあるけれど、近くのパワースポットは知らないという人がたくさんいます。
住んでいる町ならば、日常的にお参りをしていなくても、初詣でやお祭りのときに行くことがあります。しかし、隣の町となるとどうでしょう。有名な神社やお寺ではない限り、ほとんど知らないのが実情ではないでしょうか。
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私は中野区に暮らしています。ここにはかつてこの連載でも取り上げた新井薬師という有名なパワースポットがあります。
http://www.smart-acs.com/magazine/12070101/experience001.php
中野区と隣接する杉並区にはMr.都市伝説・関暁夫さん曰く「都内最強のパワースポット」の大宮八幡宮があります。境内には“小さなおじさん”がいて(?)、目撃したと証言する人も少なくありません。
http://www.smart-acs.com/magazine/13030101/experience001.php
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上記のように隣の町でも有名なパワースポットなら訪れる機会もあるでしょうし、少なくとも名前ぐらいは知っています。
ただし、有名でなければまったく知らないといってもいいかもしれません。
住んでいる町でもない限り、小さな神社は見落としてしまうでしょう。まして、積極的にでかける機会はありません。
私は夕食のお買物も近所のマーケットや商店街ですませますし、洋服が欲しいときは新宿や渋谷に出ますから、隣町の商店街にでかけるケースはほとんどありません。
しかし、そんな近くてちょっと遠い町を散策してみると、思わぬ発見があるものです。
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東京メトロ丸ノ内線の駅が生活圏内ですから、私にとって隣町は京王沿線、渋谷区内に位置する幡ヶ谷といったところでしょうか。
さっそく検索してみると、「幡ヶ谷氷川神社」がパワースポットとしてブログなどに掲載されていました。
そこで、冬ならではの暖かい昼下がりの短時間おでかけを決行しました。幡ヶ谷は駅のまわりに商店街があり、コインパーキングも点在しています。おでかけするには最適な場所です。
読者のみなさんも、暖かい昼下がりに隣の町まで気軽なドライブをしてみませんか?
手水舎から拝殿を撮影
拝殿横にはおみくじ販売機が
さまざまな角度から写真を撮るのもおもしろいものです
幡ヶ谷氷川神社は商店街から少し離れた住宅街の中にありました。境内の高い樹木、入り口の鳥居が目印です。
氷川神は「スサノオ」とする説が強いのですが、本来は埼玉県にあった見沼の水神に対する自然信仰が起源ともいわれています。
現在ではさいたま市の氷川神社を総本社として、関東地方に1000社近い氷川神社が点在しています。
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ちなみに、「護国神社」は国のために殉死した人を祀る神社。
「稲荷」は伏見稲荷大社を本山とし、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀り、五穀豊穣、商売繁盛のご利益があるとされます。
「八幡社」は宇佐神宮もしくは石清水八幡宮を総本社としています。応神天皇やその母である神功皇后と宗像三女神を祀っています。武芸や勝負運などにご利益があります。
「天神・天満宮」は菅原道真の怒りを鎮めるために創建されましたが、今では学問の神様として知られています。
このほかにも縁結びのご利益が期待できる「八坂」や4柱を祀る春日神社は武道、安産、縁結び、交通安全などご利益がたくさんあります。
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私の家の近所にも神明氷川神社があります。こぢんまりとした神社ですが、初詣での時期には屋台が出て、近所の人が深夜から参拝の列を作ります。
幡ヶ谷氷川神社もきっとそうなのでしょう。住宅街の中の神社ですが、境内は思いの外広く、お祭りや初詣での時期には人が集まりそうな雰囲気があります。
石段を上ると左手にある手水舎の横に、たくさんの竹箒が架かっていました。住宅地には珍しい大きな木が立っています。秋には落ち葉が舞います。それにもかかわらず、境内はきれいに掃除されていました。ホウキの多さは頻繁に掃除をしている証しといえるかもしれません。
稲荷神社
こちらは厳島神社
近隣の人が願いごとをしていました
手水舎から拝殿へ。拝殿の前、左右に狛犬がいます。
拝殿の後ろ側に、木々に囲まれた社殿。まわりは幡ヶ谷の住宅街で、低層階マンションなどもありますが、ここはまるで別世界。静けさに包まれています。
幡ヶ谷という場所、そして小さな神社だから境内の一部は駐車場のように使われていました。
それでも境内を散策するといろいろなものが目にできます。たとえば祠や小さなお狐さん。
左奥には合祀されている神社が4つありました。稲荷神社、厳島神社、榛名神社、大鳥神社…、それぞれにお参りができます。ご利益もさまざまですから、なんだかお得な気分になってきます。
能楽殿も境内にありました。
社務所に寄ってみると、いくつかのお守りが置いてあります。御朱印帳を持って行けば、御朱印もいただけます。
これまで隣町に住んでいたために、その存在すらよく知らなかった神社ですが、お参りしてみれば楽しい発見が数多くありました。
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帰路に幡ヶ谷の商店街をぶらりとしました。いつも買っているところよりも安く、ひとやまが大きな八百屋さん。窯でピザを焼くレストラン、思いの外品揃えが豊富な酒屋さん。住んでいる街にはないために、これまでは新宿などで買っていた手作りケーキの専門店や、ジェラートのお店も見つけました。
隣町散策はとても楽しいひとときになりました。
読者のみなさんもいつもは行かない隣の町の神社や商店街を散策してみませんか?品揃えがほぼ同じスーパーマーケットやフードコートでは見つからないものや、その店オリジナルの味に出合うことがきっとできます。
それは、気軽で少しウキウキするおでかけになります。
●インターネットなどで地図を広げ、普段あまり行かない隣町をじっくり眺めてください。面積が小さすぎる神社は無人のケースがほとんどです。しかし、ある程度の敷地があれば、今回のような神社散策が楽しめるでしょう。
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。