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  3. 美しい西伊豆の海を見下ろす高台の“大だるま”【静岡県・土肥(とい)達磨寺】
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東伊豆に比べて交通の便が劣る西伊豆は、そのぶん美しい海と自然美に恵まれており、温泉地も豊富です。海を見下ろす西伊豆の高台に、日本最大の達磨大師坐像が安置されているお寺があります。そして、お寺のすぐ隣は「恋人岬」でした。

海の向こうに富士山が望めます


土肥から南に進むと土肥達磨寺があります


高さ5m、重さ3tの達磨大師坐像


沼津や三島から伊豆半島へ向かい、さらに西側の海岸線に沿って南下するルートを行くと、戸田(へだ)、土肥、堂ヶ島などの温泉地へ行けます。



伊豆半島の西海岸線は、上記の温泉地だけでなく岩地や雲見などの小さな温泉地も点在し、さながら温泉ルートの様相です。

それでいて、巨大な宿泊施設が軒を連ねる熱海や伊東、温泉別荘地として人気の高い伊豆高原などの列車で行ける伊豆半島東側に位置する温泉地とは雰囲気も規模も異なります。

その理由の一つはアクセスにあるでしょう。熱海なら新幹線でも行けますし、その先の温泉地も電車で簡単にアクセスできます。

それに対して西伊豆には電車軌道がありません。また、自動車道にしても海岸線に沿うカーブの多く、わずかながら1車線区間も残る県道17号を土肥まで行くか、修善寺から伊豆市を抜けて峠を越える国道136号ルートしかありません。そのほかには清水からのフェリーがあるくらいです。



伊豆東側に比べると行きにくさがあるものの、そのぶん西海岸には美しい自然と紺碧の海があります。

私は小さな温泉地であり漁村がある岩地が好きで、何回かの夏を岩地の海で過ごしたことがあります。ここの海岸には舟温泉があり、海水浴の後には温泉を楽しめるのです。

ある時のことでした。岩地の海にぷかぷか浮かんでいると、目の前にイカが泳いでいました。もちろん、むやみに獲るのは漁業権の問題などがあります。ですが、1杯くらいならご愛敬(当時は)。海に浮かびながら手を伸ばしてみると、なんとイカがつかめてしまったのです!

さっそく、お刺身にしていただきました。こんな体験が首都圏から近い海でできたのは、後にも先にも西伊豆しかありません。

天然の塩作りが行われているのも、西伊豆の海が美しい証拠でしょう。



西伊豆のもう一つの魅力は景観です。海に面した断崖絶壁、ユネスコの世界ジオパークに認定された数々の自然美。そして、海の向こうにそびえる富士山…。
西伊豆の景観美と温泉は、地球のパワーを感じさせてくれます。

立ち達磨大師像と本堂


願いを書いて達磨に貼ります


輪をくぐってから「不死身なで達磨大師」像をなでます


江戸時代から昭和中期まで金山で栄えた土肥の街並みを過ぎ、さらに国道を南下。道は港町より標高をあげて、眼下に駿河湾が広がりはじめます。小高い丘は富士山の展望地としても知られています。

そこに土肥達磨寺はありました。ここは達磨寺として知られる京都法輪寺の分院です。



もともと、だるまとは何でしょう。選挙に当選したり、スポーツなどで優勝すると「だるまに目を入れる」ことがあります。

実はこの風習は、江戸時代後期にだるま人形を売るための商法として広まったという説があります。

だるま市で「この目が気に入らない」と客に言われた店主が、ならばとばかりに白目のだるまを店頭に並べたのだそうです。そして、「願をかけて左目を入れ、それが叶ったら右目を入れるといい」と口上を述べたところ、白目だるまの人気があがりました。

これが、現在のだるまに繋がっています。

ただし、だるまそのものは、起き上がり小坊師人形として、中国で約1400年前から売られていました。

そのモデルになったのは500年代の仏僧・達磨大師です。



達磨大師については、150歳まで生きた、インド国王の三男だったなどの諸説があります。

ただし、インド中に仏教を伝え、その後に中国に渡って布教活動を行ったのは確かなようです。

嵩山少林寺では壁に向かって9年ものあいだ、坐禅を続けたとされています。達磨をよく思っていない者からは殴打され、石をも投げつけられました。また、同じ姿勢を保ったために、手足が腐って切り落とさなければならなくなりました。それでも達磨大師は坐禅を続けました。

だるま人形は怖い顔をしていますが、けっして怒っているのではなく、厳しい修行にくじけそうになる自分を戒める表情だったのです。

そして、その姿が達磨小坊師人形になりました。



土肥達磨寺にも境内にさまざまな達磨像があります。

「水かけだるま」像が屋外に。本堂前には「立ち達磨大師」像。そして、本堂の中に巨大な達磨坐像がいます。

達磨大師は病気平癒のご利益もあり、土肥達磨寺があるのが富士見ですから、“不死身”に繋がり、健康を祈願する参拝者が多くいます。

さまざまな達磨が置かれています


景観抜群の恋人岬


永遠の愛を誓うカップルも


自身に具合の悪いカ所があるのなら、その部分に水をかければ治るというご利益がある「水かけ達磨」。

宇宙創生発展の5大要素である地、水、火、空、風などを表わす5色の紙に願いを書いて達磨に貼り付ける願掛け。

輪をくぐってからなでることで、健康や病気回復のご利益がある不死身なで達磨など、このお寺にはご利益がありそうなことがたくさんあります。

小さな皿を投げて割る「投げ皿祈祷」もすっきりします。300円を納めて小皿を受け取り、それを赤い鳥居の内側にある赤い石に向かって投げるのです。

「皿(さら)ば貧乏」「皿(さら)ば病い」「皿(さら)ばストレス」と書かれた札がありますが、確かに小皿を投げて割るのは気分転換になりました。



土肥達磨寺を参拝した後は、すぐ先の恋人岬へ立ち寄ってみましょう。遊歩道が整備されており、木製デッキの展望台からは駿河湾や富士山が見えます。

展望台には愛の鐘「ラブコールベル」があり、この鐘を3回鳴らしながら想う人の名前を呼べば愛が実ると言われています。

また、恋人たちの聖地といわれるだけに、恋人岬事務局で恋人宣言証明書を発行してもらうと、絵葉書のプレゼント、バースデーカードの郵送、結婚式に祝電が届くなどのサービスもあります。

私が訪れた時も、永遠の仲を誓って札をぶら下げるカップル、展望台にある鐘を鳴らすカップルが目立ちました。



もしも恋人がまだいなかったら、土肥達磨寺や恋人岬で鐘を鳴らして祈願してみるのもいいかもしれません。結果的に恋人ができたら西伊豆を再訪して、土肥達磨寺に感謝を伝えてその後に恋人岬に行って、ご利益に感謝しながら一緒に景観を楽しむのがいいでしょう。

祈願して恋人ができなかったからといって、二度目に訪れた時に、小皿に恨みをぶつけることがないようにご注意を(笑)。

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●東名高速沼津IC、新東名高速長泉沼津ICから伊豆中央道あるいは国道136号を通って伊豆市へ。伊豆市から土肥へ。土肥からさらに国道136号を堂ヶ島方面に向かうと土肥達磨寺、恋人岬に出る。
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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