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暑い時期にしてみたいのがフェリーを使ったおでかけです。また、近年は日本を周遊するクルーズ旅も増えています。越カメラマンが記憶と記念に残る“船旅写真”の技をアドバイスします。フォトコンテスト情報、壁紙プレゼントもお見逃しなく!
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今回のテーマは「船の旅」。クルマ旅のはずなのに船と思った方もいることでしょう。ですが、カーフェリーや観光地の遊覧船、はたまたクルーズ船まで、ドライブとはいえ船に乗る機会があると思います。
ということで、今回は船旅を上手に記録するにはどうしたらよいのか…をテーマにしてみました。
何を隠そう、私自身も昨年の夏に大阪へクルマででかける際に、「伊勢湾フェリー」を初めて利用しました。その時の写真(写真Aなど)と、そのほかも交えながらお話ししていきます。
ということで、今回は船旅を上手に記録するにはどうしたらよいのか…をテーマにしてみました。
何を隠そう、私自身も昨年の夏に大阪へクルマででかける際に、「伊勢湾フェリー」を初めて利用しました。その時の写真(写真Aなど)と、そのほかも交えながらお話ししていきます。
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写真A
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そもそも「船旅の魅力とは?」と聞かれた時に、私なら「普段見ることのできない景色が見られるから」と答えます。つまり、普通に動ける場所ではなく、海上や湖上などの普段は歩いていけない場所から景色を眺められるわけです。
船旅写真の基本は、まずは普段見られない景色を撮る。理屈抜きでこれが第一だと思います。
写真Bは東京湾のクルーズ船に乗船したときのカット。普段は見ることができない角度から品川埠頭のコンテナクレーンを狙ってみました。
船旅写真の基本は、まずは普段見られない景色を撮る。理屈抜きでこれが第一だと思います。
写真Bは東京湾のクルーズ船に乗船したときのカット。普段は見ることができない角度から品川埠頭のコンテナクレーンを狙ってみました。
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写真B
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やたらに撮ったのでは角度の違いこそあれ、ただの風景写真で終わってしまいます。そこで、船旅らしさを出すための工夫をしてみようと思います。
写真C/写真Dはそれを意識して撮った比較写真です。
写真Cは船が海原に出てから遠くの景色を撮ったカットです。確かに普段見られない角度ではあるのですが、平面的で単調です。
それに対し写真Dは、船が港を出るタイミングで港の先端の灯台を意識して狙ったカットです。こちらのほうは船出もしくは出港といったイメージが加わり、灯台と背景の遠近感によって、風景が立体的に見えます。船から景色を撮るときも、こうしたタイミングを意識することが大切です。
写真C/写真Dはそれを意識して撮った比較写真です。
写真Cは船が海原に出てから遠くの景色を撮ったカットです。確かに普段見られない角度ではあるのですが、平面的で単調です。
それに対し写真Dは、船が港を出るタイミングで港の先端の灯台を意識して狙ったカットです。こちらのほうは船出もしくは出港といったイメージが加わり、灯台と背景の遠近感によって、風景が立体的に見えます。船から景色を撮るときも、こうしたタイミングを意識することが大切です。
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写真C
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写真D
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せっかく洋上から撮るのですから、普段は見られないような角度感を付けることも大切です。
写真Eは東京のレインボーブリッジ真下の岸辺にある公園から、写真Fは洋上の屋形船から同じレインボーブリッジを見上げて撮った写真です。
この2つの写真で決定的に違っているのは、海の近さです。どんなに近づいても限界がある岸辺の公園に対し、洋上に浮かぶ船からならば、海をダイナミックに見せることができます。しかも、間近から橋を見上げるように狙えるため、高く昇った月も同時に取り込むことができました。
ちなみに撮影ポジションが限定される写真Eの位置から広角で橋全体を捉えると、手前が大きく奥が小さい歪んだレインボーブリッジになってしまいます。写真Fの地点は、歪みも少なくダイナミックな表現も可能な、ベストポジションなのです。
写真Eは東京のレインボーブリッジ真下の岸辺にある公園から、写真Fは洋上の屋形船から同じレインボーブリッジを見上げて撮った写真です。
この2つの写真で決定的に違っているのは、海の近さです。どんなに近づいても限界がある岸辺の公園に対し、洋上に浮かぶ船からならば、海をダイナミックに見せることができます。しかも、間近から橋を見上げるように狙えるため、高く昇った月も同時に取り込むことができました。
ちなみに撮影ポジションが限定される写真Eの位置から広角で橋全体を捉えると、手前が大きく奥が小さい歪んだレインボーブリッジになってしまいます。写真Fの地点は、歪みも少なくダイナミックな表現も可能な、ベストポジションなのです。
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写真E
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写真F
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もう少し手っ取り早く船旅感を出す方法がないかというと、とっておきの方法があります。その方法とは、船体を写真に取り込んでしまうこと。
船体も取り入れず遠景を写した写真Gはとても平凡ですが、そこに船体も入れて狙った写真Hは、臨場感に溢れた写真になりました。
船体も取り入れず遠景を写した写真Gはとても平凡ですが、そこに船体も入れて狙った写真Hは、臨場感に溢れた写真になりました。
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写真G
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写真H
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もう一つ手っ取り早い方法があります。それは、航跡を取り入れることです。
写真Iは航跡のない部分を切り取ったモノ。航跡を取り入れた写真Jに対し、写真Iは岸辺から撮ったといわれれば納得してしまいそうな写真です。写真Jのように航跡が入ると、臨場感が引き出せます。
写真Iは航跡のない部分を切り取ったモノ。航跡を取り入れた写真Jに対し、写真Iは岸辺から撮ったといわれれば納得してしまいそうな写真です。写真Jのように航跡が入ると、臨場感が引き出せます。
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写真I
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写真J
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船から撮影するともう一つメリットがあります。海を行くほかの船を間近に立体的に描写できることです。
写真Kは東京湾アクアラインの「海ほたるPA」から撮影したものですが、航行する船を望遠ズーム(約300mm相当)で切り取っているため、随分と沖を航行しているように見えます(背景の富士山がキレイなカットではありますが……)。
それに対し、写真Lは東京湾フェリーの船上から標準ズーム(約80mm相当)で撮影した写真です。写真Kに対し、とても間近を船が航行していく様子が伝わってくるかと思います。
これは、海と背景に写る景色とのスケール感の違いによるもので、ここに焦点距離の違いによる差が現れています。
ちなみに、船上からも望遠レンズで狙えますが、それでは地上から狙ったのと変わりなくなる可能性があるため、できるだけ広角~標準レンズを使用し、ダイナミックに狙ってみるのがベターです。
※このスケール感の違いについては、バックナンバーのVol.12、Vol.80などを参考にしてみてください。
http://www.smart-acs.com/magazine/17121503/season001.php
http://www.smart-acs.com/magazine/12041503/season001.php
写真Kは東京湾アクアラインの「海ほたるPA」から撮影したものですが、航行する船を望遠ズーム(約300mm相当)で切り取っているため、随分と沖を航行しているように見えます(背景の富士山がキレイなカットではありますが……)。
それに対し、写真Lは東京湾フェリーの船上から標準ズーム(約80mm相当)で撮影した写真です。写真Kに対し、とても間近を船が航行していく様子が伝わってくるかと思います。
これは、海と背景に写る景色とのスケール感の違いによるもので、ここに焦点距離の違いによる差が現れています。
ちなみに、船上からも望遠レンズで狙えますが、それでは地上から狙ったのと変わりなくなる可能性があるため、できるだけ広角~標準レンズを使用し、ダイナミックに狙ってみるのがベターです。
※このスケール感の違いについては、バックナンバーのVol.12、Vol.80などを参考にしてみてください。
http://www.smart-acs.com/magazine/17121503/season001.php
http://www.smart-acs.com/magazine/12041503/season001.php
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写真K
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写真L
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これまでのポイントを取り入れてみた参考カットを最後に紹介します。
写真Mは鳴門の渦潮観光の写真です。自分が乗っている船の航跡を24mm相当のレンズでダイナミックに入れながら、大きく渦巻く海流の様子をほかの観光船を背景に(大鳴門橋を背景にしたカットは、残念ながら渦が巻かず……)撮影してみました。
写真Mは鳴門の渦潮観光の写真です。自分が乗っている船の航跡を24mm相当のレンズでダイナミックに入れながら、大きく渦巻く海流の様子をほかの観光船を背景に(大鳴門橋を背景にしたカットは、残念ながら渦が巻かず……)撮影してみました。
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写真M
今回は、身近な船旅での写真の撮り方について解説してみました。小さな船旅をあくまで記録重視の観点から整理したものです。ですので、これ以外の狙い方もあるでしょうし、船旅そのものはもっともっと奥深いものだと思います。
ですので、船旅にちょっと出たときなどにその特徴が少しでも出せるよう、今回のポイントを参考にしてみていただければ幸いです。
ですので、船旅にちょっと出たときなどにその特徴が少しでも出せるよう、今回のポイントを参考にしてみていただければ幸いです。
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘン」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘン」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
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●「日本長距離フェリー協会」
http://www.jlc-ferry.jp/kouro.html
●「フェリーとクルーズ船のポータル・サイト 船のウェブサイト」
http://www.interq.or.jp/white/ishiyama/guide2.html
越カメラマンがアドバイスしてくれた“船旅”写真を撮影しにでかけましょう。
日本にも長距離フェリー、中・短距離フェリーが各地で運航されています。今のうちから調べて、暑い時期に乗船したいものです。
きっと、新しいドライブのカタチが生まれるでしょう。
長距離フェリーは北海道や九州などへの航路で長旅となります。しかし、短距離フェリーではすぐ先にある離島を渡る旅や、湾を横切る旅などが楽しめます。
東京湾フェリーからは沿岸の大都会の景色を楽しめるのはもちろん、運がよければイルカがはねる姿を見かけるかもしれません。
船旅には予期せぬ魅力が詰まっているのです!
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全日本鳥フォトコンテスト(BIRD-1グランプリ)は、日本最大級の鳥のイベント“ジャパンバードフェスティバル”の実行委員会が主催する野鳥写真の公募展です。
テーマは、
1.生態・行動部門
鳥の飛翔やさえずり、水浴びなどの生態をとらえた写真。
2.環境部門
四季折々のさまざまな風景の中にいる鳥たちの姿。
グランプリ、準グランプリ作品などは引き伸ばしてパネル展示されます(千葉県我孫子市「アビスタ」2階ミニホールで11月上旬)。
●募集締切 :
8月16日(金曜日)
●応募手数料 :
1部門3作品以内につき1000円
●応募規定 :
未発表の作品。規定に沿って応募。
●賞 品
環境部門グランプリ環境大臣賞(賞金5万円、賞状、キヤノンEOS 80D+レンズキット)
生態・行動部門グランプリ文部科学大臣賞(賞金5万円、賞状、キヤノンEOS M6+レンズキット)
ほか準グランプリ賞金2万円+双眼鏡、入賞など豪華副賞多数
生態・行動部門グランプリ文部科学大臣賞(賞金5万円、賞状、キヤノンEOS M6+レンズキット)
ほか準グランプリ賞金2万円+双眼鏡、入賞など豪華副賞多数
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編集スタッフが取材ででかけたときに、その合間に撮影した写真でよろしければ…。という主旨の「壁紙プレゼント」コーナーです。
5月中旬の上高地を訪ねました。河童橋から見る穂高の山々、森の中に咲いていた小さな白い花、梓川と新緑の美しいコントラスト、そして登山家たちを魅了するジャンダルムの壁など、上高地は魅力にあふれていました。
5月中旬の上高地を訪ねました。河童橋から見る穂高の山々、森の中に咲いていた小さな白い花、梓川と新緑の美しいコントラスト、そして登山家たちを魅了するジャンダルムの壁など、上高地は魅力にあふれていました。
< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。