エジプトのピラミッドは世界的に知られる偉大なパワースポットです。古代の人がどうやって構築したのかも含め、まだまだ謎が多く残されています。日本では古墳がピラミッドにあたります。かつての豪族や将軍が眠る古墳に行ってみませんか? |
日本一大きな円墳の「丸墓山古墳」は戦国時代に忍城攻めのために石田三成も登っています
「二子山古墳」は東京や埼玉でもっとも大きな前方後円墳です
「稲荷山古墳」は「丸墓山古墳」と同様、上部まで登れる古墳
5世紀中頃に築造された古墳は水に囲まれて美しく、その姿は凛々しくもあります。 宮崎県の西都原にも古墳群があり、かつて神話を取材するときに訪ねました。 ここには前方後円墳が31基、円墳279基、方墳、地下式横穴墓、横穴墓など合計で311基の古墳があり、まるで古墳の博物館。そのほとんどはいまだに発掘されておらず、神秘的な魅力を感じさせます。 エジプトのツタンカーメン王にまつわる出土品が日本で展示されて人気を博していますが、日本の古墳からも剣やまが玉、埴輪などのさまざまな遺物が出土しています。 まさに、古墳はピラミッドと同様のパワースポットなのです。 さて、文化庁の調べでは古墳と認められるものが全国には16万基以上あります。一説によると30万基以上とも。各地に権力者がおり、その死を惜しんで大きな墓を作ったわけですから、その数が多いのもうなずけます。 首都圏近郊にも古墳群はありますが、そのなかでも規模の大きさを誇るのが埼玉古墳群で「さきたま古墳公園」として整備されています。 |
「さきたま史跡の博物館」には古墳の出土品が多く展示されています こちらも博物館の展示品です。埴輪などの復元品ほか金具や馬具の展示も
ちなみに行田市埼玉(ぎょうだしさきたま)は県名発祥の地。 そこにある古墳群は昭和13年に国の史跡に指定されており、それ以降埼玉県によって保存整備が進められています。 公園の名のとおり、古墳の周囲には芝や樹木が植えられています。その中に、小山のような古墳が点在していました。 日本一大きな円墳である「丸墓山古墳」と昭和43年の発掘調査で剣やまが玉、鏡、帯金具などの多くの遺物が出土した「稲荷山古墳」は、上部まで登ることができます。 また、明治27年に地元の人々によって大刀、馬具、馬冑、旗さし金具などが発掘された「将軍山古墳」には将軍山古墳展示館が整備され、実物の横穴式石室を見学できる仕組みになっています。 そして、「二子山古墳」は池に囲まれた前方後円墳。上部から眺められないのが残念ですが、それでも前方後円墳ならではの雰囲気が伝わってきました。 公園の一画には「さきたま史跡の博物館」があり、埴輪をはじめとする出土品などが展示されています。 |
公園のそばには休日のみ営業をする休憩処(うどんなど)がありました 公園内には蓮も。近隣には古代蓮の里公園が整備されています 丸墓山古墳から続く石田堤は忍城水攻めのために石田三成が造ったと伝わります
豊臣秀吉が北条家を攻めるために東上したときに、北条家側につく城を次から次へと落としていきました。 行田市の中心部にあった「忍城」も攻めの対象であり、豊臣秀吉は石田三成にその役を任せます。 そのときに石田三成は丸墓山古墳に登って周囲を眺め、忍城の水攻めを決意します。 しかし、普段はでくのぼうな殿様ということで、「のぼう様」と呼ばれていた成田長親は地域住民の助けを得て、石田三成の執拗な攻めから城を守ってしまいます。豊臣秀吉が落とせなかった城として後世に語られる城となったのです。 のぼう様の人となりと農民たちとの触れ合い、そして石田三成との戦を主題にした小説が和田竜著の『のぼうの城』で、私自身感じるものの多い作品でした。 ちなみに『のぼうの城』はこの秋に映画となって公開されます。 石田三成が登った丸墓山古墳の前には、忍城水攻めのために築いたと伝わる石田堤が残ります。 古墳の時代を経て豊臣秀吉の時代へ。そして、公園として整備された現代へ。 さきたま古墳公園には長い歴史が凝縮されていました。 |
●さきたま古墳公園
http://www.sakitama-muse.spec.ed.jp/index.php?page_id=109
●仁徳天皇百舌鳥耳原中陵
http://www.kunaicho.go.jp/ryobo/guide/016/index.html
●西都原古墳群
http://miyazaki.daa.jp/saitobaru/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。