森が美しく彩る季節、秋。紅葉の名所で美しい写真を撮りたい。そんな願いは“小さなコツ”を覚えるだけで実現できます。カメラを構える位置を変えてみればいいのです。今年の秋は傑作をものにしてみましょう。
段々と秋が深まり、山々も紅葉色に染まっていきます。美しい紅葉。せっかく撮るのだったら鮮やかに撮りたい。その鍵を握っているのが前回からお話ししている「カメラポジション」です。
カメラポジションには「場所」と「高さ」があり、前回は「高さ」を解説しましたが、今回は「場所」について話しましょう。
カメラを構える「場所」が変わると何が変わるのか。その辺りから見ていきましょう。
写真AとBは同じ海岸の風景を狙った写真です。
写真Aの場合は、手前まで海水が流れてくる海岸線といった雰囲気でした。
しかし、そこからしばらく進んだ場所から写真Aと同じ岩の方向を見ると、水面に雲が映り込んでおり、面白い景色になっていました。
そこで、水面のさざ波が静まるのを待ち、“反射”がクッキリと見えるタイミングで、やや低い姿勢でシャッターを切ったのが写真Bです。
このように、カメラを構える位置を変え、被写体を見る方向が変わると、同じ被写体でも全く違った印象に見えてきます。
写真CとDは、波頭を狙った写真です。
写真Cは太陽の光が水面で反射する逆光向きに、写真Dは太陽の光が背後から差し込む順光向きに撮影したものです。
見ていただければ一目瞭然。同じような波頭の写真でも、水面反射の少ない順光気味の写真Dのほうが透き通って見えます。
写真EとFはトリカブトの花を撮影した写真です。
写真Eは正面から、写真Fは少し回り込んで花の横方向から撮影しています。
同じ場所に咲いていた花ですが、土の表面が背景となっている写真Eは、奥行き感がなく、土の表面が汚く写っています。
写真Fは花が咲いていた山道が背景になったことで、写真に奥行き感が生まれ、汚かった斜面の土も見えなくなっています。
写真GとHは季節外れのナノハナの写真ですが、光線状態の変化を見ていただきたく、ここでご紹介します。
この2枚の写真のナノハナは同じものです。写真Gは太陽を背に、写真Hは太陽に向かって撮影しています。
つまり、カメラを構える場所を変え、360度違う向きから撮影しています。ナノハナの向きが逆さまになり、背景はもちろん、見た目の雰囲気もまったく違った写真になりました。
カメラを構える場所を変えるだけで、写真の雰囲気や狙いが大きく変わることがおわかりいただけたところで、紅葉写真への応用です。
写真IとJは、長野県にある紅葉の名所・白駒池で撮影しました。
写真Iは順光線のあたる岸辺から撮影しています。紅葉の色は鮮やかですが、色はベタッとしていて、しかも単調な感じがします。
そこで、池の周りの遊歩道を反対側の岸辺まで周り、撮影してみました(写真J)。
先ほどとは打って変わり、陰になった部分と逆光に輝く紅葉の葉にメリハリが生まれ、鮮やかさが際立っています。
ちなみに紅葉の写真をうまく撮るコツは、逆光気味に撮影し、陰になる部分と輝いた葉を巧みに生かすことです。そのためにも、カメラポジションを色々と変えて撮影するのが大切になってきます。
写真Kは、長野県南部を走っているときに見つけたイチョウの木です。木の下には小さな小屋もあり、とても雰囲気があったので、逆光気味に光が入っている向きにカメラをセットして撮影しました。
黄色く色づいた葉が輝き、逆光で背後の山やイチョウの幹が陰になり、画面全体が引き締まって見えます。
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このようにカメラを構える位置をひと工夫するだけで、見違える写真になります。ぜひ、秋の紅葉撮影で実践してみてください。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
全国観光振興協会は、日本全国15万件の観光情報を検索できるサイトを運営しています。このサイトでは目的別に観光情報を発信していますが、おもしろいのはアンケートなども実施している点です。
「2013全国紅葉最前線」は、2011年に実施したアンケートに基づき紅葉名所がランキングされています。
紅葉名所の紹介にしても、「イベントもりだくさんの紅葉祭り名所」「紅葉満喫ドライブコース」「交通の便がいい楽々紅葉スポット」「時期の早い紅葉スポット」「気付くと紅葉時期が過ぎていたけれどまだ見られる紅葉スポット」など、非常にわかりやすいジャンル分けになっています。
越カメラマンに学んだコツで、最高の紅葉を撮影しにでかけましょう!
●2013全国紅葉最前線
http://kouyou.nihon-kankou.or.jp/rank/index.php
「紅葉の見ごろ」、「おすすめ紅葉さんぽ」などの項目もとても便利です。
伊藤正一さん作品
http://www.shokokai.or.jp/09/nasu/photo2013/contest11.htm
那須の四季をテーマに栃木県那須町商工会、那須町観光協会が主催するフォトコンテストです。歴史もあり、今回で11回目になりました。
入賞作品は那須町役場のロビーをはじめ、町内施設で巡回展示されます。応募作品は未発表のものに限りますが、ひとり5点以内となっているので、「これだ!」が決めきれない場合でも、複数応募が可能です。
首都圏から近い那須高原ですので、今からでも紅葉を狙って訪ねてみませんか?
応募期間:2013年11月15日(金)
発 表:
平成26年1月上旬に那須町商工会と那須町観光協会のホームページで発表
賞 品:
【グランプリ】1点 賞金6万円、賞状、副賞
【準グランプリ】1点 賞金3万円、賞状、副賞
そのほか町長賞、商工会長賞、観光協会賞、特選などがあり
編集部が取材で出かけて撮影したたくさんの写真の中から、壁紙向きの写真をプレゼントします。お気に召されたら、壁紙などにお使いください。
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青森県の七戸と野辺地を結んでいたのが南部縦貫鉄道です。1997年に休止、2002年に廃止になった路線距離20.9㎞の小さな路線ですが、日本でも珍しいレールバスが走る線として、鉄道マニアに人気がありました。
路線はなくなってしまいましたが、今でも「キハ101」「キハ102」などの車両が保管されています。
かつては長閑な青森の里山、そして雪の中をたった1両で走ったレールバス。
新型新幹線、リニアへと遠距離、速度が求められる社会とは別次元で活躍した車両です。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。