デジタルカメラのほとんどは自動的にピントが合うように設定されているために、そのままシャッターを押してしまう人がほとんどのようです。しかし、どこにピントを合わせるかで写真は大きく変わります。越カメラマンがそのコツを教えてくれます。
写真撮影するときに一番大切なこと。それは“ピントをどこに合わせるか”でしょう。
ピントを合わせる位置の違いによって、写真のイメージは大きく変わります。正確な場所に正確にピントを合わせてこそ、撮りたかった被写体が引き立って見えてきます。
ピント合わせには、どの範囲にピントを合わせるかという「被写界深度」と、どこにピントを合わせるかという「ピント位置」のふたつの要素があります。
このうち、絞りの設定値によって変わる「被写界深度」についてはこのコーナーの第18回目で解説しました。今回は、どこにピントを合わせるかという「ピント位置」に関して解説していきましょう。
実際にピントを合わせる位置や絞りの設定値が今ひとつで、ごちゃごちゃした失敗例です。どのカタクリの花を撮りたかったのかがはっきりしていないうえ、ピントを合わせたカタクリ同士が重なり合って、雑然とした雰囲気になってしまいました。
地面に点在して咲くカタクリなど、ポイントを絞りにくい被写体は、その中でも狙いやすく形のよい一輪に注目し、ピントを合わせることがポイントです。
このとき“絞り”は開き気味に(数字を小さく)すると、背景が大きくボケてくれます。
写真Bとは逆に画面の前面はボカし、後方にピントを合わせる方法もあります。
このときも写真B同様、狙いやすく形のよい花を選ぶのがポイントです。とくに花の密集度が高く、形のよい花が遠くにある場合に有効な方法です。
ピンポイントでピントを合わせてその前後をボカし、メインとなる被写体(ここでは列車)を浮かび上がらせた作例です。
ピントを合わせた位置は列車の先頭部分。自分が人に見せたい部分、写真の中で際立たせたい部分にピントを合わせるのがポイントです。
ピントを合わせる位置を変えると、何を表現したいのかという写真のイメージが変わってくる場合があります。写真EとFはその例です。
写真Eは手前にナノハナのボケを入れ、遠くの海上を行く船にピントを合わせています。この場合、船行く海が春を迎えたという季節感を盛り込んでいます。
一方、写真Fは手前側のナノハナにピントを合わせています。ナノハナの背後にボカした海を入れることで、南国を思わせるような雰囲気に仕上げています。
ナノハナは房状の小さな花が咲きます。ボリューム感を出すために群生した場所で狙うと、どうしても雑然とした印象になってしまいます。
こうした場合も、群生する中から形のよい部分を見つけ出し、そこにピントを合わせ、前後を大きくぼかすと印象的な作品に仕上がります。
動物や昆虫を狙う場合は、特別な理由がない限り、その目にピントを合わせるのが基本になります。なぜなら、その動物や昆虫のコアとなる部分が目であり、写真がより印象的になるからです。
ちなみに、蝶の羽根など、羽根の美しさを狙う場合などは、目ではなくしっかりと羽根にピントを合わせましょう。
写真IとJは、2本の並んだ幹のどっちにピントを合わせるのかという問題です。
どちらが正解というのではありません。しかし、この場面では手前側の太い幹にピントを合わせた写真Jのほうがベターだと思います。作品にしたとき、より強くポイントとなる被写体にピントを合わせるべきだからです。
その点からいえば、手前側にあってより太い幹のほうに目線が行くようにするのが最適といえるでしょう。
ピント位置をいろいろと探ると、おもしろい表現が可能です。
写真Kは、コンクリートの道路に溜まった水たまりです。見た目には、水たまりに緑色が映っているだけの場面ですが、ピントの位置を水たまりに写った木に合わせると、ユニークな絵が浮かび上がってきました。
ぼやけた緑色の部分は、水の溜まっていない道路です。
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写真の印象を強くするにはどうすればいいのか。それにはピントを合わせる位置が大切だということを学んでください。
近年は“オート設定”で自動的にピントが合い、そのままに撮影しがちですが、「どこにピントを合わせるか」で写真は大きく変わります。
いかにしていろいろな場面に対応するか、もう一度見つめ直してほしいと思います。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
越カメラマンにピントの合わせ方を教えてもらったので、さっそく美しい風景写真をものにしたくなりませんか?
せっかく撮影するのなら、「日本の絶景ポイント」で最高傑作をものにしたい。では、日本の絶景ポイントとはどこなのでしょう。
ネット検索を繰り返しているうちに、「死ぬまでに行きたい 一度は行きたい 日本の絶景スポット」というホームページを見つけました。
北海道から関東、東京スカイツリー、九州まで幅広くリストアップされています。
なるほど、これは参考になる!
関東以北では絶景スポットが雪に覆われ、さらに幻想的になっているかもしれません。
カメラをクルマに積んで、傑作をものにするためにでかけましょう。
●死ぬまでに行きたい 一度は行きたい 日本の絶景スポット
http://matome.naver.jp/odai/2135925029263759301
科学する心賞「二人ならできる!」ダブルバニー(静岡県)さんの作品
http://www.sony-ef.or.jp/preschool/contest/guide/index.html
「0歳~6歳児の科学する心が伝わる姿」を保護者が撮影した写真のコンテストです。
科学する心とは、たとえばこんな感じです。
●子どもたちが自然に親しみ、自然の不思議さや美しさに驚き、感動する心。
●子どもたちが、すごい!ふしぎ!と身の回りの出来事に驚き、感動し、想像する心。
●子どもたちが動植物に親しみ、命の大切さに気づいたりする心。
そんな暮らしの中のひとこまを撮影してください。
なお、応募は1家族1応募、1作品までで被写体は就学前のお子さん(0歳~6歳以下)。撮影者は被写体の保護者(ご自身のお子さま、お孫さん)の写真に限られています。
応募期間:~2014年2月28日(金)
賞 品:
科学する心賞(1作品) ソニー製HDデジタルビデオカメラまたはデジタル一眼レフカメラ
いきいき賞(7作品)ソニー製デジタルスチルカメラまたはデジタルフォトフレームなど。
発 表:ホームページにて発表
編集部が取材で出かけて撮影したたくさんの写真の中から、壁紙向きの写真をプレゼントします。お気に召されたら、壁紙などにお使いください。
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近年、初めての人を対象にした競馬教室や中高年向けの競馬教室をJRAが開催して好評だそうです。
筆者もその模様を取材に競馬場にでかけ、教室の様子や初めて馬券購入をする人を取材してきました。
講師の話もおもしろく、競馬新聞の記者の話などもあり、とても充実したひとときを過ごしました。新しい競馬ファンが増えそうなとても楽しい試みに感心しました。
写真はそのとき撮ったものです。馬がアップ過ぎると肖像権などの問題があるので、遠目の写真をセレクトしました。それでも、緑のターフと駆けるサラブレッドが美しく、印象的でした。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。