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和の食材として欠かせないこんにゃくは、東南アジアが原産で今から1000年ほど前に入ってきた。あの独特の食感のこんにゃく、食物繊維が豊富でダイエット食材としても人気のこんにゃくはどうやって作られるのだろう。


さまざまな体験ができる『たくみの里』は過疎の村を再生させたみごとな例だ


それぞれの“家”は広大な敷地に点在するが、香りの家は中央駐車場近くにある


約1000年前に渡来したこんにゃくの花径部分が「こんにゃく玉」と呼ばれる

こんにゃくはサトイモ科の植物で、特徴はサトイモ同様に地下茎(こんにゃく芋)をもつことだ。

インドネシアが原産で今の中国を経て日本に約1000年前に伝来したと説かれている。現在でも食用に利用しているのは、日本、韓国、中国、ミャンマーなどというのだから、東南アジア特有の食材といえるだろう。

日本の主な生産地は群馬、栃木、茨城県で、とくに群馬は日本全国の生産高の90%弱を占める。



最近のぼくは、どこかにでかけるときに“寄り道”を楽しんでいる。目的地まで自動車道を直行するのではなく、あまり降りた機会のないインターチェンジで降りてお散歩ならぬ、“お散ドライブ”を楽しんでいるのだ。

目的地は長野県野沢温泉なのに本庄児玉インターチェンジで降りて、ご当地豆腐や小川名物の“忠七めし”を食べたこともあった。

東京からほど近い川越を散策してから軽井沢に向かったときもあった。

今回は新潟県に向かっていたのだが、気分がのって月夜野インターチェンジで降りてみた。

以前、この連載でも書いた覚えがあるが、体験村として知られる群馬県のみなかみ町にある『たくみの里』で、こんにゃく作り体験ができるのを、同乗者がスマートフォンで発見したからである。

おでんでは必ずこんにゃくを食べる。サービスエリアにあるこんにゃく味噌田楽も好きだ。

あのこんにゃくを作れるのだ。興味津々、これは寄らずにいられまい。



茹でたこんにゃくは適当に切り分けておく。皮がこんにゃくの黒いブツブツの正体


巨大なミキサーに入れてこんにゃくをトロロ状にする。けっこう迫力がある


ミキサーから取り出してボウルに入れ、滑らかになるまでぐるぐると混ぜる

月夜野インターチェンジを降りて三国街道を新潟方面に。人気の猿ヶ京温泉のそばに『たくみの里』がある。

過疎に悩んでいた集落の民家などを活かし、今や蕎麦屋さん、まんじゅう屋さん、ガラス細工の家、おしばなの家、七宝焼の家、陶芸の家などさまざまなお食事、工芸の家が点在し、里山にすばらしい文化の街が形成された。

細大の特徴はすべての家で“体験教室”が実施されている点だ。

リタイアしたご夫婦が新しい人生の出発をこの地に決め、ちりめん細工の家を始めたときにぼくは取材で訪れた。

周囲の人の助けを借り、独自のちりめん細工の家を経営する老夫婦はとても素敵だった。

残念ながら、今回訪れたときは定休日でお会いできなかったが…。

さて、たくみの里の「香りの家」で体験できるのがこんにゃく作りだ。

香りの家はランチ営業(シンプルなおにぎり定食が安くてうまい!)もしているから、観光日和には人の出入りが激しい。

家の中にこんにゃく作りのための厨房があり、そこが体験会場にもなる。

「こんにちは、いらっしゃいませ」と迎えてくれたご婦人は、こんにゃく厨房で、ころころとこんにゃくを丸めて、湯が煮立ったお鍋にどんどん入れていた。

ここでは市販用のこんにゃくも作っている。手際がいい。ひとつ分をすくっては丸めていく。

ちゃんとできるのかな? 彼女のてきぱきした動作を見ながら、香りの家を訪れたぼくたち一向は、無言で目配せしていた。



炭酸ソーダを投入。さらに、ぐるぐると素早く混ぜて、突き立てお餅の状態に


手に軽く水をつけて、おにぎりを作る要領でこんにゃくを手頃な大きさに丸める


30分ほど茹でる。ぼくらの手作りだから“ドーナツ型”もあったりして…

「こんにゃく芋はすでに箸が通るくらいに茹でてあります。今日の体験は、ここから先をやってもらいますね」と、担当者が言う。

巨大化されたサトイモのようなこんにゃく芋が、プラスチック製のザルの上に盛られていた。

こんにゃく芋は大きいから、適当に切り分けられている。ところどころに皮が残る。あとで、この皮がこんにゃくの中にある小さな黒いブツブツの正体だと知るのだが…。

これらのこんにゃく芋(1㎏)に50度のお湯を3リットル加えて巨大なミキサーの中に入れる。重低音を伴ってまわるミキサーは、あっという間にこんにゃく芋を“とろろ”状態に仕上げる。

ミキサーから大きなボウルにこんにゃく芋を移し、滑らかにするために木製のヘラを使ってよく練る。いよいよ手作り感が出てくる瞬間だ。

炭酸ソーダをお湯で溶かし、素早く混ぜる。木製ヘラでぐるぐる、ぐるぐる。ちょうど、粘土に水を加えて柔らかい状態に練るのと同じ感じだ。

ほどよく混ぜたあとは、各自が手に水をつけて手頃な大きさに丸めていく。初めに見た女性のように、手頃な大きさで丸めようと奮闘するのだが、やがて遊び心がむくむく沸いてきて円柱にしたり、ハート型にしたり、ダルマ型に挑戦したり…。

「自分が作ったのがわかりやすくていいでしょ」と言いながら、形はすっかり市販に耐えられないものになっていく。

丸めたこんにゃくは沸騰した湯の中で約30分。その後は冷水でしっかり冷ましてできあがり。

「はい、よくできましたね」という声と同時に、できたてほやほやのこんにゃくを持って帰るのだ。

その夜、ぼくたちは新潟の温泉にいた。部屋でやる夜の酒のつまみは決まっていた。刺身こんにゃくと、宿で借りた麺つゆで煮たこんにゃくだ。
おいしかったことといったら。手作りこんにゃくと新潟の銘酒で夜は更けていった。


「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●たくみの里【群馬県利根郡みなかみ町】
http://takuminosato.o-oku.jp/index.html

●こんにゃく博物館【群馬県甘楽郡甘楽町】
http://konnyaku-museum.com/
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に共著の『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』、一部執筆&プロデュースの『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」の連載ほか。
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