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最近、「LCC」という言葉をよく聞く。LCC=ローコストキャリア、つまり効率的な運営により低価格運賃で運航サービスを提供する航空会社だ。世界の航空規制緩和で増えるLCC。ドライブ・旅好きの読者もLCCを知っておこう。


成田空港のバニラエアのチェックインカウンター。20kg以上の荷物は超過料金がかかるので、大きな荷物は目立たなかった。


成田空港第2ターミナル98番カウンター。知っている人は知っているもっとも遠い搭乗口のひとつ

ジェットエアー、バニラエア、ピーチ…。このごろ、JALやANAに加えて新たに聞く航空会社が増えた。

そのほとんどが「LCC」と呼ばれている、さまざまな運営コストを軽減させて、その代りに運賃を安くした航空会社だ。
ぼくはある時期、某航空会社のサービス充実のために、いろいろな調査をしていた。

空港を利用して飛行機に搭乗、空港と機内スタッフによる応対と知識、気配り、手配の正確性をチェックする。また、提供する食事や独自の特典、サービスの内容をチェック。そのために飛行機に乗る。

ときには国内外のライバル会社の路線に搭乗し、CAのサービス比較、ワインなどの品揃えのチェック、ラウンジ提供品の差まで調査した。

そのために、数年にわたり国内線と国際線を合わせると年間120本もの路線に搭乗した。

いちばん過酷だったのは、午後にタイのバンコクに行き、空港で明け方近くまで時間をつぶし、翌日の昼に成田空港に戻って、そのままソウルへ往復というものだった。

ニューヨークへの1泊3日、フランクフルトに飛んで寝台列車で移動して、パリから帰ってきた1泊3日というのもあった。

それでもこの仕事は性分に合っていたし、いろいろなところに行けるので楽しかった。なにしろ、毎年日本の50を超える空港に行っていたのだから…(周囲の温泉、おいしいものを満喫した)。

そのころ、サービスの質こそ航空会社の絶対的なものだったと思う。しかし、LCCの登場によって、サービスよりも価格が第一条件になるという一面が現れた。

これはユーザーにとっていいことだと思う。選択肢が増えれば、行先、搭乗時間によって使い分けるのも可能だ。つまり、一般の航空会社とLCCの違いは、お寿司屋さんと回転すしのようなもので、そのときどきで使い分ければいいのだとぼくは考えている。


バニラエアの主力はエアバス社のA320。搭乗人数が少ないので国内大手航空会社は短距離や地方空港に飛ばしているケースが多い


バニラエアではオリジナルグッズも販売していた。特製ブランケットやノート、クリアファイルが


韓国では観光や食事を満喫

バニラエアの公式ホームページを開けて驚く。けっして格安販売店のページではない。公式!公式なのである。

それなのに、沖縄8500円~、7月1日就航・奄美大島8000円~、ソウル7500円~、台湾10000円~という数字が並ぶ。

新幹線だって名古屋まで1万円を超える。バニラエアでは同予算で沖縄や海外まで行けてしまうのだ。

ぼくが選んだ路線は成田空港とソウルの仁川国際空港の往復。羽田空港と金浦空港を結ぶ線とは東京、ソウルの中心地から空港への移動時間が共にかかるほうだ。

羽田⇒金浦だと、とてもバニラエアの価格では行けないだろう。

ただし、スマートアクセスのクルマ有効活動読者には利点がある。成田空港だと駐車場料金が羽田空港より安い。羽田空港だと国際線利用者割引があるが、普通車で24時間毎に上限2100円かかる(72時間以降は1500円が上限になる)。

一方、成田空港だと民間駐車場が多数あるので競争も激しく、1日500円前後のところもある。

ちなみにLCCや団体旅行の発着空港になっている茨城空港は駐車料金が無料だ。県内だけでなく千葉や群馬、栃木の茨城空港に行きやすい人は、羽田や成田発着のツアーより茨城発着のツアーを選んだほうが駐車料金分お得だろう。

自動車道から首都高速を結んで羽田に行くより、茨城空港に行くほうが自動車道代も安いかもしれない。

さて、本題に戻そう。バニラエアの成田空港の搭乗受付はそのまま荷物預かりの場でもある。

バニラエアでは購入するチケットでサービス内容は異なる。

価格が高め(といっても安いが)の「コミコミバニラ」は手荷物20㎏まで無料、全席無料などが特典だ。「シンプルバニラ」になると席は有料で指定可能、荷物は20kgまで無料。ぼくはこれを選んだので、事前にパソコンで座席予約した際に300円(座席で異なる)をカードで支払った。難点はパソコンの操作が面倒なサイトなこと。往路と帰路で別々にカード精算をしないといけなかった(ぼくの場合かどうかは不明)。

「わくわくバニラ」になれば手荷物を預けるにも料金が加算される。また、どのクラスでも20kg以上は超過料金がかかり、スポーツ用品と楽器などの定形外サイズの荷物には1個あたり1000円が必要になる。

それでも、パソコンでプリントアウトした書面を持って行き、パスポートを出せばスムーズにチェックインできる。女性係員の対応もよく気持ちよかった。


メニューはこんな感じ


海の恵パエリア風ごはん700円、成田ゆめ牧場ミルク玉350円、ニッカ シードル・ドライ350円


低価格で目的地まで連れていってくれるLCCのエアライン

搭乗口は遠かった。

これはかつて飛行機に乗りまくっていたときの経験でもそうだが、飛行機のサイズ、経済的なことで、小さい航空会社の搭乗口はたいてい遠い。近場はナショナルフラッグ的航空会社のB777あたりが占拠しているのが常だ。

バニラエアも通路の先の先、帰りの便も同様だった。そのために、早めに搭乗口に向かわないと間に合わなくなる。

機材はエアバス社のA320。大手航空会社でも採用している機種で、ほとんどが左右3列×3列。元々あまり広い機内ではないが、大手の国内線も同様の席数なので、それほどの窮屈を感じない。国内線と同じような飛行時間で行けるソウルなら問題はない。

大手と異なるのは機内誌がないこと、飲み物、食べ物が有料であることだ。

一例をあげればフレンチトーストの朝食が550円、海の恵パエリア風ごはんが700円、さっぽろ一番カップスターしょうゆ味が200円、コーヒー200円、天然水やコーラが200円、ビールが350円といった具合。

ぼくはパエリアを食べたが、低価格飛行機だから仕方ないな…の700円で、味と量は大手のそれとはずいぶん違う。

定時運行の重要性、機長アナウンスなども過去に調査したが、そのあたりは遜色なく感じたし、CAの対応も悪くない。

個性を前面に出した食やアルコールという空の旅のひとつの楽しみは味わえないが、目的地にきちんと着くという点では遜色がない。

ぼくの感覚ではヨーロッパやアメリカ、タイなどの4時間を超えるフライトでは大手航空会社で食やゆったりした居住空間を+αの料金で購入しようと思う。しかし、近いアジアや国内などではLCCも十分に利用できるという結果になった。

スマートアクセス読者も飛行機の使い分けと、お得な空港の利用を検討し、そこまでクルマで行ってから機上の人になるのがいいと思う。


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< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に共著の『温泉遺産の旅 奇跡の湯 ぶくぶく自噴泉めぐり』、一部執筆&プロデュースの『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」の連載ほか。
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