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4月更新の「アウトドアで遊ぼう!」でオートキャンプ場とは異なる野営場(キャンプ場)に泊まろうと提案した。そこで、行ってきました上高地のキャンプ場へ。今回は上高地の徳沢キャンプ場での宿泊をレポートする。


徳沢キャンプ場までの遊歩道を行く。テント持参のためにリュックはこの大きさになった


河童橋に近い小梨平キャンプ場のレンタルテント


徳沢キャンプ場に着いて最初の仕事はテントを張ること。場所は自由に決められる

英国人宣教師W・ウェストンが1896年に執筆した『日本アルプス登山と探検』で、ガイドの上条嘉門次と共に登った穂高連峰と槍ヶ岳を称賛、上高地は一躍世界に知られることになった。

それ以来、山岳リゾートして発展、訪問者は大幅に増えていく。その一方で自然環境を保存する取り組みが積極的に行われており、1975年からは梓川での釣りの禁止、マイカー規制などが始まった。

観光バス規制も行われている今日、上高地にマイカーで行くためには、釜トンネルの手前の沢渡、あるいは安房トンネル手前の平湯温泉の駐車場に停め、そこからバスやタクシーで上高地駐車場まで入らないといけない。

しかし、そこから徒歩で行く先に、大自然の中のキャンプ場が待っているのだ。

当然、クルマをサイトに横づけし、テントを設営するオートキャンプとは事情が大きく異なる。

1人用や2名用のテントとシュラフを入れ、雨具や着替え、さらに食糧や若干のアルコール類を入れれば容量50Lのリュックサックもいっぱいになる。

普段、オートキャンプ場で使っているようなBBQスタンドやクーラーボックス、チェアなどを持っていく余裕がない。タープもあきらめたほうがいい。

食事はシングルバーナーとコッフェルで作れるものが限度だろう。レトルトや登山用フリーズドライ食糧といったところだ。

つまり、上高地一帯での大自然キャンプは、なんでも持ち込め、気ままにできるオートキャンプとは一線を画す。だからこそ、持ち物を選ぶ楽しさ、食糧のプランなどを決める楽しさがあるのだ。

加えて、自力でキャンプ場へ行くという喜びも大きい。

ぼくらはマイカーを沢渡に置き、明け方のバスで上高地に入った。めざすは徳沢キャンプ場。上高地バスターミナルの約6.3㎞先にある施設だ。



前穂高を目の前に望む徳沢キャンプ場。オートキャンプ場と異なってクルマがいないから空気も一段ときれい


周辺にはサルの群れが。餌やりは厳禁。危害を加えることはなかった

上高地にはもっとも観光客で賑わう河童橋(かっぱばし)のそばに小梨平キャンプ場、徳沢キャンプ場、さらに徳沢から3.5㎞上流に位置する横尾キャンプ場がある。それ以外にも主に登山者がテントを張る涸沢などのエリアがあるが、登山ルートを考えても気軽にキャンプという趣旨のものではない。

徳沢はかつて牧場だった。現在は蝶ヶ岳や穂高、槍ヶ岳の登山口として登山者に愛好されている。また、井上靖の小説『氷壁』の舞台は徳沢の目の前の前穂高岳だ。

上高地からはほぼ平坦(ゆる~い登り)とはいえ、なんといっても荷物が重い。しかも、徳沢キャンプ場と河童橋の間には明神池があるので、日帰り観光客の数も多い。左右に機敏な動きがとれない重いリュック持ちであるぼくたちは、前夜の雨でときおりぬかるんだ場所で、ひょいっと対向者を避けてすれ違うのに苦労する。

それでも、森の緑と川で冷やされた風が気持ちいい。

河童橋から約90分、徳沢に着いた。徳沢一帯の共通の共同トイレがまず見える。

実は、このトイレがキャンパーたちのトイレでもあるのだ。もちろん、シャワー式トイレではないが、簡易水洗で管理によって清潔に保たれている。

余談だが、上高地のほとんどのトイレは100円程度のチップ制だ。チップは下水処理代などにあてられる。これも自然を保護するために必要な資金である。

さて、キャンプ受付の徳沢園(宿泊施設でもある)のフロントへ。ぼくらは持ち込みテント3張、レンタルテント1張、レンタル毛布3枚、さらに合計12名の入場料を払った。

入場費用は1人700円。レンタルテントは2500円、毛布が500円だった。重い荷物を持ちたくなければ、レンタルテントという手もある。実際、子ども連れのファミリーはレンタルテントを活用していた。

それからの仕事はテント設営、仕上げにフロントでもらった日付の入ったタグを付ければいい。

テントを張る場所は自由だ。ぼくらは大きな木の下の一画にテントを張った。


横尾のキャンプ場。秋は涸沢周辺が紅葉に染まり、多くの訪問者を迎える


徳沢キャンプ場の水場。天然水はとてもおいしい


裏ワザのひとつ。現地で“ご飯を頼む”作戦。おでん定食はボリュームがあった

ぼくらはパンや缶詰、レトルトのチャーハンなどを持ち込んだが、それらを食べるのがタープの下のイスとテーブルというわけにはいかない。とても持っていけないからだ。

そこで、キャンプ場の周囲にある丸太のベンチでシングルバーナーを使って調理し、そこが青空食堂となった。

トイレは前述した公衆トイレを利用する。飲料水は水場で汲めるし、そこにはキャンパー専用のシンクもある。なんとも、水がうまい。さすがに大自然の中の天然水。

「お酒よりもなによりも、もっともおいしいのは水だね」と言った友人の言葉にうなずける。

基本、食事などは光があるうちに済ます。オートキャンプ場と異なり、外灯がない野営場では暗くなってからの行動は控えるのが得策だからだ。

暗くなれば眠る、明るくなれば起きる。空気を思い切り吸う。自然のパワーをもらう…これが自然キャンプの醍醐味。

でも、裏ワザもある。
徳沢キャンプ場の裏ワザを紹介しよう。

キャンプ場にはお風呂はないが、お隣の徳沢ロッジで入浴(600円)できるのだ。ぼくは夕食前にここで汗を流し、清潔なシャワー式トイレを借りた。

さらに、夕食と朝食を徳沢園(キャンプ場の経営母体)でいただくこともできる。夕食メニューはおでん定食(1200円)か岩魚定食(1600円)。カレーや生ビール、ワイン、缶チューハイなどもいただける。

食糧の運搬に悩んだら、ここでの食事も可能なのだ。

オートキャンプに慣れている人は、食事は徳沢園利用というやや低いハードルからスタートしてもいいのでは。とくにカップルやファミリーにはそれがいいだろう。

これから紅葉シーズンまでの上高地は美しい。そして、なによりあの大自然の中のキャンプは、歩いて行くのに値するうれしいご褒美がある。


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●上高地を知るには「上高地公式ウェブサイト」
http://www.kamikochi.or.jp/
●おすすめ大自然キャンプ「徳沢キャンプ場」
http://www.tokusawaen.com/
●キャンプを始めるのなら、まずはオートキャンプ大百科
http://www.smart-acs.com/topics/007/topics007.php
●キャンプ場について知りたいのならここを
社団法人 日本オート・キャンプ協会
http://www.autocamp.or.jp/
< PROFILE >
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。
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