2005年に5万台だったキャンピングカー保有台数が13年には85200台に上昇。プチといえるキャンピングカーブームが起きているのをご存じ? この連載でも過去にキャンピングカーを取り上げたが、今年話題になっているキャンピングカーを研究してみよう。
キャンピングカーを大きく区別すると4つに分けられる。
1:バン、ミニバン、ワゴンをベース車両にした「バンコン」。
2:トラックをベース車両にした「キャブコン」。
3:マイクロバスなどをベースにした「バスコン」。
4:牽引するタイプの「トレーラー」。
加えて近年では軽自動車をベースにしたコンパクトなキャンピングカーも流行の兆しにある。
「くるま旅」を推奨する日本RV協会が発表した最新の資料では、このなかでもっとも割合の多いのがバンコンで、それに続くのがキャブコンになっている。
キャブコンはトラックのシャーシーに居住スペースを積んでいるために、いわゆる「キャンピングカー」のイメージにもっとも近い。このコラムでいえば、もっとも下に掲載した写真のタイプだ。
だから、このタイプを自動車道やSAで見かけると、「お、キャンピングカーがいる」と認識できるが、もっとも多いバンコンは右の写真のタイプだから、キャンピングカーとは案外気づかない。
よく見ればサイドにオーニング(自動車に取り付けられたタープのようなもの)が設置されていたりして、改めてキャンピングカーと気付く次第だ。
バンコンが日本で人気なのはいくつかの理由がある。
通常は5人前後の定員と就寝定員4名前後を備え、小さなキッチンも付いている。クルマによっては車外シャワーなども備えており、アウトドアで遊ぶのに、ふさわしい構成になっている。
また、最大のメリットは操縦性のよさだろう。バンやミニバンは元々乗用車としての機能が高い。そのために、トラックベースのキャブコンとは異なり、高速時や山道にも強く、後部座席の乗り心地もいい。
さらに、車幅、車長もそれほど大きくないので運転に不安が生じないのだ。
高原や渓流沿いのキャンプ場に行く場合も、山奥の秘湯に立ち寄る場合も、バンコンなら気軽に行けてしまう。
350~600万円と手が出せない価格ではない。これもまた、バンコンの魅力だろう。
日本にもキャンピングカーの範疇を超えて、動く別荘感覚の「モーターホーム」を輸入するショップもある。
通常、キャンピングカーといえば“2WAY”である。
ダイニングだった場所を組み替えてベッドにして就寝する。運転席の上に“バンクベッド”と呼ばれる常設ベッドを設置しているキャブコン以外は、ほとんどが昼と夜でレイアウトの変更という手間が必要になる。
しかし、モーターホームは違う。居住空間の前方部分にはソファやダイニングがあり(これも可動式でベッドになる)、センター部には大型キッチン(3口コンロや冷蔵庫、電子レンジはあたりまえ)、シャワールーム、トイレが設置され、後部には常設のクイーンベッドがある。
つまり、お腹が空いたら大型キッチンで調理し、ダイニングで存分に食事を楽しむ。運転に疲れて眠りたいときは、なんの手間もかけずに後部のベッドにゴロンとすればいいのだ。
モーターホームそのものが“移動する別荘”の感覚だから、日本全国どこに行っても、駐車場がそのまま個人の別荘になる。これぞ、究極のくるま旅だろう。
クルマを停めれば極上の時間が待っているモーターホームだが、道中はバンコンのようにはいかない。
車長があれば車幅も広く、左ハンドル車がほとんどだ。もちろん、バックアイモニターやミラー内レンズなどの運転を補助する機能を設けているが、小型車の運転とはわけが違う。
また、燃費も乗用車並みとはいかない。
駐車スペースの確保という問題もあるが、これは販売店が周囲に大型駐車場を用意しており、そこに保管することが可能だ。
価格は1000万円以上。しかし、高級輸入車ならそれぐらいは珍しくないし、モーターホームはいわば高級家具付1DK。
これがあればドライブや旅が変わること、間違いない。
モーターホームと対極にあるのが軽自動車をベースとしたキャンピングカーだろう。
税金面ほかさまざまな点でメリットのある「黄色」ナンバー車をベースにキャンピングカーに仕立てたものだ。
経済面だけでなく運転がしやすく、小回りがきき、細い山道も苦としない。だから、秘湯めぐりや渓流釣りでも頼りになる。燃費のよさは抜群だ。
就寝定員が少ないなどのデメリットもあるが、“2台目の趣味のクルマ”として、これほど楽しいツールはない。
近ごろ、軽自動車ベースのキャンピングカーが脚光を浴びているというのもうなずける。300万円以下から購入できるというのもメリットのひとつだろう。
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さて、人気のバンコン、憧れのモーターホーム、お気軽アウトドア遊びクルマとして最適な軽自動車ベースと話題の3種類を見てきた。それぞれに魅了があり、アウトドアライフの充実に手に入れたいクルマだ。
現実問題として、キャンプ場に通うテント派が、そこでキャンピングカーを身近に見て、やがて購入というケースは珍しくない。
しかし、「本当にキャンピングカーが必要かわからない」という人がいるのも事実。
そこでおすすめなのがレンタルキャンピングカーだ。近年は全国にレンタルキャンピングカーを扱うショップが増えている。これを利用して、キャンピングカーを試してみるのもいいのでは。
※キャンピングカー入門短期連載を『月刊旅行読売』5月号~10月号に連載いたしました。『月刊旅行読売』は最新の旅行情報や「ひとり旅」、「道の駅」などを特集して多くの旅・ドライブ好きに好評です。とくに連載の「ドライブ大好き」は毎号ドライブルートと名店を掲載、ドライブ好きに人気を博しています。キャンピングカー連載をお読みいただきたい場合はバックナンバーを、最新ドライブ情報をお知りになりたい方は新刊をぜひお求めください。
●くるま旅を提案する日本RV協会
http://www.jrva.com/
●バンコンに定評、日産ピーズフィールドクラフト
http://www.ps-craft.co.jp/
●モーターホームを輸入して28年、ボナンザ
http://www.bonanza.co.jp/
●軽自動車ベースが人気、インディアナRV
http://www.indiana-rv.net/
●レンタルキャンピングカーも扱う、フジカーズジャパン
http://www.campnofuji.jp/
●キャンプ場について知りたいのならここを
社団法人 日本オート・キャンプ協会
http://www.autocamp.or.jp/
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。