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越カメラマンが提案するのは「写真の主役と脇役」をはっきり決めること。どちらを引き立てるかによって構成も変わるし、写真はぐっと個性的になります。そのほかにも写真コンテスト情報や壁紙プレゼント「ハワイ」など、盛りだくさんでお届けします。
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野山はもちろん街中でも、緑の中に彩り鮮やかな花が生える季節になりました。思わず「パチリ!」と撮影したくなるものです。
しかし、撮ってみたものの“平凡になりがち”というのが一般の方の悩みではないでしょうか。
その原因の多くは、さまざまな要素を画面内で同等に扱っているためです。
これを解消するには、まずは「主役」となる要素を決めて、それを引き立たせるようにほかの要素(「脇役」)と絡めます。
そして、「主役」となる部分にしっかりピントを合わせることが大切になってきます。
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写真A、B、Cは緑の木々とヤマツツジを狙った写真です。6月~7月にかけて高原などでよく見かける光景です。
そのまま写真を撮ってしまうと写真Aのような感じになるのではありませんか? これはこれでいいのですが、どこかワンパターンな感じがします。
私が狙うとすれば、「木々の緑」か「ヤマツツジ」か、このふたつのどちらかを主役にするように構成を考えます。
写真Bはヤマツツジの群落を主役に、写真Cは形の良い緑の木を主役にしたパターンです。
どちらを主役にするのがいいのかに答えはありません。それが撮影者の個性になります。
自分が「これだ!」と思ったものを主役に据えて、自分が決めた主役がもっとも引き立つように脇役で固めてあげればいいのです。映画監督になった気分で主役を最高に引き立たせてあげましょう。
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新潟県佐渡島大野亀にて撮影しました。7月にはノカンゾウが咲くとても美しい場所で、それを撮っただけでも絵になります。
しかし、せっかく撮影するのですから、自分なりの個性を写真に出したいところです。
ここで私は「丘」を主役にしてみました。青空に映え、黄色い花に彩られる「丘」。そんなイメージでカメラポジションを探してみました。
☆
誰もが撮るような普通の写真は写真Dです。これでは主役は「ノカンゾウ」でも「丘」でもありません。
写真Eでは「ノカンゾウ」にピントが合っており、花が主役になっています。
実は、私が撮影に行った年は例年と比べて花の数が少なく、「ノカンゾウ」を主役にしても散漫な印象になってしまいました。
そこで「丘」のほうに着目し、「ノカンゾウ」で埋め尽くしてあげるように狙ったのが写真Fです。
この場合、「ノカンゾウ」にピントが合っている必要はありません。ピントは奥の「丘」のほうに合わせました。
そして「丘」がさらに一面「ノカンゾウ」で彩られているよう見せるため、カメラを右へ移動させ、できるだけ低い位置で構えて撮ったのが写真Gです。
4点の写真を見ていただきました。大切なのは一方を捨てる勇気です。
※ピントの合わせ方については、バックナンバーの第34回「カメラのオートフォーカス機能は完璧じゃない」を参照してください。
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「一方を捨てる勇気」と前述しましたが、これもまた“完全に捨てきる”わけではありません。「主役」の存在を高めるために「脇役」は欠かせません。
これは神奈川県横浜市山手地区の古い街並みを散策しながら撮影した例です。
写真Hは「花(脇役)」に彩られる洋風の建物の「洒落た窓辺」を主役に、写真Iは「街中(脇役)」で見つけた「可愛らしい花が植わるガーデンポット」を主役にして、それぞれ横浜山手の街並みを表現してみました。
いずれも、「窓」だけ、「ガーデンポット」だけでは、ただの写真になってしまったはずです。「名俳優」に「名脇役」が欠かせないように、「主役」には「脇役」が必要なのです。
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色の違う同じ花が咲くハナショウブ園での撮影です。
こうした場合こそ「主役」はどの花にするのかを決め、その「主役」を引き立たせるように「脇役」である別の花を画面に取り込みます。
写真Jではまだまだ「主役」は引き立っていません。
そこで背景として大きくぼけたほかの花を入れ、そこに浮かび上がるように「主役」の花を重ねてみたのが写真Kです。
写真Lは、一輪の花だけに目線が行くようほかの花を前ボケで隠し、陰となった背景に浮かび上がるようカメラポジションを移動して狙ってみました。
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※前ボケに関してはバックナンバーの第36回「“前ボケ”を覚えて写真技術アップ!」も参照してみてください。
☆
映画監督、舞台監督になった気分で配役を決め、「主役」を「脇役」で盛り立ててあげましょう。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
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さまざまな撮影テクニックを教えてくれる越カメラマンの著書や、写真展に行って鉄道の写真や風景写真を見ると、さまざまな花がうまく脇役に使われているのがわかります。
日本は四季のある国。季節に応じてさまざまな花が咲き、カメラを手にする人たちの撮影意欲を高めてくれます。
☆
さて、「花の名所案内」は、かつてこのコーナーでもちらりとご紹介しましたが、全国のお花とお花名所を調べるのに最適のサイトです。
書籍やメディア取材、執筆、制作をしているプレスメディア社が運営しており、当サイトは「日本最大の花データベース」とあるだけあって、充実した素敵なサイトに仕上がっています。
「全国の名所」をクリックすれば「花の名所を紹介する花百景」というページに移行し、四季ごとに花と名所が紹介されています。
たとえば「夏」なら、越カメラマンが撮影している「ハナショウブ」や「アジサイ」「ユリ」などの花の名が出てきます。さらにクリックすれば全国のそれぞれの花の名所情報が掲載されるという具合です。
花風景の撮影に役立つサイトで重宝します。
●「花の名所案内」
http://www.hanazakura.jp/
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http://sg-g.jp/photocontest/filtercontest2015/entry/index.html
このコーナーでご紹介するフォトコンテストは、比較的気軽に応募できるものを主体にしていました。
今回ご紹介するコンテストも誰でも応募できるコンテストですが、応募資格は国籍を問わず。前回の入選作品を見ても、海外からの応募が目立ちます。
レンズやフィルターで創造の世界を拡げるケンコー・トキナーが開催する「フィルターを使用した作品」のためのコンテストです。
テーマは自由ですが、フィルターを効果的に使用して応募してください。
募集締切:2015年9月30日(水)
賞 品:グランプリ/50万円相当のケンコー・トキナーグループ製品
審査員特別賞/10万円相当のケンコー・トキナーグループ製品
そのほかフィルター別の賞、入選、佳作など
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編集部が取材ででかけて撮影したたくさんの写真の中から、壁紙向きの写真をプレゼントします。お気に召されたら、壁紙などにお使いください。
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筆者はハワイのガイドブックを通算三度制作しており、ときどきハワイに取材がてら出かけています。今年も3月末に8日間ほどワイキキに滞在しました。散策のときに気軽に撮影した写真をお届けします。お気に召したら壁紙としてお使いください。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。