車中泊の“くるま旅”を推奨し応援する日本RV協会が、新たに「ぐるめパーク」を始動させました。「RVパーク」「湯YOUパーク」に続く第三の車中泊システムは、お酒が好きな人にとってもうれしいこと満載! さて、どんなところなのでしょうか。
キャンプ場に宿泊して場内の施設や周囲の自然の中で思い切りアウトドアライフを楽しむ。この連載でも数回にわたりアウトドアでの遊びを提唱しているだけに、キャンプ場をベースにした休日はとても素敵なものです。
しかし、旅館やリゾートホテルより控えめとはいえ、ファミリーなどでキャンプ場泊となれば、それなりの出費を覚悟しなくてはいけません。
「もっと格安に郊外や旅先での宿泊ができないものか」というのが、ドライブ好きやアウトドア好きの悩みでしょう。宿泊費が格安に抑えられれば、そのぶんおでかけ回数も増えるというものです。
そこで、“くるま旅”を推奨する日本RV協会が進めるのが「RVパーク」と「湯YOUパーク」です。
RVパークは全国の道の駅や日帰り温泉施設、オートキャンプ場と提携した車中泊ができる施設。簡単にいえば、「宿泊公認の駐車場」です。
加えて、それぞれのRVパークには“ゆったりした駐車スペース”“24時間使用可能なトイレ”“100V電源”“ゴミ処理が可能”“入浴施設が近くにあることが望ましい”“入場制限が緩やかで予約が必須ではないこと”が条件として課されています。
つまり、安全で快適に車中泊ができる場所なのです。
RVパークは最近では一般に広く認識されはじめ、キャンピングカー利用者だけでなく、ミニバンの利用者、普通乗用車の利用者も増えました。
シートをフルフラットに近くして、毛布などを用意すれば簡単に、しかも経済的(1台1000~2000円程度)に宿泊できるのですから、その人気の秘密もうなずけます。
RVパークについては、この連載でも『車中泊に最適なRVパークをご存じ?』と題して掲載しました。ぜひ、バックナンバーで復習してください。
http://www.smart-acs.com/magazine/14041502/outdoor001.php
車内泊が寒くないこれからの季節、自動車用品専門店でもクルマ用網戸や就寝用マットがたくさん売られています。
ましてRVパークでは電源が使えますから、扇風機などの利用も可能。快適に眠れる装備を整えて、RVパークを利用するアウトドア満喫ドライブもいいでしょう。
「湯YOUパーク」はRVパークの温泉版です。全国の旅館、ホテルの駐車場で車中泊ができるシステムです。
提携先を見れば、北海道、東北、関東、東海、関西、中国、四国、九州とまんべんなく、なかには名湯として知られる温泉旅館もあります。
利用料金は入浴がセットになっているだけに、施設によって1台の料金だったり、ひとりあたりの料金だったりまちまちです。
そのほかにもゴミの持ち帰り、誰でも気軽に利用できるRVパークと異なり「くるま旅クラブ会員」であることなどが義務付けられていますし、人気宿泊施設だけに混雑状況によって利用できないなどの条件もあります。
それでも入浴が楽しめ、その後に車内泊ができるわけですから、これらの施設をめぐって日本中を旅する人もいるほどです。
そして、第三の車中泊システムとして第1号がこのほどオープンしたのが「ぐるめパーク」です。
ぐるめパークはレストランやお食事処でその土地ならではのグルメとお酒を楽しみ、そのまま駐車場で車中泊できるシステムになっています。
キャンプ場に宿泊するのなら別ですが、通常でしたらドライブ途中に名レストランに寄っても、ドライバーはお酒を控えなければなりません。
地元の名レストランでお料理に舌鼓を打つときに、「ここでワインが飲めたら、地酒が飲めたら」と思ったドライバーは多いことでしょう。
ぐるめパークならそんな悩みは解消です。名物グルメを楽しみ、お酒を味わい、そのまま駐車場に停めた愛車の中で眠ればいいのです。
ただし、利用には「くるま旅CLUB」への入会が必要になります。
キャンピングカー所有者のためのクラブでプレミアム会員、スタンダード会員(入会金1000円、年会費1800円)のほかにキャンピングカー未所有の人のための「ビギナー会員」があります。
利用に関しては、まずは日本RV協会や施設にお問い合わせください。
「星降る里」として知られる、高原野菜の名産地でもある長野県の原村に、「カナディアンファーム」があります。そこがぐるめパーク第1号となりました。
レストランのウッドデッキや、鉄細工が美しいゲストハウスが印象的なカナディアンファームは、カナダ・ケベック料理がメインです。「森の台所」と呼ばれるキッチンでは「炉焼きハンバーグケベック風」「チキンバーベキューロースト」「肉だんご田舎風煮込み」「牛肉のビール煮込み」などの個性的なグルメが生み出されます。
さらに、燻製が名物で世界でここにしかないハセヤン式冷燻装置(ハセヤンとはオーナーで、現在特許出願中)で長時間かけて燻製されたスモークサーモンは絶品。
「こんなにワインに合うおつまみは知らない」という常連も多いのだとか。
ぐるめパークはディナーをオーダーするのが利用条件です。
カナディアンファームでは小学生以上ひとり2000円以上のオーダーで車中泊が可能です。
それでもおいしいものを堪能し、運転の心配をせずにそれに合うお酒を楽しむ。
食事のあとは原村の星空を観察してから、愛車ですやすやと眠る。
とくに「くるま旅クラブ」の会員になりやすいキャンピングカー所有者なら、新しい宿泊のスタイルができたといえるでしょう。
今後も地域の名レストランやワインカーブ、食事処のある酒蔵などと提携し、ぐるめパークが増えていけば、それだけ味わい深いおでかけになるのでは。
RVパーク、湯YOUパーク、ぐるめパークの設置と、くるま旅がますます楽しくなる施設の充実に注目です。
●ご紹介したパークとくるま旅がわかる
日本RV協会
http://www.jrva.com/
●オートキャンプの情報ならこちらへ
社団法人 日本オートキャンプ協会
http://www.autocamp.or.jp/
浜口昭宏
雑誌やWEB編集を始めて数年の編集者。超がつくほどのアウトドア初心者だったが、猛勉強をしてそれなりに成長。アウトドアの中で大好きなシチュエーションは、ビールがおいしいBBQ。