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「起伏を制すれば風景写真は傑作が撮れる」と豪語する越カメラマン。そんなプロの技を伝授してくれます。そのほかにも絶好の撮影ポイントガイド、写真コンテスト情報や壁紙プレゼントをお見逃しなく。
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これから夏に向けてのドライブで、高原にでかける方も多いと思います。
高原は起伏に富んでいて、遠くが見渡せる絶景が広がり、つい見とれてしまいます。そこで一枚写真を!と撮ってみると、何か物足りなさを感じることはありませんか?
その原因は、「起伏をうまく利用できていない」という事情があるようです。
高原は起伏に富んでいて、遠くが見渡せる絶景が広がり、つい見とれてしまいます。そこで一枚写真を!と撮ってみると、何か物足りなさを感じることはありませんか?
その原因は、「起伏をうまく利用できていない」という事情があるようです。
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栃木県日光市にある牧場からの風景です。遠くまで見渡せ、思わず一枚!と撮ってみたものの平凡な印象に終わってしまいました。
原因のひとつは、「ポイントになるモノがない」ことがあげられます。
そしてもうひとつの原因として、「奥行き感が表れていない」ことがあります。
原因のひとつは、「ポイントになるモノがない」ことがあげられます。
そしてもうひとつの原因として、「奥行き感が表れていない」ことがあります。
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写真A
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写真Bは起伏のある高原地帯を俯瞰するように撮影したものです。全体が緑色であったこともあり、全体にメリハリがなく、ポイントもハッキリしていません。
それに対し写真Cは下から仰ぎみるように丘の上に生える1本の木をポイントに狙ったモノです。そして、その先には青空と雲が広がっています。
2つの写真から一目瞭然ですが、その場所の雰囲気をいかに「立体的」に見せられるかが成功の鍵を握っています。
それに対し写真Cは下から仰ぎみるように丘の上に生える1本の木をポイントに狙ったモノです。そして、その先には青空と雲が広がっています。
2つの写真から一目瞭然ですが、その場所の雰囲気をいかに「立体的」に見せられるかが成功の鍵を握っています。
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写真B
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写真C
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起伏のある丘陵地といって真っ先に思い浮かぶのは、北海道美瑛の風景ではないでしょうか。起伏に富み、そこに花を植えているため、どこを切り取っても簡単に美しい風景写真を手に入れることができます。
しかし、そんな美瑛の丘陵であっても、一歩間違えれば平凡な風景になってしまいます。それを比べたのが写真D/写真Eです。
2つの写真の決定的な違いは何か。それは花畑の奥に入っている緑色の畑(斜面)です。
この畑があるかないかで、写真の奥行き感は全く違って見えています。
写真Eは画面奥に向かって丘が駆け上がっている様子まで見て取れます。手前から奥のほうまで続く距離感が、写真をより立体的に見せているのです。
しかし、そんな美瑛の丘陵であっても、一歩間違えれば平凡な風景になってしまいます。それを比べたのが写真D/写真Eです。
2つの写真の決定的な違いは何か。それは花畑の奥に入っている緑色の畑(斜面)です。
この畑があるかないかで、写真の奥行き感は全く違って見えています。
写真Eは画面奥に向かって丘が駆け上がっている様子まで見て取れます。手前から奥のほうまで続く距離感が、写真をより立体的に見せているのです。
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写真D
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写真E
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斜面地に植えられた花畑です。
写真Fは遠くの山まで入れて奥行きをつけたのですが、やはり手前の花畑にメリハリがなく、平面的に見えてしまっています。
思い切ってそこをメインとするのではなく、手前にラベンダーの花を入れて“ポイント”とし、傾斜地を背景としたものが写真Gになります。
写真Gのもうひとつのポイントは縦位置構図にしたことです。横位置構図は広がりを見せるのに有効ですが、奥行きを見せるのためには縦位置構図のほうが効果を発揮します。
また、手前のラベンダーと花畑の間に距離が生まれ、より立体的な雰囲気に仕上がりました(写真G)。
写真Fは遠くの山まで入れて奥行きをつけたのですが、やはり手前の花畑にメリハリがなく、平面的に見えてしまっています。
思い切ってそこをメインとするのではなく、手前にラベンダーの花を入れて“ポイント”とし、傾斜地を背景としたものが写真Gになります。
写真Gのもうひとつのポイントは縦位置構図にしたことです。横位置構図は広がりを見せるのに有効ですが、奥行きを見せるのためには縦位置構図のほうが効果を発揮します。
また、手前のラベンダーと花畑の間に距離が生まれ、より立体的な雰囲気に仕上がりました(写真G)。
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写真F
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写真G
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今回は写真をよりよく見せるには奥行き(立体)感が大切だということを解説してみました。起伏に富んだ場所は、木のようなポイントになるモノを空に抜けさせて見せたり、奥へと続く斜面を作品に盛り込むことができたりと、写真撮影の要素には欠かせない条件が揃っています。この起伏をうまくコントロールできるようになれば写真が変わるはずです。
小高い丘でも十分ですので、下から上から眺めてみて、あなただけの素敵な場所を見つけてください。
小高い丘でも十分ですので、下から上から眺めてみて、あなただけの素敵な場所を見つけてください。
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写真H
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。
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新潟県十日町市にある丘と芸術作品
越カメラマンの解説を読んだら丘からの景色を撮影しに行きたくなりませんか?そこでこれまでに編集室スタッフが訪れ、印象に残る丘の景色をご紹介します。天気予報を見て、絶景が望める丘にでかけてみてください。
●北海道 美瑛町観光情報サイト「美瑛時間」
http://www.biei-hokkaido.jp/
●宮城県 大崎市 三本木地区ひまわりの丘「ひまわり畑ネット」
http://www.himawaribatake.net/sanbongi.php
●福島県 郡山市 風の高原「郡山市観光協会」
http://www.kanko-koriyama.gr.jp/tourism/detail1-0-12.html
●山梨県 韮崎市 太陽の丘韮崎ワイナリー「富士の国やまなし観光ネット」
http://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p1_2277.html
●新潟県 十日町市 越後妻有大地の芸術祭の里
http://www.echigo-tsumari.jp/
●兵庫県 淡路市「あわじ花さじき」
http://www.hyogo-park.or.jp/hanasajiki/
●広島県 世羅郡 香山ラベンダーの丘「ひろしま観光ナビ」
http://www.kankou.pref.hiroshima.jp/sys/data?page-id=4278
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第8回宮司賞:柳澤穂浪さん作品
「春のステージ」
「春のステージ」
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鶴岡八幡宮の外郭団体であり、日本の伝統文化や郷土の自然と環境の保護に貢献することなどを目的に結成された槐の会が開催している写真コンテストです。一般カメラ部門に加えてアプリなどで加工した写真でも応募可能な携帯電話・スマートフォン部門があります。
受賞作や入選作品は9月上旬を予定している展覧会に出展されます。なお、応募には出展料がかかりますが、それは自然環境保護活動に充てられます。
傑作写真を応募して、それが古都鎌倉の自然環境保全に役立つとなれば、参加するのに意義のあるコンテストですね。
受賞作や入選作品は9月上旬を予定している展覧会に出展されます。なお、応募には出展料がかかりますが、それは自然環境保護活動に充てられます。
傑作写真を応募して、それが古都鎌倉の自然環境保全に役立つとなれば、参加するのに意義のあるコンテストですね。
募集期間 :
~2016年7月30日
出展料 :
一般カメラの部/1000円、携帯電話・スマートフォンの部/500円(小~高校生無料)
< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。