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晩秋から冬にかけて各地のテーマパークや大通りがイルミネーションで彩られます。思わずシャッターを切ったのに仕上りは…。そこで越カメラマンが美しく撮影する方法をアドバイス。写真コンテスト情報、壁紙プレゼントもご用意しました!

年末が近づくにつれ街はイルミネーションで彩られ、ドライブ先でもキラキラした風景に出合うことがあります。今回は、秋~冬にかけてシーズンを迎える夜景&イルミネーションの狙い方について紹介してみたいと思います。

夜景&イルミネーションの撮影と聞くと、難しいと思う方もいるかも知れません。しかし、ちょっとしたコツさえつかんでしまえば意外と難しくありません(簡単ではないですが)。
最初にすべきはカメラの設定です。
写真Aは通常の「オート」設定のままで、写真Bは「夜景」モードにして撮影したイルミネーションの写真です。イルミネーションの明るさや色味に大きな違いがあるのが分かるかと思います。この原因はカメラの設定にあります。
撮影モード(「シーンモード」とか「ベストショット」などメーカーによって名称は様々)があるカメラならば、通常の「オート」ではなく「夜景」を選択します。これでほぼOK。
やっかいなのは撮影モードが選べない一眼レフなどの場合です。
ホワイトバランス(以下「WB」)の設定をオート以外にしましょう。通常は「太陽光(晴天)」、遠景で街全体の夜景を撮る場合などは「白色蛍光灯」にすると、キレイな色味が引き出せます。
大雑把に書けば、WBの設定が「オート」になっているとせっかくの色味が引き出せません。これを解除することが夜景&イルミネーション撮影の第一歩です。

写真A

写真B

WB設定の次に問題となるのが「カメラブレ」です。
最近のカメラは手ブレ補正機能が優れていますが、シャッタースピードが極端に遅くなってしまう夜景&イルミネーション撮影では話が別。実際に、「夜景」モードに切り換えてそのまま撮った写真Cはぶれてしまいました。
では、どうしたら写真Dのようなぶれのない写真が撮れるのか。方法がいくつかあります。



①三脚を使う
確実な方法としては三脚を使うことです。三脚にカメラを固定して撮れば、どんなに遅いシャッタースピードを用いてもぶれる心配はありません(使い方が悪かったらダメですが…)。ただし、かさ張る、持ち運びが面倒、重いといった負の面は覚悟しなければなりません。

②カメラを固定できる場所を利用する
もう一つは、現場でカメラが固定できる場所を探して撮る方法です。実際に写真Dは、撮影現場にあった柵の上にカメラを載せ、動かさないようにして撮影したものです。ただしこの方法の場合、現場に固定できるものがあるかないか、また仮にあったとしても撮影する絵柄が限られてしまうなど、確実な方法とは言えません。

③ISO感度設定を上げる
最後にISO感度設定を上げる方法です。ISO感度を上げてシャッタースピードを速くします。現在のカメラは画質がかなり向上し、一眼レフなどはISO6400程度でも、コンパクトデジカメやスマートフォンなどのカメラでもISO800程度まで、ほぼ問題なく使うことができます。ただし、この方法の場合はシャッタースピードが速くなるため、後ほど出てくる点滅を繰り返すイルミネーションはタイミングが取りにくくなります。また、感度の上げすぎには要注意です。

ここまでできたらカメラの設定は大丈夫。あとは、どうやって撮るかだけです。

写真C

写真D

夜景を撮るベストのタイミングは、夕焼け空が青暗い空に変わるころです。真っ暗になる前にまずはトワイライトを活かして遠景を撮ります(写真E)。そして、時間が経つに連れ徐々にアップ目、つまりイルミネーションなどを主体に撮るように心がけましょう(写真F)。

写真E

写真F

ライトアップされた建物だけを撮ると意外と寂しい感じがします(写真G)。そこで一工夫。もし、近くにイルミネーションがあるならば、それを手前側に入れてぼかしてみると、華やかな印象の写真に仕上がります(写真H)。

写真G

写真H

夜景&イルミネーション撮影における一番の失敗は、電球が点灯するタイミングを逃してしまうことです。写真I写真Jはその例。観覧車が一部しか点灯していない写真Iに対し、写真Jはすべてが点灯しているタイミングで撮影しています。また、シャッタースピードが速いと、一部の電灯が消えた状態で写ってしまいます。
イルミネーションの中には点滅を繰り返すものがありますが、そうした場合もタイミングを計り、なるべくシャッタースピードを遅くして、できるだけたくさんの電球が点灯している時に撮ることが大切です。

写真I

写真J

最近のイルミネーションはLEDが使われていることが多く、また省エネのため暗めに設定されています。見た目には明るい電球ですが、写真に撮ると案外暗いのです。
そこで、「キレイだから」とあれもこれも入れて狙う(写真K)のではなく、主役となる部分をアップ目に狙う(写真L)ようにしましょう。アップ目に撮ることで、電灯の明るさが強調されます。

写真K

写真L

以前このコーナーで紹介(バックナンバー第44回を参照)したように、水に映った景色を活かすことで、夜景&イルミネーションがより一層煌びやかになります。
写真Mのほか、写真B写真Jも同様に水面を活かして撮影しています。必ずしも水辺とはいきませんが、もし近くに水面があるようならば、ぜひ作画に活かしましょう。

写真M

ざっとですが、私流に夜景&イルミネーションの撮り方を紹介してみました。ぜひ参考にしていただき、この秋~冬は夜景&イルミネーション撮影に挑戦してみてください。

写真N
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。


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< 著者PROFILE >
構成と写真
岩崎幸則
東京都生まれ。雑誌編集などを経てカメラ&ライターになる。現在は旅行雑誌、企業会報誌などに執筆。プロレス観戦が趣味。
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